中卒、引きこもり、極貧生活…火将ロシエルの暗黒期「何のために生きているのか」
コスプレイヤーとしてだけではなく、グラビアやDJ、タレントなどマルチに活動している火将ロシエル。2016年に株式会社Coprte(コプルト)を設立し、コスプレ界で精力的に活動してきた。しかし、22年の8月末に、芸能事務所ジャストプロへの移籍を発表し、コプルトは業務提携という形に。
兄に感謝「メイド服のおかげで今の私がある」
コスプレイヤーとしてだけではなく、グラビアやDJ、タレントなどマルチに活動している火将ロシエル。2016年に株式会社Coprte(コプルト)を設立し、コスプレ界で精力的に活動してきた。しかし、22年の8月末に、芸能事務所ジャストプロへの移籍を発表し、コプルトは業務提携という形に。
移籍後、さまざまなテレビ番組に出演してきた火将は、5月に放送された『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)での「貧乏性芸能人大集合SP」に出演し、これまで明かしてこなかった貧乏エピソードも披露した。そんな境遇にあった火将がなぜコスプレイヤーを目指したのか、さらにはタレント活動に対する想いも語ってもらった。(取材・文=大野代樹)
──コスプレイヤーを目指すことになったきっかけを教えてください。
「コスプレに興味はなかったんですけど、私の誕生日にお兄ちゃんが誕生日プレゼントでメイド服を買ってくれたんです。夏と冬用の2着くれたんですけど、当時はアニメや漫画に興味がなかったので『やばいお兄ちゃんだ』と思って(笑)。とりあえずお礼を言って、すぐに押入れにしまっちゃったんです。その1年後に、趣味がなかったので『新しいことを始めたい』と思ったときに、メイド服のことを思い出したんです。中学生くらいのことなんですけど、着たらすごく楽しくて、コスプレの世界にどっぷりハマりました。漫画やアニメ、ゲームにも興味を持つようになりましたね」
──コスプレにハマる前は、どんな中学生だったのでしょう。
「私は中卒なんですけど、小学校も中学校もあまり行かずに家にずっと引きこもっていました。毎日同じ時間に起きて同じ場所に行くのがすごく苦手で『学校には行きたくない』となってしまったんです。だから、ずっと家にいました」
──メイド服に人生を変えてもらったんですね。
「はい。おしゃれには全然興味なかったですし、メイクも一切していなかったんですけど、メイド服を着たことでおしゃれに目覚めました。100円ショップでアイシャドウを買ったりして、一気に明るくなりましたね。100円ショップはとても優秀なので、めちゃくちゃ使えるんですよ。コスプレに関しても、高い物を買えば見た目がよくなるってわけではないので、安い物を使ってどうすれば自分がかわいくなれるのかを研究したほうがいいと思っています」
──それにしても、貧乏時代にお金を貯めて、妹にメイド服をプレゼントするお兄さんはすごいですね。
「妹への愛が強い!(笑)。でも、あのメイド服のおかげで今の私があるので、本当に感謝しています。ちなみに、以前ネットショッピングをしていたら同じデザインのメイド服を見つけたんです。4000円くらいだったので『意外と安いな……』って思いました(笑)」
──今も貧乏性が抜けていないと思うことはありますか?
「ファンの方からプレゼントをいただくことが多いんですけど『何かに使えるかも』と思って、紙袋は全部取ってあります。あと、スタバが大好きなんですけど、ファンの方々は知ってくれているので、スタバカードをくださるんです。お店で買うときは必ずお持ち帰りにして、スタバの紙袋をゲットするようにしているので、家に150枚くらい溜まっているんですけど、フリマアプリに出品すると結構いい感じに売れるんですよ。トイレットペーパーの芯も3、400円くらいで売れるので、取ってあります。『子どもの夏の研究』で使うみたいなんです」
──トイレットペーパーも売れるとは驚きました……。苦労を乗り越え、現在はタレントとしても活動もされていますが、いつ頃からタレント活動に興味を持たれたのでしょうか。
「コプルトを立ち上げたよきからコスプレの地位を向上させたい気持ちはありました。『コスプレイヤーだけどこんなこともできるぞ!』って意識が芽生えたのは、本当に2016年くらいからですね」
──そして、昨年の8月にジャストプロに移籍されましたね。
「ジャストプロに入ってからは、窓口がすごく広いので、タレント活動への想いはより強くなりました。演技にも興味があるんですけど、技量がないかなと思っているので、レッスンに通って勉強しています。やることは多いけど、楽しいから全然つらくないですし、今やっていることは必ず未来の自分への投資になると思うので『なんでもかかってこいよ』という感覚です!」
──最近ではテレビでの活躍も目立ちますが、今後活躍していく上で何が必要だと思っていますか。
「求められていることをできるようになること、自分には何ができるのかを見つけることが必要だと思います。その場その場で求められることは変わるので、流れをしっかりつかんで、適したことを提供できるようになりたいなと思いました。そのためには経験が必要だなと思いました。昔から本当にバラエティー番組が好きでした。今もバラエティー番組を見て『この芸人さん、こういうときのツッコミがおもしろいな』って勉強しています」
──今年でデビュー16年目です。今までの活動を振り返っていかがですか。
「趣味がなかった子ども時代は、何のために生きているのかが全然分からなくて『なんで私はここにいるんだろう』と思っていた時期もありました。そんなとき、お兄ちゃんからメイド服をもらってコスプレにハマったことで、徐々に生きるのが楽しいという風に変わって。コスプレイヤーとしての活動を始めてから16年たちますが、毎年新しい自分を見つけているような感覚です。人とおしゃべりをしたり、いろいろな場所にも行けるようになって、自分のできることが徐々に増えてきているので、青春しているみたいです。でも、まだやれていないこともありますし、行けていない場所もあるので、これからもいろいろなことに挑戦したいと思っています」
──具体的にどういったことに挑戦したいですか?
「“コスプレイヤー・火将ロシエル”として、テレビ業界で必要とされる人物になりたいと思っています。物心ついたときから、テレビでお笑いやバラエティー番組を見ることが大好きで、つまらないときでも自然と笑顔にさせてくれたのがテレビでした。テレビを通して人を笑顔にして、みんなに『楽しかったから明日も生きよう』と思ってもらえたらいいなと思います。そのためにも、いろいろな芸人さんとお仕事させていただきたいです」