武田梨奈、『ワカコ酒』で変化したお酒の好み 早朝の飲酒撮影は「セリフが飛ぶことも」

俳優の武田梨奈が主演を務めるBSテレ東の連続ドラマ『ワカコ酒Season7』(月曜深夜24時)が、3日から放送を開始した。2015年にスタートしたドラマは、武田にとって連続ドラマ初主演を果たした思い出深い作品だ。今回、シーズン7に挑んだ思いや撮影の舞台裏に迫るとともに、ドラマに数多く登場する“お酒”にまつわるエピソードを聞いた。

ドラマ『ワカコ酒Season7』で主演を務める武田梨奈【写真:荒川祐史】
ドラマ『ワカコ酒Season7』で主演を務める武田梨奈【写真:荒川祐史】

『ワカコ酒Season7』で主人公・村崎ワカコを演じる

 俳優の武田梨奈が主演を務めるBSテレ東の連続ドラマ『ワカコ酒Season7』(月曜深夜24時)が、3日から放送を開始した。2015年にスタートしたドラマは、武田にとって連続ドラマ初主演を果たした思い出深い作品だ。今回、シーズン7に挑んだ思いや撮影の舞台裏に迫るとともに、ドラマに数多く登場する“お酒”にまつわるエピソードを聞いた。(取材・文=猪俣創平)

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 累計300万部(紙・電子合計/既刊20巻)を超える新久千映さんの『ワカコ酒』(月刊コミックゼノン連載/コアミックス)が原作。武田演じる「酒飲みの舌」を持って生まれたOL・村崎ワカコ(26歳)がさまざまな酒場をさすらい、女ひとり酒を堪能するドラマシリーズだ。

 武田はシーズン7を迎えるにあたり、「うれしい」と何度も繰り返しながら、「ドラマが長く続くことって特別なことだと思うので、それが当たり前だと思わずに毎回毎回、大切に現場で過ごさせていただいております」と感慨を込めて話す。

 ワカコのひとり酒をメインに描く本シリーズ。これまでの話数は80を超え、作品の中にも変化があるようで、「今回はちょっとした別れのシーンから始まるっていうのがすごく斬新な1話でした」と振り返る。もっとも、武田自身は「変わらない良さと変わる良さっていうのをすごく感じながら演じさせてもらっています」と語る。ワカコはドラマ内では今も26歳。「変わらないワカコでいよう」とも心がけながら、新鮮な気持ちで臨んでいる。

 ストーリーを通して毎回登場するのは、おいしい酒と肴、そして人間ドラマだ。「日常の中に起きる小さな出来事が、またお酒をおいしく感じさせてくれる」と、『ワカコ酒』ならではの魅力を強調する。「みなさんも日常でいろんな出会いや別れがあると思うんですけど、そんななかでもお酒が寄り添ってくれるっていうのを感じてもらえたら」と、見どころをアピール。

 今シーズンもこれまで同様、実在するお店の酒と肴を味わいながら撮影。「今回もたくさんいただきました」と笑顔が弾ける。しかし、その裏側には苦労もあるようで、「セリフが飛んでしまうこともあります」と苦笑いで教えてくれた。

「早朝から撮影が始まって、夜まで撮影ということもあります。そうすると、撮影の途中で少し酔ってしまうこともたまにあるんです。食事前のモノローグが抜けてしまって、『あっ、なんだっけ次……』ってことは多々あります(笑)」

 しかし、そんなピンチに助け舟を出してくれるのがスタッフたちだ。長きにわたって共にドラマを作り上げてきた撮影チーム。「スタッフの皆さんがいつもサポートしてくれながら、『次これだよ』って教えてくれます。現場のチームワークがしっかりできているので、たとえば、誰かが失敗してもすぐサポートする、そういった関係性がすごく心強いチームだなって思います」と、感謝を口にする。

最近はワインにハマっていると明かす【写真:荒川祐史】
最近はワインにハマっていると明かす【写真:荒川祐史】

お酒の好みも変化 撮影で感動したのは「タンシチュー」

 今作では千葉や兵庫などの地方ロケも敢行。実際のお店で働く人たちとの触れ合いを大切にして演じている。

「今回もお店の方が出演してくださったんですが、みなさんの人柄が温かくて、ぬくもりに包まれてるのが幸せだな~って、お酒飲みながら何もしていないのに泣きそうになるみたいな気持ちに。それをかみしめながら飲むっていうのもすごくおいしかったです」

