元エビ中・柏木ひなたが歩んだ波瀾万丈のアイドル人生 24歳で立った新たなスタートライン

2022年12月に約12年間在籍したアイドルグループ・私立恵比寿中学を卒業した柏木ひなたが23年6月28日にソロデビュー曲『From Bow To Toe』を配信リリースする。ソロアーティストとして新たな道を歩み始めた24歳に現在の心境やこれまでの歩みを振り返ってもらった。

現在の心境やこれまでを振り返った柏木ひなた【写真:ENCOUNT編集部】
現在の心境やこれまでを振り返った柏木ひなた【写真:ENCOUNT編集部】

6月28日にソロデビュー、24歳でのリスタート

 2022年12月に約12年間在籍したアイドルグループ・私立恵比寿中学を卒業した柏木ひなたが23年6月28日にソロデビュー曲『From Bow To Toe』を配信リリースする。ソロアーティストとして新たな道を歩み始めた24歳に現在の心境やこれまでの歩みを振り返ってもらった。(取材・文=中村彰洋)

「自分が追いかけてきた夢でした」。柏木にとって念願のソロデビューだった。エビ中卒業からわずか半年でのリスタートとなったが、「本当にありがたい」と支えてくれたファンやスタッフへの感謝を口にした。

「エビ中を卒業する約1年前にメンバーや事務所の方に相談したとき、卒業したら何になりたいかを考えたんです。そのときに歌で頑張っていきたいと思いました。そこから、いろいろと皆さんが考えてくださって、またこうやって挑戦できることが本当にうれしいです」

 デビュー曲『From Bow To Toe』は、これまでのアイドル楽曲からはガラリとテイストを変えた1曲となった。

「楽曲制作の会議から私も参加させていただきました。ソロデビュー曲ということもあるので、今までの柏木ひなたとは違う、インパクトのあるものにしたいと考え、邦洋問わず、100曲近くをスタッフさんたちと聞いて、テイストを決めていきました。今までもいろんなジャンルをグループで歌ってはきたのですが、こういう洋楽テイストの楽曲は初めてでした。なにか新しいことをやってみようとこの楽曲に決まりました」

 7月12日には全5曲の1stEP『ここから。』も発売されるが、「5曲ともテイストが全く違うんです」と笑う。「ソロになってもいろんな曲に挑戦していきたい。バラードだったり、エモーショナルな楽曲だったり、踊れるような楽曲だったり……。EPの中でも幅広くなっているので、これからの私をいろんな形で想像して楽しんでもらえると思います」。

 幼少期に安室奈美恵さんのステージを見てバックダンサーになりたいと思い、ダンスを習い始め、次第に歌いたいという気持ちも強くなっていった。しかし、「引っ込み思案で勇気がなかった」柏木が、自発的にオーディションを受けることはなかった。そんなタイミングで偶然にも現事務所からスカウトを受け、芸能界入りを果たした。

「スターダストさんという名前を聞いたときに、私はきっと女優になるんだろうなって思っちゃいました(笑)。自分が思い描いていた夢とは違う方向に行くかもしれないけど、やってみようと決意したんです。でも、いざ入らせていただいたら『エビ中っていうグループあるんだけど』とお誘いいただけて、好きなことでここまで活動させてもらえたという奇跡みたいな日々でした」

 アイドルグループへの加入となったが、「最初は集団行動が得意な方ではなかったので一瞬悩みました」とも告白。「でも、歌とダンスができるし、当時はまだ小学生だったので、経験としていいかなと思って」と決断の経緯も明かした。「入ったら入ったで、みんなといる時間はすごく楽しかったし、エビ中だったからここまでやってこれました」と断言した。

グループ卒業を決めた背景を明かした柏木ひなた【写真:ENCOUNT編集部】
グループ卒業を決めた背景を明かした柏木ひなた【写真:ENCOUNT編集部】

休養中に感じたエビ中メンバーの成長「私がいなくても大丈夫」

 2020年に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で「令和アイドル界スゴいボーカリスト10人」に選出されるほどの歌声を誇る柏木。

