錦鯉はなぜアンチが少ない? 「雅紀さんは生きてるだけでいい」好感呼ぶおじさんの“コンビ愛”

M-1グランプリ2021王者として、今やテレビで見ない日はない人気お笑いコンビ「錦鯉」。2022年にはテレビ番組の出演本数が400本を突破、今年52歳を迎える長谷川雅紀、45歳の渡辺隆という“中年の星”が見事なブレークを果たした。子どもから大人まで幅広い世代から支持を集め、ネット上では「アンチが少ない芸人」としても話題になる錦鯉だが、誰からも愛される秘訣とは何なのか。芸人としてのブレークを目指す若い世代へのアドバイスを聞いた。

「キャラがない」と悩む若手芸人への“金言”を語った錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆【写真:山口比佐夫】
「キャラがない」と悩む若手芸人への“金言”を語った錦鯉の長谷川雅紀(左)と渡辺隆【写真:山口比佐夫】

幅広い世代から支持を集め、ネット上では「アンチが少ない芸人」としても話題に

 M-1グランプリ2021王者として、今やテレビで見ない日はない人気お笑いコンビ「錦鯉」。2022年にはテレビ番組の出演本数が400本を突破、今年52歳を迎える長谷川雅紀、45歳の渡辺隆という“中年の星”が見事なブレークを果たした。子どもから大人まで幅広い世代から支持を集め、ネット上では「アンチが少ない芸人」としても話題になる錦鯉だが、誰からも愛される秘訣とは何なのか。芸人としてのブレークを目指す若い世代へのアドバイスを聞いた。【後編】(取材・構成=佐藤佑輔)

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――21年のM-1決勝前のインタビューでは「笑いの世代論」についてお聞きしたが、今や子どもたちからも大人気だ

長谷川「本当にありがたいです。芸能人の方から『うちの子がファンなんです』とおっしゃっていただく機会も多く、スタッフさんのお子さんと一緒に写真撮ったりもします。テレビに出る前のライブでは、同年代のおじさんのお客さんばっかりだったので、めちゃくちゃうれしいです。狙ったわけじゃないんですけど、テレビに出ればファンになってくれる層もいるものなんだなと。ただ、10代20代の若者、特に女性からの人気はまったくない。そりゃそうですよね。10代の女の子が『錦鯉が好き!』とか言ってたら、友達から『どこがいいの?』『気持ち悪い!』『おじさん!』って言われちゃいますよ(笑)。でも、お子さんから好かれるというのは本当にうれしいです」

――「錦鯉にはアンチが少ない」というのはネット上でも話題になっている

渡辺「何でですかね? 僕は最近ネットニュースでキャバクラ通いがバレましたけど、不思議と好意的な反応が多かったです」

長谷川「よくネットニュースになるなっていうのは感じました。犬から僕に電話がかかってきた話がYahoo!ニュースになったときはびっくりしました。日本って平和だなーって思いました。……僕は自分ではあまり攻撃的な性格ではないと思うのですが、それは30年近くも芽が出なくて、自分はダメ人間なんだっていう劣等感とか、自信のなさが全身にこびりついているからなんです。それを怒りやエネルギーに変える人もいますけど、僕はそうは思えなくて。でも、テレビに出させていただけるようになって、全然うまくできないのに、共演者の方もスタッフさんもみんな優しいんです。そうか、ありのままでもいいのかって、ようやく少し前向きに生きられるようになってきた気がします」

渡辺「だから気づくのが遅いんだって。俺が10年前から言ってるでしょ、『雅紀さんは生きてるだけでいいんだから』って(笑)」

――強烈なキャラがなかったり、芽が出なくて伸び悩んでいる若手にアドバイスを送るとしたら

長谷川「僕から言わせてもらうと、キャラのない人なんていないと思うんです。キャラがないって悩んでる芸人っていうのは、きっと自分をさらけ出していないだけなんです。自分の好きなものとか、こだわりとか、人間って突き詰めていけば必ずどこかズレてたり、変なところがあると思ってる。カッコつけたいから、変に思われたくないからって取り繕ってるだけだと思うんです。キャラがない人なんていないんですよ! 全部さらけ出したら僕みたいになれる? そうですよ!」

渡辺「じゃあ、やめた方がいいじゃねえか(笑)」

長谷川「いやいやいやいや(笑)。確かに一般社会だったら、ちょっと距離をおかれちゃったり、あの人危ないなって思われちゃうリスクもありますけど。でも芸人ならそれでもいいじゃないですか。僕みたいに歯がないのも、一般社会だったらマイナスというか、きちんとした仕事には就けないかもしれないけど、芸人だったら立派な武器になりますから」

渡辺「コンビだったら、2人で何をやったら一番面白いかってことをその場その場で突き詰めていけば、おのずとキャラというものも見つかっていくんじゃないですか。中には、一言もしゃべらないのが一番面白いってコンビもいるかもしれない。自分たちにとって一番の面白さは何なのか、それを考えていった先に、見つかるものだと思います」

□長谷川雅紀(はせがわ・まさのり) 1971年7月30日、北海道札幌市出身。お笑いコンビ「錦鯉」のボケ担当。北海道の専門学校を中退後、94年にコンビ「まさまさきのり」(その後『マッサジル』に改名)でデビュー。解散後、ピン芸人「のりのりまさのり」を経て、2012年に渡辺と「錦鯉」を結成。21年に初の自叙伝「くすぶり中年の逆襲」を出版。M-1グランプリ2021王者。

□渡辺隆(わたなべ・たかし) 1978年4月15日、東京都江戸川区出身。お笑いコンビ「錦鯉」のツッコミ担当。大学中退後、01年にコンビ「ガスマスク」でデビュー。解散後、コンビ「桜前線」を経て2012年に長谷川と「錦鯉」を結成。21年に初の自叙伝「くすぶり中年の逆襲」を出版。M-1グランプリ2021王者。

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