80年代“トヨタ名車”のオーナー集団 「とにかくフルノーマル」徹底のこだわり、驚きの結成秘話

カローラ、カムリ、レビン……。1980年代に販売されたトヨタの名車がずらりと並んだ光景はまさに圧巻だ。展示していたのはオーナー団体「カローラ80’s」。いったいどのような団体なのか。発起人の大塚宏さんとメンバーに結成のきっかけと活動内容について聞いた。

オーナー団体「カローラ80’s」、その活動内容と入会資格とは【写真:ENCOUNT編集部】
オーナー団体「カローラ80’s」、その活動内容と入会資格とは【写真:ENCOUNT編集部】

それぞれ推しポイントを熱弁

 カローラ、カムリ、レビン……。1980年代に販売されたトヨタの名車がずらりと並んだ光景はまさに圧巻だ。展示していたのはオーナー団体「カローラ80’s」。いったいどのような団体なのか。発起人の大塚宏さんとメンバーに結成のきっかけと活動内容について聞いた。

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「1985年あたりにカローラ店で売っていたこの車たちを並べたいという僕のわがままです。ここにいる人はそれを聞いてくれた人たちなんです」と大塚さんは結成の秘話を明かし、笑顔を見せた。

 85年4月にトヨタカローラ店に入社し、2年間営業を担当した経験を持つ大塚さん。以前、カーイベント「ハチマルミーティング」に立ち寄った際、85年当時に販売されていた車種が展示されていたのを発見。トヨタカローラ勤務時代の当時販売を担当した車たちが並んでいるのを見て、「懐かしいなあ」と感じ、そこから少しずつオーナーに「定期的に集まりませんか?」と声をかけてメンバーを募っていったという。

 今年で結成から10年目。メンバーは最大で15人ほどいるのだそう。入会条件は「80~89年にカローラ店で販売・登録されたフルノーマル車であること」だ。「以前は10台くらい並んで、つるんで走ったりしていました。メンバーは全国にいるため、中心になる静岡県とかを走ることが多かったですかね」と話し、「並んで走っている我々の姿を見た人がおーっという顔しているのを見ると、やはりうれしくなりますよね」と表情をほころばせた。

 そんな大塚さんが持つ愛車は87年式のカローラレビンだ。こだわりは「とにかくフルノーマル、整備記録が残っている、そして車検を切らしたことがないところです。そういうハチロクのレビン、トレノはないと思います。また、この色は85年5月~87年の5月までしか売っていないのでそこも気に入っています」とうなずいた。無事故で乗ってきた愛車。レビンといえば白黒や赤黒のボディーが印象的だが、大塚さんが一目ぼれしたのは黒だった。2年間しか販売していないため、貴重な上に人気が高く、中古で買う際には同車種と比べても少し高価だという。自身が乗り終えたら娘に譲るのだそうで、「ちゃんと乗ってくれるかわかりませんが(笑)。できればその次に乗ってくれる人も身内がいいですけどね」と希望を語った。

 グループに名を連ねるメンバーが持つ車はどれも貴重だ。85年式カローラII 1.5 SRを所持するメンバーの田畑幸靖さんは大塚さんから入会の誘いを受けた当時をこう振り返る。「ハチマルミーティングに出展したときに取り囲まれて『入ってほしい』と言われました(笑)。最初は怪しいなと思ったのですが、活動内容を見て『いい活動をしているな』と思い、入会しました」。鮮やかな青の発色が目を引く1台。“推しポイント”は「やはりノーマルなところ」と笑顔を見せた。

 84年式セリカクーペGT-TRを所持するメンバーの辻村真史さんは2011年に車仲間から30万円で購入したという。「刑事ドラマでパトカーとして使用されていて、とてもカッコ良かったので購入しました。このグレードでクーペ、そして白でないと憧れの車と一緒にはならないので探し始めてから手に入れるまでには時間がかかりました」と入手までの苦労を語った。前オーナーが売りに出している間、ほったらかしの状態だったため、部品の調達や外装などを修復。全塗装は60~70万の費用がかかったという。「日本初のツインカムターボのエンジンである部分はやはり気に入っています。車の歴史上、重要な部分だと思っています。またデジタルメーターも売りで、当時の最先端なんです」とアピールした。

 門脇利明さんは86年式カムリ2.0GTが愛車。グレーのシックな車体、高級感あふれる内装シートも当時のままだ。「この車自体は昔はよく走っていたんですが、この型のGTはもうほぼほぼ残っていないと思います。当時も知っていますが、あまりこの車でGTが売れていた記憶がないんです」。購入したきっかけは「こういうセダンが好きなんです。ぱっと見普通のセダンなんですが、GTは少し自慢できる部分がちりばめられています。形も好きなのもあって購入しました」としみじみ。「購入した後、初めて参加したイベントで『カローラ80’s』のみなさんに見つけられて囲まれました(笑)」と参加の裏話を打ち明けた。もちろんノーマル車でありながら、さらにサンルーフバイザーなどの小物パーツも当時のまま現存。「できるだけ、動かなくなって四苦八苦あっても最後まで乗りたいですね」と愛着を語った。

 86年式カローラ FX-GTリミテッドに乗車しているのは五十嵐将弥さん。12年の8月に中古車販売店で購入したという。「2010年ごろに見つけてはいましたが、車が別の中古車販売店を転々としていってしまい、2年かかってようやく購入までこぎつけました」と苦労したそう。「全体的なデザインが好きです。特にリアのデザインがななめにスパッと切り落とされたような形が良いです」と同種を2台持つほど熱を入れているという。やはりパーツを集めるのは大変とのことで、「外装部品はもう全部ありません。どの部品もあるなら全部とっておいたほうが良いぐらいです(笑)。ウインカー部分だけハチロクの前期と共通部品なのですが、ほかは独自のパーツなので調達は本当に大変です」と苦悩をみせた。

 かねてから多くのカスタムパーツが生まれ、愛車を自由にカスタマイズできるなか、ノーマルの形を守るオーナーのそれぞれの矜持(きょうじ)がそこにはある。愛を後世にも伝えていってほしい。

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