「昔から歌うことは好きでしたが、上手だと思ったことはありませんでした。ただただ声が大きいだけでした(笑)。だけど、いろんな楽曲と出会って、いろんな歌い方をするようになって、年齢も重ねて言葉の意味も理解できるようになって、ちゃんとメッセージとして届けられるようになったことで成長できたかなと思っています」

 グループ在籍中、明確に変化を感じるタイミングがあった。「グループ在籍中に2回ぐらい声変わりしているんです。ソロ曲のキーを初披露のときに3個下げるなんてこともありました。まだ披露はしていなかったので、『誰も知らないからいいよな』みたいな(笑)」。また、2017年が柏木にとって大きな転機となった。

「アルバム『エビクラシー』(17年5月31日発売)での私のフィーチャー曲『紅の詩』が、1番のターニングポイントでした。ちょっと前から歌声を試行錯誤していたのですが、思うようにできなかったんです。めちゃくちゃ泣いてたりもしていたんですけど、そこでちょっと吹っ切れました。発売の数か月前にメンバーが亡くなる(同2月8日に松野莉奈さんが急死)ということがあって、それが自分の中で大きかったです。日常が当たり前じゃないということに気付けました。ステージに立てるのも当たり前じゃない、お客さんがいつも来てくれるわけでもない、だから、ワンステージ、ワンステージを絶対に悔いの残らないものにしようと思うようになりました。そこから、パフォーマンスがガラッと変わったと思います」

 15年には突発性難聴を発症したことで活動を休業。さらに、21年にも体調不良が原因で2回目の休養をせざるをえなくなった。柏木はグループ卒業を決めた背景も明かした。

「2回目のお休みをいただいたときは、心と体のバランスが取れなくなってしまいました。頭ではやろうと思っていても、心が全然追いついかなくて、『私、今やばいかも』と思ったことが、休むきっかけでした。もし、今後そうやって自分を追い込みすぎたとき、また休むなんてことはできないと決めていました。突発性難聴になったときも休養して、グループに迷惑をかけてしまっているので、3回目は絶対にない。これ以上、自分のことでグループに迷惑をかけたくないと思い、体調とソロの夢を考えて、休養中に『卒業したいです』と伝えました。

 エビ中にいるときの夢が、エビ中のライブを外から見るってことだったんです。それで、休養中に自分がいないライブを見ることができたんです。それを客観的に見たときに、私がいなくてもこのメンバーだったら大丈夫だなって思ったんです。いろんなことが重なって、卒業を決めましたね」

「12年間ずっと突っ走ってきた」というアイドル人生。卒業からソロデビューまでの期間は「ゆっくり過ごすことができました」と落ち着いた表情を見せた。オレンジ髪や金髪へのイメチェンにも挑戦。「色が好きで私服は、色を使うことが多いんです。グループにいたときは、黒髪パッツンがトレードマークだったので卒業して、髪の毛もいろいろやりたくなっちゃいました」とイメチェンの理由を明かした。

 これまで、演技やバラエティーなど多方面で活躍してきた。今後については「俳優などもやらせていただきたいですし、頑張りたいです。ただ、第一優先は音楽活動と思っています。ちゃんと“柏木ひなた”というものを確立させてから、いろいろやっていきたいです」。さらに、「ライブが1番大好きで、ライブ中の自分はすごい輝いていると思えるんです。はやくみんなと一緒に楽しい空間を作りたいですし、いつかは作詞作曲もやりたいです」と未来をしっかりと見据えている。

「人の記憶に残るアーティストになりたい」――。柏木は、幼少期に憧れた夢に向かって再スタートを切った。

□柏木ひなた(かしわぎ・ひなた)1999年3月29日、千葉県出身。2009年に現事務所にスカウトされ芸能界入り。10年11月28日、私立恵比寿中学に加入。2代目ダンス部長を務めるなど中心メンバーとして活躍。22年12月16日をもって卒業した。23年3月3日には公式ファンクラブ・own paceを開設。6月28日に『From Bow To Toe』でソロデビューを果たし、7月12日には1stEP『ここから。』をリリースする。

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