上智大を2度強制退学のラランド・ニシダ、小説デビュー 影響を受けた作家は太宰治「文章がかっこいい」
お笑いコンビ・ラランドのニシダが24日、小説デビュー作となる『不器用で』を発売する。上智大を2度強制退学となった過去やファンに手を出すイメージから“クズ”キャラが定着。一方で読書好きとしての“知的”な一面もある。そんなニシダの本との出会いや今回の執筆について話を聞いた。
24日に『不器用で』を発売
お笑いコンビ・ラランドのニシダが24日、小説デビュー作となる『不器用で』を発売する。上智大を2度強制退学となった過去やファンに手を出すイメージから“クズ”キャラが定着。一方で読書好きとしての“知的”な一面もある。そんなニシダの本との出会いや今回の執筆について話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
◇ ◇ ◇
――読書との出会いを教えて下さい。
「始めたのは小学2年生ぐらいですね。帰国子女で、ドイツのデュッセルドルフ日本人小学校にいたんです。そのときにあまり友だちがいなくて読みにいっていました。『かいけつゾロリ』とか全部読みましたね。もう少し大きくなると『ハリーポッター』、『ダレンシャン』。他にもよく図書館にある小学生向けの偉人の伝記も何冊か読んだ気がします。面白くはなかったですけど」
――中学生以降はどのようなジャンルに興味を持ち始めるのでしょうか。
「そのころからいまに近くなってきますね。太宰治、芥川龍之介、分かりやすい近代の純文学みたいなものを読んでいました」
――執筆にあたって一番創作に影響を与えている人は誰ですか。
「誰なんでしょう……。でも、太宰治が一番好きでした。文章がかっこいいなと、それでいまでも好きですね」
――本を出版するきっかけは何だったのでしょうか。
「昨年の1月にテレビ番組の読書芸人の企画に出してもらった。世間へ『本好き』が広まってきたタイミングで、角川の『カクヨム』(無料で小説を書けるサイト)の方がお話をくださったのが最初ですね。自分で『絶対書きたい』っていうわけではなかったんです」
――読むのは好きだと思いますが、実際に小説を書くことが仕事になっていかがでしたか。
「書くのも好きですね。元々しゃべるのが得意なタイプではないというか、友達とうまくコミュニケーションを取るのが得意じゃないんです。割と文章をかくのが、そもそも向いているというか好き。じっくり考えられるし、そういう意味で結構好きですね」
――執筆にあたって、一番大変だったことは何でしょうか。
「何個かあります。芸人を始めたタイミングで『ラジオを収録したあとは寝られない』というのがあって。相方と話してテンションが上がって寝られない。でも今回はその逆で小説を書いているとローになってしまって、そのあとテンションが上がりづらかったです。ぐーっと考え込んでしまうので、人と話すのも面倒になってしまう。テンションの上げ下げが難しいなと思いました」
――芸人と小説執筆の両立、どのように乗り越えていったのでしょうか。
「仕事前にできるだけ書かないことですね。全部仕事が終わってから午後11時から翌日の午前3時に書いていました。社会人とは違って毎朝早いわけじゃないので、書く時間帯を調整していました。
あとは、中高時代がアイドル戦国時代だったんですけど、そこまでアイドルを追いかけていなかった。でも、でんぱ組.incの曲がめちゃくちゃテンション上がることに気が付きました。書き終わって日常生活に戻るときにテンションを上げるために聞いていますね」
――今回は5本のの短編集が収録されています。1本作るまでにどれだけだけの時間がかかったのでしょうか。
「ほぼ2か月ですね。今回初めて知ったのですが、本が出るまでに20回ぐらい読み返さないといけない。書き終わって編集者に渡すと校正されて返ってくる。それを直して送り直して、また赤ペンが入って返ってくる。すごい面白くなくなってきます(笑)。書く部分にはあまり自信はないですよね。書き方は自分でもまだあまり分かっていないです」
――どのような部分で苦戦したのでしょうか。
「校正自体は2回、3回で終わるんですけど、自分は1個の作品を20回ぐらい読んだ。それでも、言葉遣いや『この場面で雨降ってるけれど、ここ降ってないです』とか『同じ道のりを車で15分で行って、歩きでも15分です』とか。もう全部調べてくれるんですよ。2万字とかま3万字の文章で自分では気が付けないことは結構ありますね」
――作家業はご自身に向いていると感じましたか。
「なにが正しいのかもよく分からなくなってきたりもしつつ、大丈夫だろうと真摯に向き合って頑張ったので、なんとか楽しいものになったのではないかと思っています!」