元NHKアナ・堀潤氏、コロナ禍を生き抜くために必要なこと LINEで800件の声集める

「不安はニーズそのもの。100人いれば100通りです」

 なるほど、と思う不安な声はいくらでもありそうだ。堀氏はそうした市民一人一人の声を、自身のLINEで集めている。取材しながら、そういうケースがあるのかと、ようやく気付けることも多いという。

 堀氏は「不安はニーズそのもの。これが足りない、これが分からない、これが心配という声を出して欲しいと呼びかけました。100人いれば100通りです」。

 SNSや自身の出演番組などで発信し、それを知った国会議員らが国にかけあったりする動きもある。

 堀氏は「個々の不安、悩みに対して少しでも和らぐようなアクションをとりたいと思っています。皆さんは、どうすればいいのという解決に向けた知恵を知りたいと思います。使える情報を、メディアを通じて発信していきたいです」と意気込みを示した。

 続けて、自身が司会を務めるTOKYO MX「モーニングCROSS」(月~金曜、午前7時)で、なるべく、ゲストには専門家に来てもらい、現場のニーズ、声を紹介し、こたえてもらっていると紹介した。一方で、堀氏一人の活動で、こうした市民の不安をすべて解決するのは困難。必要なことを最後に聞いてみた。

 堀氏は「忘れてはいけないのは地元の自治体の存在。国は大きな制度、大きな財源、その方向性を示す役割がありますが、実際に動くのは自治体。県や市、区。具体的に地元の自治体がもっと市民の相談窓口として機能できるような対応を取れたらなと思います。自治体こそ身近な窓口として市民の声を吸い上げて、それを適切に反映していくようなことがやれたらいい」と語った。

 さらに「何でも国にというわけにはいかない。遠いですが、普段から、どういう市議会議員、区議会議員を選ぶのかとか、国会議員を選ぶ以上に身近な政治に普段から関心を持ってかかわっていかないと、こういう時に自分たちが困ってしまうことを知っておく必要があると思う」とした。

 また、今後の日本についても言及。

 堀氏は「これから大きく経済の仕組みも変わるかなと思います。これだけ世界が繋がれなくなってしまったからには、物も人の移動も制限を受けるというのが定期的にやってくるというのをベースにしたら、自分たちで作って、自分たちで使ってという、農業でいう地産地消みたいな在り方が当たり前になってくると思います。自分で考え、自分で何かを生み出し、自分自身で実行していく個の力が余計に求められると思う」と続けた。堀氏の言うような経済の仕組みに変化するとしたら、自粛期間中、自分に何ができるか、考えることも必要かもしれない。

□堀潤(ほり・じゅん)1977年7月9日、兵庫県生まれ。立教大卒業後、2001年にNHKに入局。アナウンサーとして「ニュースウオッチ9」のリポーターなど報道系の番組を担当。2013年にNHKを退局し、ジャーナリスト、キャスターとして活動。監督を務めたドキュメンタリー映画「わたしは分断をゆるさない」は3月に公開された。出演番組はTOKYO MX「モーニングCROSS」など。

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