ミンクの“全自動洗濯機”が「悪魔的なかわいさ」 外来種問題考えるきっかけに…水族館の投稿が反響

沖縄地方は6月25日に梅雨明けし、本州も間もなく夏本番。SNSでは暑い夏にぴったりの「水浴び」を楽しむミンクの動画が注目されている。1.1万件ものいいねを集めた動画について、投稿した「サケのふるさと千歳水族館」(北海道)の飼育スタッフらに聞いた。

国内では2か所でしか展示をしていないミンク【写真:サケのふるさと千歳水族館提供】
国内では2か所でしか展示をしていないミンク【写真:サケのふるさと千歳水族館提供】

バケツの縁からダイブ! 元気いっぱいのミンクたち

 沖縄地方は6月25日に梅雨明けし、本州も間もなく夏本番。SNSでは暑い夏にぴったりの「水浴び」を楽しむミンクの動画が注目されている。1.1万件ものいいねを集めた動画について、投稿した「サケのふるさと千歳水族館」(北海道)の飼育スタッフらに聞いた。

 北海道の千歳川に隣接する「サケのふるさと 千歳水族館」は、日本最大級の淡水魚水族館として1994年に開館。サクラマスやギンザケ、幻の魚といわれるイトウなどが悠々と泳ぐ姿を楽しむことができる。同館の飼育員らが更新する公式ツイッターアカウント「チトセアメ(@chito_se_ame)」では、動物たちの生き生きとした表情を動画や写真などで発信。人気を集めている。

 いま注目されているのは、モフモフとした柔らかい毛のミンク2頭が、バケツで水浴びをする17秒の動画だ。バケツの縁から中にダイブし気持ちよさそうに泳ぐ様子は「悪魔的なかわいさ」「いつまでも見ていられる」と大注目。バケツの中でぐるぐると回転する様子に、洗濯機を思い浮かべた人も多く、「全自動ですね」などの声も集まった。

 2頭は、水飲み用の皿でも泳ごうとするほど、水が大好き。飼育担当者は「暑いのが苦手なため、泳いだりもぐったり、水浴びの時間を楽しんでいます。私たちなら短時間で手がかじかんでしまうような水温10度ほどの地下水の中でも、北海道の厳寒の真冬でも、喜々として水遊びしています」と生態について教えてくれた。

 反響について飼育担当の山林千尋さんは「実はこの投稿の10日ほど前に、タライの水で遊ぶミンクの様子をアップしたときはあまり反応がなかったので、まさか今回こんなことになろうとは、正直なところ驚いています。感想やご意見の中で、ミンクが水辺が好きで泳ぎも得意ということや、まして身近に生息しているということなどもあまり知られていないと感じました。これを機会に、かわいらしい姿や仕草とともに、ミンクがおかれた外来生物としての立場などについても、興味をもって考えていただけるきっかけになればと思っています」と話している。

国内でミンクの展示を見られるのは、千歳と旭山の2か所だけ

 ネットに「かわいい」の声をあふれさせた2頭は、食いしん坊のオスのキミと、やんちゃなメスのサンマ。どちらも千歳川で捕獲した個体で、推定2歳。同館では2021年の夏から飼育を始め、バックヤードでの試験飼育を経て22年3月から公開展示に踏み切ったという。

 館長の菊池基弘さんは「いずれも水族館すぐ横を流れる千歳川に、許可を得て罠を仕掛け捕獲した個体で、現在はオス1頭、メス3頭の計4頭を飼育中で、内2頭を展示でご覧いただけます。ミンクは毛皮養殖のため海外から持ち込まれ、逃げ出した個体が野生化してしまい、特定外来生物に指定されています。許可なく飼育などはできず、国内の動物園・水族館で飼育しているのは、現在は旭山動物園と当館のみです」と話してくれた。

 同館では、7月15日から夏季の企画展「泳ぐ寿司ネタ! サケふる亭」を開催。展示では、ウニやアジ、カレイなど、すしのネタとして親しまれている生物の生体を展示するほか、日本の伝統的な食文化の1つであるすしの歴史について紹介していく。詳細は同館代表(0123)42-3001、または公式サイトで確認を。

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