力道山が初代王者、ジャイアント馬場も保持した伝統タイトル “封印”解いた30歳新王者

力道山、ジャイアント馬場も保持した伝統のベルトが、コロナ禍の封印を解いて4年ぶりに復活。新王者に輝いた大門寺崇が、新たな船出を宣言した。

大門寺崇はディラン・ジェームスを攻め立てた【写真:ランズエンド提供】
大門寺崇はディラン・ジェームスを攻め立てた【写真:ランズエンド提供】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.149】

 力道山、ジャイアント馬場も保持した伝統のベルトが、コロナ禍の封印を解いて4年ぶりに復活。新王者に輝いた大門寺崇が、新たな船出を宣言した。

 オールアジアヘビー級王座。ベルトは2018年の復活時に新装されたが、その歴史は日本プロレス、初代王者・力道山にまでさかのぼる。1955年、日本プロレスが開催したアジア選手権大会に優勝した力道山が初代王者となった。

 大木金太郎、馬場らが王者史にその名前を刻んだが、いったん消滅。2018年にオールアジアヘビー級ベルト管理委員会の元、ランズエンドで再興された。19年にキム・ナムソクが第10代王者になるものの、世界中がコロナ禍に襲われ、王者の来日も難しくなりベルトは返上された。

 コロナ禍も明けたことで、王座復活の気運が高まり、6月6日、ランズエンドの神奈川・横浜「FUKUSHIMANIA」大会で新王者決定戦、大門寺VSディラン・ジェイムスのゴングが鳴った。

 ランズエンドの若きエース・大門寺とZERO1、全日本プロレスなどで活躍したディラン。185センチ、110キロの大門寺と195センチ、115キロのディランの激突は、文字通り肉弾相打つド迫力のヘビー級バトルとなった。

 スーパーヘビー級戦士・ディランのチョップ、ラリアートなど重く気迫みなぎる攻撃を歯を食いしばった耐える大門寺。落差のあるチョークスラム、ブレーンバスター、骨もきしむラリアートに幾度となく追い込まれたが、必死に立ち上がった。

 大門寺は場外に落としたディランにスピーディーな人間ロケット。ポスト最上段からのダイビングラリアートなどで反撃。最後はディランの胸板、後頭部に前から後ろから魂のこもったライアートを連射。18分44秒、ブラックレインからの片エビ固めで、粘るディランをとうとう仕留めた。

伝統のベルトを腰に巻いた大門寺崇【写真:柴田惣一】
伝統のベルトを腰に巻いた大門寺崇【写真:柴田惣一】

大門寺「封印されていたタイトルを手に入れることができた」

 ダイナミックな好勝負だった。精も根も尽き果てた大門寺だが、ベルトを大事そうに掲げ「この力道山から始まるベルト、封印されていたタイトルを手に入れることができた。コロナもあって、また空位になっていたが獲得できた。皆さんの応援のおかげ。ありがとうございます」とマイクアピール。会場に戻って来た歓声と、大門寺とファンの笑顔が大爆発した。

「これからもヘビー級のバトルをお見せしたい。アジアで世界で、このベルトを披露していく」とキッパリ。喜びに浸りながらも、王者の自覚と自負、熱い想いが全身にみなぎっていた。

 その背中を頼もし気に見つめるランズエンドのリーダー、崔領二は「歴史あるベルトだけど、過去にこだわる必要はない。過去は未来を変えられないから。彼がどんなベルトにしていくか。そこだけ。生かすも殺すも王者次第」と、新たな歴史を紡いでいくことを大門寺に期待している。

 なおも「30歳になるまで、彼にはいろんなことがあった。これまでベルトには縁がなかったが、ようやくこのベルトにたどりついた。オールアジアのタイトルと深い縁があったということ。一生に一度でも縁が繋がったのだから、成功する使命がある。彼ならやってくれると思う」とゲキを飛ばす。

 大門寺崇。若武者のチャンピオンロードは、今まさに始まったばかり。燃える好漢の奮闘に注目するしかない。(文中敬称略)

次のページへ (2/2) 【写真】オールアジアヘビー級王座のベルトと認定書
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