39歳・磯山さやかの結婚観「何が正解か分からない」 恋愛は「少しハードルが高い」
タレントで俳優の磯山さやか(39)が『愛のこむらがえり』(6月23日全国順次公開、髙橋正弥監督)で18年ぶりに映画主演を果たした。劇中ではコメディエンヌぶりを発揮しているが、そこには志村けんさんが語っていた大切な言葉があったという。磯山が映画はもちろん、自身の結婚観についても語ってくれた。
今も忘れない志村けんさんからの言葉
タレントで俳優の磯山さやか(39)が『愛のこむらがえり』(6月23日全国順次公開、髙橋正弥監督)で18年ぶりに映画主演を果たした。劇中ではコメディエンヌぶりを発揮しているが、そこには志村けんさんが語っていた大切な言葉があったという。磯山が映画はもちろん、自身の結婚観についても語ってくれた。(取材・文=平辻哲也)
グラビアアイドルとしてデビューし、バラエティーから『プロ野球ニュース』のキャスターまでで幅広く活躍し、昨年は俳優としてNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演した磯山。映画主演は2005年の初主演作『まいっちんぐマチコ!ビギンズ』以来、18年ぶりとなる。
「18年ぶりと言っても、ほぼ初めてのぐらい感覚でした。最初は『なんで私なんだろう』と不思議というか、疑問でした。不安しかなかったんですが、監督が熱い気持ちを伝えてくれたので、頑張ろうと思いました」と振り返る。
メガホンを取ったのは、根岸吉太郎監督や故相米慎二監督らに師事し、生田斗真主演映画『渇水』(6月公開)でも注目を集めている高橋正弥(高の正式表記ははしごだか)。本作は、交際8年、お互いの夢と才能に賭けて、映画界に挑む崖っぷちカップルの悲喜こもごもを描くライトコメディー。磯山は映画監督志望の同棲相手、浩平(「東京乾電池」吉橋航也)の才能を信じて、映画化を全力でサポートするヒロイン香織を演じた。磯山は高校時代、野球部マネジャーも務めており、うってつけの起用といえるだろう。
「香織はすごく明るくて、人のことを自分事のように思える優しい女性です。その優しさが押し付けがましくなく、本当に素晴らしい。でも、自分だったら、パートナーの夢を自分の夢として追いかけられるかなと思って、その辺の感情は監督に聞きました。監督からは怒っていても、ベースは優しさであってほしい、と。表現の仕方には結構苦労しました」
劇中、泣いたり、笑ったり、怒ったりと喜怒哀楽の激しい演技を見せつつ、観客を笑わせてもくれ、コメディエンヌとして面目躍如。そこには、故・志村さんとのコントで培ったものがあったのではないか。
「意識はできなかったですけど、吸収していたんだなとは思いました。勉強したいと思って、志村さんのことを見ていましたし、コントのリアル感は目の前で学んでいました。志村さんは、『やっている方が楽しまなきゃ、見ている人は楽しめないから』とおっしゃっていました。私はお芝居の経験がすごくあるわけではないので、志村さんの言葉を思い出して、まずは自分が楽しんでワクワクしながら演じないと、と思っていましたね」
40歳を前で「体がついてこなくなりました」
苦労したのは、恋人・浩平とのけんかのシーンだ。
「私自身は、けんかをしたことがないんです。だから、ドキドキしましたが、監督は本当に怒ってください、と。吉橋さんは、普段から役作りで浩平のようにいれくれたので、結構、イラっとさせてくれるんですね。だから、こちらも本気になれた。ノートを投げつけるところは本気。吉橋さんも、このシーンは印象に残っている、と話されていたので、よかったな、と思っています」
監督は、磯山が演じやすいように、さまざまに配慮してくれたという。香織の実家も磯山の故郷・茨城県という設定。香織と浩平が両親(菅原大吉、浅田美代子)にあいさつに行く場面は、自分の両親に久しぶりに会うような感覚で演じることができた。
本作は磯山の22年の芸歴でも大きなものになった。
「評価はどうあれ、本当にやりきったなって思います。主演をやらせていただいたことは新たなきっかけになりました。元々、女優業は、やってみたいというのはあったのですが、スケジュールの面でも難しさはありましたし、そもそも昔は芝居をするのが苦手というか、恥ずかしさがあったんです。でも、最近は、いろんな人を演じられる醍醐味を感じられて、ちょっとワクワク感も生まれてきました」
香織と同様に独身だが、結婚観には変化はあったのか。
「小さい頃は、結婚は当たり前にするものだと思っていました。それこそ、茨城県内の人と結婚して、一軒家を建てて、車は1人1台という感じ。でも、何が正解か分からないですね。母は家庭を持ってほしいみたいですし、私自身、機会があれば、結婚したい気持ちはあるんですけど……。恋愛自体、私には少しハードルが高いですし、香織のように8年付き合う経験はないのですが、『結婚が全てじゃない』という言葉にはすごい共感できます。支え合える人がいるんだったら、別にその形を決めなくてもいいなと思っていいます」
浩平のように夢を追いかける男性は、磯山からはどう見えるのか。
「正直、タイプじゃないんですよね(笑)。私だったら、心配しすぎちゃう。お節介を焼きすぎて、私自身がきつい性格にさせられちゃう。私が末っ子ということもあるんですけど、優しく面倒見てくれる人がいいです」
今年10月には40歳、不惑を迎える。その心境は?
「人生、メンタル、お仕事には迷わなくなってきているけど、体調に迷いが出るっていうか、体がついてこなくなりましたね。『調子いいとき、少なくなるよ』という先輩方の言葉が分かってきて、心配になってきました(笑)。ずっと歩くためには、下半身の筋肉を鍛えることだといろんな方から教えてもらったので、ウオーキング、犬の散歩、軽いジョギングを始めています。40代がどんな感じになるんだろうとワクワクしていますね」。健康に気をつけながら、俳優としての姿をもっと見せてくれることを期待したい。
□磯山さやか(いそやま・さやか)1983年10月23日、茨城県鉾田市出身。いばらき大使。2000年にグラビアでデビュー。01年に『HERO』第5話(CX)でドラマ初出演を果たす。05年には『まいっちんぐマチコ!ビギンズ』で映画初主演を飾る。そのほか映画『リアル鬼ごっこ』(15)、『クハナ!』(16)、『虎の流儀~激突ー燃える嵐の関門編~」(22)や、ドラマ『水戸黄門 第39部』(TBS)、『4分間のマリーゴールド』(TBS)、『女ともだち』(BSテレ東)、『再雇用警察官』シリーズ(TX)、『鎌倉殿の13人』(NHK)、『君が、おにぎり好きだから。』(CTV)など多数の出演作がある。