景井ひな、普通の専門学校生がネットで大バズり→就職内定蹴ってクリエイターの道へ「親にめちゃくちゃ怒られた」

TikTokからカンヌ国際映画祭に日本代表として招待されたのが、TikTokクリエイターの景井ひな(24)。景井はどういう道のりで人気TikTokクリエイターとなったのか。今後の夢は?

インタビューに応じた景井ひな【写真:冨田味我】
インタビューに応じた景井ひな【写真:冨田味我】

TikTokからカンヌ国際映画祭に日本代表として招待

 TikTokからカンヌ国際映画祭に日本代表として招待されたのが、TikTokクリエイターの景井ひな(24)。景井はどういう道のりで人気TikTokクリエイターとなったのか。今後の夢は?(取材・文=平辻哲也)

 景井は熊本県出身の24歳。ショートムービープラットフォーム「TikTok」は1000万人以上、「インスタグラム」34万人、「ツイッター」13万人のフォロワーを持つ人気者。しかし、4年前までは、流行にはさほど敏感でもない、ごく普通の二十歳の女性だったという。

 きっかけは大阪でのブライダル専門学校時代にTikTokを始めたこと。

「TikTokが私の周りで一気に流行り始めて、友達から一緒に撮ろうと誘われたのがきっかけです。私自身はTikTokという存在自体、知らなかったんです」

 TikTokでは当時、すっぴんからメイクをした姿に変わる動画が流行。景井も真似して、撮ってみた。アップしてすぐは反響はなかったが、1晩寝て、起きて画面を見たら、大バズリだった。

「私、個性的な服が多いので、次にその動画を上げたら、それもバズって。その時に流行っていた撮影の仕方を真似たら、それもバズって……。その3段階で、トントントンって。運とタイミングがよかったんだと思います。ちょうど、SNSでは、新しい人が出てなかった時だったんだと思うんです。その中で、個性的な服を着ていることで注目を集めることができたんじゃないかなと思っています」

 この大バズリを経て、2019年「ホリプロデジタルエンターテインメント」に所属。これを機に、内定していた就職先に断りを入れ、SNSの世界に飛び込んだ。実は熊本にいた小学時代、スカウトを受けたこともあって、エンターテインメントの世界には憧れがあり、決断に一切の迷いはなかった。

「小学生でスカウトを受けた時は、親は名刺も受け取らず、『もういいです』みたいな感じ。親に相談したら、絶対に反対されると分かっていました。だから、先に内定先にお断りの電話を入れて、後戻りできない状況にしてから、親に話しました。本当はそのまま東京に行こうと思っていたのですが、『一旦、熊本に帰ってきなさい』とめちゃくちゃ怒られて。『2年でダメだったら、帰ってこい』という条件付きでやっと許してもらえたんです。2年で結果を出せなかったら、帰らなければいいや、と心の中で思いながら、東京に出てきました」と笑い。

小さい頃の夢を明かした景井ひな【写真:冨田味我】
小さい頃の夢を明かした景井ひな【写真:冨田味我】

 その後はTikTokでさらにフォロワー数を伸ばし、SNSの世界だけではなく、21年にはテレビ朝日『警視庁・捜査一課長』season5で女優デビュー。バラエティー番組やドラマ、映画など活動の幅を広げてきた。

「元々、事務所に入った時も、漠然と『お芝居をしたい』という話をしていたんです。初めて連続ドラマに出演してから、女優という仕事がどんなものかを感じることができた気がしたんです。それから、努力の仕方が変わった感じがしました」と振り返る。

 その後はワークショップに通い、演技スキルも磨いてきた。

「自分の演技には、どこかつっかかりがあったんです。あまり良くないと思っているんだけど、監督が『オーケー』と言っているのだから、いいのかなって。そういう悩みをワークショップの先生に話したり、もともと大声を出しづらかったんですが、声の出し方も教えてもらって、学べることがたくさんあるんだなと思いました」

 小さい頃の夢はなんだったのか。

「もともとモデルやデザイナーの仕事には憧れていました。でも、私、すごく数字が苦手で(笑)。デザイナーは寸法を測らなきゃいけないんですが、定規の物差しも測るのが苦手なくらい。だから、デザイナーの夢は早々に諦めました。テレビで、東京ガールズコレクションに出演するモデルさんがかわいいお洋服を着て、かわいいメークをして、歩いている姿を見て、私もこの仕事がしたいと思っていました。中学生の頃は、文化祭の劇で主役をやったこともあって、お芝居って楽しいんだ、とも思っていました」

 SNSでの活動には力を入れつつ、もっと本格的に俳優業に力を入れたい、という思いもある。

「憧れている方は安藤サクラさん。本当に自然体のお芝居、すごいなと思います。今回のカンヌ国際映画祭への参加に当たって、『怪物』もいち早く見せていただきましたが、みなさん、作品に溶け込んでいて、『こういう人いるな』っていうお芝居をされている。私もこういう演技ができたら、と思います。カンヌを体験したことで、英語をもっと勉強して、海外のお仕事にも挑戦していきたいと思っています」。TikTokクリエイターから女優へ。令和時代ならではの、道を辿ってきた景井は、今後も新たな一面を見せてくれそうだ。

□景井ひな(かげい・ひな)1999年2月19日、熊本県生まれ。2019年にTikTokの投稿を開始し、わずか2年7カ月でフォロワー数1000万人を突破。TikTokクリエイターとして人気を集め、注目される。現在は多くのバラエティー番組のみならず、映画『TANG タング』(ワーナー・ブラザース/2022年)、ドラマ『チェイサーゲーム』(テレビ東京/2022年)等、ドラマや映画にも多数出演し、俳優としても活躍中。

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