【どうする家康】山田孝之、松山ケンイチとの“遊び”の裏側 声出さず「やめろ」と目で合図も
俳優・山田孝之が30日、松本潤が主演を務めるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる服部半蔵について、伊賀越えの任務にあたる半蔵の思いや、はりつめた中での“遊び”のあるシーンなどについてコメントした。
忍者ではないが忍者の代表の服部半蔵を熱演
俳優・山田孝之が30日、松本潤が主演を務めるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる服部半蔵について、伊賀越えの任務にあたる半蔵の思いや、はりつめた中での“遊び”のあるシーンなどについてコメントした。
まずは伊賀越えの任務についてコメント。
「伊賀越えも、過去に経験してきたさまざまな任務も、任務に向き合う半蔵の姿勢は変わらないと思います。規模の差はあれど、いずれも手を抜いてきた訳ではないですし、危険を伴う任務であることも変わらないので。ただ、今回は殿(家康)が同行していたので、その分プレッシャーは大きかっただろうと思います」
半蔵の判断についても言及。
「結果的に、半蔵の判断は全て裏目に出てしまいましたが……半蔵なりに、さまざまなパターンを想定して最善の策をとってきたつもりだったけれど、いつも以上に考えねばならないことが多い状況で、判断力が著しく低下していたのかなと思います。そして、手を差し伸べてくれる人のことも敵だと思い込んでしまい、自分だけを信じた結果でもあったのかなと。目の前のことでいっぱいになって余裕を無くし、周りを信じないとこういうことになりますよ…というのは、すごいメッセージ性だなと思いながら演じていました」
百地にとらえられてしまったシーンについてもコメント。
「自分たちが牢屋に閉じ込められて手出しできない状態で、殿の首に刀を当てられるという絶体絶命の状況でした。『もう終わりだ……』と思ってしまいそうになるけれど、もちろん終わりにはしたくないから、その状況で自分がどう動くべきか、0.1%の望みだったとしても殿を救い出す術を必死に考えていただろうと思います」
演出とのやりとりも紹介。
「リハーサルの際、演出の方からは『殿が牢屋から連れ出される時、武器を持った敵が牢屋に入ってくるのを防ぐために、入口へ行ってほしい』と言われましたが、僕は全く逆だと思いました。まず門を自分では開けることができない中、敵が開けてくれて、しかも武器を持っている敵が1人でも入って来てくれたらチャンスだなと。むしろそれは招き入れるべきだろうと思いました。敵が入ってきた上でどう対応するかということだったり……いろいろと考えながら、演出の方とも話をしました。
でもあの状況は、自分の命が危うくなるよりも、もっと苦しい状況のように感じました。自分は忍びのような働きをしてきたから、そもそも死は覚悟している。考えていることとすれば、殿から受けた任務はやり遂げたい、服部党も含め、周りの人の命もできるだけ守りたいということくらいだったのかなと。でも今回は、殿が目の前で殺されてしまうかもしれない、全てが終わってしまうのではないかという怖さはありました。服部党が皆して『わしが家康じゃ』と言い出すところは、ドラマで見るとコメディーシーンに見えるかもしれないけれど、自分たちは殿を救うために全力で、とにかく必死でした。第24回あたりから、精神的にはりつめていて、気持ち的にキツいシーンが続いた印象です」
本多正信(松山ケンイチ)の再登場シーンについても解説。
「敵が殿を取り囲む状況の中、正信が現れました。また“敵の軍師”という立場ではありましたが、半蔵としてはそもそも正信から誘われて今のポジションにいるわけですし、まだ会話が通じる相手。正信に救いを求めるしかない状況でしたから、彼がどう動くかをすごく探っていただろうと思います。ただ、もし正信が救ってくれようとしても、正信と我々の関係を敵に悟られたら、せっかくの作戦も失敗に終わってしまうかもしれないという緊張感も感じていて。
正信が現れた時、半蔵は牢屋の陰に顔を隠しました。“何とか殿を救ってくれ”と祈り、僅かな望みを掛けたのかなと想像しました。視聴者の皆さんは、正信は味方か敵かどっち?と思われるかもしれませんが、半蔵としては、一度も敵と思ったことはありません。ただ、調子の良いところがあるので、どちらにつくかよめないというのはありますよね」
はりつめた中で“遊び”のあるシーンも。
「結果的には、正信の言葉がきっかけで、百地に殿の強い意思を届けることができ、難を逃れました。殿が解放された時、みんながほっとして少し落ち着いた空気も流れましたが、半蔵としてはまだ牢屋の中にいるので100%安心はできないし、伊賀を越えて、殿を安全な場所にお連れしなければならないという、まだ気が抜けない状況でした。そんな中、みんなの視線が正信から外れて殿に向き出した瞬間に、松山(ケンイチ)くんが、僕を見てニヤリとしながら、そこら辺にあるものをつかんで懐に入れ始めたんです(笑)。カットされる可能性もありましたが、コメディー要素として成立させるためにも、僕はそれにリアクションしなければならない。その時は、声を出さずに『やめろ!』と目でやり取りしましたけど(笑)。そんな場面もありました」
第29回では家康からの言葉「おぬしも今日から立派な武士じゃ」と言われるシーンもあった。
「正直、半蔵は自分が武士か忍びかということに対して、強いこだわりは持っていないのではと思っています。これまで度々登場した『忍だろう』と言われて『いや武士だ』と返すシーンは、ある意味いじりやネタでもあるじゃないですか。半蔵としては『みんなが忍としか見てくれない』とネガティブには捉えていないと思っていました。
でも第29回の最後、殿から『おぬしも今日から立派な武士じゃ』という言葉をもらう場面は、ドラマ的には殿から認められるシーンでもあるので、印象的なセリフにするため、芝居の中で感情を組み立てていきました。周りのみんなは、無事浜に着いて笑顔ですが、半蔵は殿のお命を危険にさらしてしまったことを深く反省していて、自分は腹を切らねばならない位の状態だと思い詰めている……というように。本番でもみんなの輪に入らずにぶつぶつ独り言を話したり、気持ちを積み上げて演じました」