全国で車両盗難が深刻になっている中で、またしても被害が起きた。若手起業家のレクサスが狙われたのだ。人気車種の「レクサスLX570」。被害に遭った山本雅俊さんは、リフォーム会社など複数企業の社長として陣頭指揮を執りながらも、悲痛な思いでいる。（取材・文＝吉原知也）

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　仕事に出かけるために駐車場に行く、いつもの朝が暗転した。5月28日朝、埼玉・富士見市内にある会社で契約している月極駐車場で、止めていたはずのレクサスがないことに気付いた。山本社長が駐車したのは、同23日の夜。同25日の朝に、従業員が止まっていないことを把握したが、どこかに出たのだろうと思い、そのままにしていたという。

　慌てた山本社長はもしかしたら記憶違いかもしれないと、普段使用している別のいくつかの駐車場に確認したが、どこにも止まっていない。「頭が真っ白になりました」。警察と保険会社に届け出た。

　2018年に約1500万円で購入した1台。「LXは盗難が多いと聞いていました。やっぱりか、そう思いました。フルオプションでレクサスの防犯システムに入っていたのですが……。とにかく、行き場のない怒りを覚えます。レクサスの担当者からは、もし盗まれてしまうとほとんど見つかることはないとも聞いていました。見つかったらいいなと願う一方で、半ばあきらめの気持ちもあります」。複雑な心境を吐露した。

　山本社長は被害報告を自身のツイッターアカウント（@Yamamoto__M）で発信した。数多くの激励が届いているという。

「めったに会わない友達から『大丈夫か』とメッセージをもらいました。それに、SNSでも多くの方からDMを送っていただいて。『見つからないかもしれないけど、最後まで信じています』といったフォローをいただきました。タクシー運転手の方からは『仕事柄、近くを通るので、何か情報があれば連絡します』と。本当に皆さんありがたいです」と感謝の言葉を口にする。

　自身は33歳ながら、リフォーム会社をメインに、マンション区画のリノベーション販売、不動産などを手がけている。苦労を重ねて一生懸命に働く実業家として、強く思うことがある。

　犯人に対して言いたいのは、「逮捕のリスクを冒してまでやることですか？　まっとうなことをしましょうよ」ということだ。

　そのうえで、「他人の車を盗んでお金に変える。悲しい世の中ですよね。このようなことができる技術とバイタリティーがあるのなら、まっとうなことに使ってほしいです。ちゃんと働けば、この車の値段分を稼げると思いますよ。頑張る方向が違うでしょう。少しでも社会に貢献することに力を使ってほしいです」と話している。