 食事シーンでは「ファーストリアクション」にこだわった演技を心がける。食べたことのない料理を、志願してテストで口にしなかったものの、きれいに食べられないことがあった。しかし、「ちょっとしたハプニングも、また酒を飲むっていう食べてみなきゃ分からない料理の楽しさみたいなものを感じましたね」と、リアルな表現に努めた。

 そんな今シーズンの撮影で特に印象に残っている逸品を聞くと、「うわ~、迷いますね……」と悩みながらも、タンシチューを挙げた。その理由は、日本酒との予想外の組み合わせにあった。「普段の私生活で飲みに行った時には絶対に合わせないようなものをいただいて新しい発見がありました」と感動した。

 また、本作ではシリーズおなじみのメンバー、ワカコの行きつけのお店「逢楽」の大将(野添義弘)や店員・青柳(鎌苅健太)らも登場する。しかし、意外にも『ワカコ酒』の共演者と、プライベートでは一度も酒席を共にしたことはないという。

「もう8年~9年くらいの付き合いですけど、意外にも誰とも飲んだことがないんですよ(笑)。毎回撮影の一年後に『久しぶり~!』って親戚みたいにお正月に再会する不思議な関係性。皆さんに会えるとすごくほっとするんです」

 武田はワカコを演じるまでは、あまり酒になじみはなかったが、今はビール、日本酒、焼酎など幅広い種類を飲んでいる。最近はワインが好きとのことで、別の作品の共演者3人とワインボトルを4本空けたこともあった。「私そんなにワインを飲める体質じゃなかったんですけど、ピタッとハマりました。ウイスキーも渋めのものやスモーキーなものもすごく好きになったんですけど、ちょっとずつ舌の好みも変わってきているので、それがお酒の楽しみの一つなんだなって思っています」と、プライベートの酒との付き合い方も変化している。

 ワカコを演じるようになってから、ひとり飲みもするようになった。「静かなところよりは、ちょっとガヤガヤしている居酒屋さんの方が、人のぬくもりを感じられるので、赤提灯みたいな場所に行く方が好きです」と、“お酒好き”の一面をのぞかせる。

 そんな武田にとって、『ワカコ酒』はどういった存在なのだろうか。少し考えてから、「自分の生活の一部になっていますね」と答え、次のように続けた。

「飲みに行ったり、食べに行ったりして、自分のコンディションが良くない時ってたまにあるじゃないですか。『ああ、今日は仕事がうまくいかなかったな』ってときに、ワカコだったらその気分を晴らす方法を知っているんです。でも、私は不器用なタイプで、お酒を飲んでマイナスな気持ちになることもあります。そういったときに『ワカコだったらきっとこう思うだろうな~』って自分の中で切り替えられるというか、自分の中に“自分”と“ワカコ”がいるっていう感覚になるので、すごい存在だなって思います」

 ひとり飲みや酒の楽しみ方の引き出しが増え、「これからもワカコと共にいろんな発見をしていきたいと思っています」と、ドラマでの貴重な経験も生かしていくつもりだ。「お酒とお料理には疲れを癒やす力があると思っていますので、ぜひ、肩ひじ張らずに見ていただければ」と、『ワカコ酒』の魅力をアピールした。

□武田梨奈(たけだ・りな)1991年6月15日、神奈川県出身。2009年公開の映画『ハイキック・ガール!』で主演デビュー。15年放送のドラマ『ワカコ酒』で連続ドラマ初主演。近年の主な出演作には、ドラマ『ミラー・ツインズ』、映画『ナポレオンと私』、映画『ジャパニーズスタイル/Japanese Style』などがある。また主演を務める日米印合作映画『Shambhala-シャンバラ-』、香港ドラマ『打天下2』(ViuTV)など海外作品が控える。琉球少林流空手道・月心会黒帯を持ち、アクション俳優としても活動の場を広げている。

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猪俣創平

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