役所広司「エンターテインメントし過ぎない」 福島原発事故扱ったドラマで心がけたこと
俳優の役所広司が5日、東京・日本外国特派員協会で行われたNetflixシリーズ『THE DAYS』(全8話)の記者会見に、増本淳プロデューサーと共に出席した。2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故を描いた同作の撮影を振り返った。
増本淳プロデューサー「見る人へ感情の押し付けをしないように」
俳優の役所広司が5日、東京・日本外国特派員協会で行われたNetflixシリーズ『THE DAYS』(全8話)の記者会見に、増本淳プロデューサーと共に出席した。2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故を描いた同作の撮影を振り返った。
同ドラマは、「あの日、あの場所で何があったのか」を、政府、会社組織、そして原発所内で事故に対峙する者たち、それぞれの視点から描いた実話に基づく物語が展開される。世界配信スタート後、3週連続で日本を始めとする77の国と地域でトップ10入りを果たし、3週目には世界4位に躍り出た。
主演の役所は、福島第一原発の所長を演じた。「実際、この震災の当時、福島第一原発でどういうことが行われていたか、そして(故・)吉田(昌郎)所長のことも知っていました。震災の後、吉田所長と東京電力、福島原発と(東京電力)本店のやり取りの音声とかなんとかは、SNSで聞いていたりしました。そういう意味では、表面的には、なんとなく吉田所長のイメージはありました」と回想。
次いで「観客の人たちも非常に生々しい記憶がある中で、事故のことを演じるということが、エンターテインメントしすぎない、ドラマとして演じすぎないということは、撮影現場でも皆心がけた。できるだけ、あそこで働いていた、行動していた人たちはこういう気持で行動したか、それでこういう気持ちで苦しんだかということを演じるというよりも、何かこう、ドキュメンタリーに近いような表現方法を見つけて、作っていったような気がします」と振り返った。
福島へボランティアとして参加すべく赴いた経験を持つ増本プロデューサーは、役所が述べた「ドキュメンタリーに近い表現」について、全8話を視聴者に見続けてもらうべく一定のドラマチックな手法は使ったと認めつつ、「『これは感動的な話ですよ』とか、『英雄たちのお話ですよ』とか、もしくは『ここで泣いてほしい』『笑ってほしい』みたいな、見る人へ感情の押し付けをしないようにしようということを、おそらくスタッフのキャストの皆さんが心がけて作った」と補足した。