早慶W合格でどちらを選択? “早稲田政経”復活で人気再燃、法学部は慶大圧勝も同系統学部では早大優位

国内私立大最難関と称される早稲田大と慶応大。2000年代に入って以降、両大学にダブル合格した場合、慶大に進む受験生が多かったという。だが、近年になって早慶の同系統の学部に両方とも合格した場合、早大を選ぶケースが増えているという。東進ハイスクールの調査によれば、18年に慶大・法、早大・政経にダブル合格した受験生の進学先は慶大・法が71.4%だったが、21年は早大・政経が71.4%という結果で大逆転となった。“ワセダ”はなぜ復活したのか。

人気復活の早稲田大学【写真:ENCOUNT編集部】
人気復活の早稲田大学【写真:ENCOUNT編集部】

受験生全体では早慶ダブル合格者の6割強が慶大

 国内私立大最難関と称される早稲田大と慶応大。2000年代に入って以降、両大学にダブル合格した場合、慶大に進む受験生が多かったという。だが、近年になって早慶の同系統の学部に両方とも合格した場合、早大を選ぶケースが増えているという。東進ハイスクールの調査によれば、18年に慶大・法、早大・政経にダブル合格した受験生の進学先は慶大・法が71.4%だったが、21年は早大・政経が71.4%という結果で大逆転となった。“ワセダ”はなぜ復活したのか。

 早稲田・政経について同学部OBは「私の在学中は、学生1流、校舎2流、教員5流などと言われていました。500人以上の大教室講義が多く、教員は何年も同じノートを読み上げるだけ。3年になってゼミに入れない学生もたくさんいました。就職について大学側のサポートはないも同然でそれこそ野放し状態。私の知人らはみんな『子どもには絶対ワセダに行ってほしくない。卒業生と現役生のネットワークが強い慶応に行ってほしい』と言っていました」と振り返る。

 しかし、雰囲気が変わったのは14年。政経学部が入る3号館がリニューアル工事され、景観を継承した新3号館が竣工した。地下2階、地上14階、高さ67.84メートルの新校舎はピカピカで、コーヒーラウンジやコンビニも設営された。内部の空間は開放的な吹き抜けで、眺望の良い高層棟教室は学生が円状に座れるような座席配置。廊下の共用スペースにはカラフルな椅子とテーブルが置かれオシャレな気分を醸し出している。古い校舎のリニューアルや英語教育と少人数教室の強化、留学生の積極受け入れなどワセダはグローバル改革への姿勢を明確にしてきた。

 21年は政経学部に限らず、商学部、文化構想学部、創造理工学部、先進理工学部でも慶大の同系統の学部を上回った。ただ、早大・法と慶大・法のダブル合格の場合は例年9割ほどが慶大を選んでおり、こちらは圧倒的な差を付けられている。また、学部にかかわらず受験生全体で見ると、早慶ダブル合格者は6割強が慶大に進んでおり全体としては慶応優位が続いている。予備校講師がこう話す。「慶大は入試に小論文を課す学部が多いので3教科入試型の早大受験生はそもそも慶大を受験しにくい。逆に慶応志願者にとっては早大は受けやすくなります。このように両大学の入試制度が異なるので慶大優位になりやすいわけです。また、早大は比較的入りやすい所沢キャンパスの人間科学部やスポーツ科学部があるので、慶大志願者が押さえとしてこれらを併願してダブル合格した場合は、ほとんどが慶大を選ぶでしょう」。

 とはいえ、早大人気には別の理由もありそうだ。早慶を冷静に観察できる上智大の現役女子学生がこう証言する。「慶大は最初は日吉キャンパスで多くは3年から三田キャンパスに移ります。そうすると、電車の路線が変わってしまうのでアルバイトに支障が出るおそれがあります。早大なら4年間同じキャンパスですから1年生からのアルバイトをずっと続けることができます。あと、文学部と文化構想学部がある早大の戸山キャンパスにはベーカリーカフェがあってパンがすごくおいしいです。これも魅力ですね」。

 大学全体で見ると慶大を選ぶ受験生がまだまだ多いようだが、就職については両大学とも国内トップクラスの金融、商社、コンサル、メーカーなどの超有名企業に続々と進んでおりほとんど差はない。入試に数学を必須科目とした早大政経学部には東大など超難関国立大から人材が流れているという。優秀な学生の獲得によって大学のレベルが向上していけば将来、“ワセダ優位”がさらに進むかもしれない。

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