女優・田村芽実が初出演となるNHKの連続テレビ小説『らんまん』（月～土曜午前8時）について取材に応じ、出演が決まった際の心境や演じる大畑佳代という人物への思いなどを明かした。江戸末期に生まれ、激動の時代に、草花を愛し、夢に向かって人生をまっすぐに歩んだ植物学者・槙野万太郎（神木隆之介）の生涯を描くオリジナル作品。佳代は主人公・万太郎が植物学雑誌を作るため、技術を学ぼうとして働く印刷所の経営者・大畑義平（奥田瑛二）とイチ（鶴田真由）の娘。男勝りで江戸っ子的な雰囲気を感じさせる設定。

　まずは初めての朝ドラ出演の感想から聞いた。

「子どもの頃から家族で毎回見ていましたし、大人になっても見ています。日本で一番有名なドラマだと私は思っています。出演が決まったときはうれしいというより、びっくりした感じでしょうか。駅のホームでマネジャーさんと大きくハイタッチしました。今も撮影が続いていますが、まだ夢のようです」

　主人公の万太郎との初対面は「汚い」「汗臭い」と言い放つコミカルなシーンだった。

「監督さんから大畑家はワイワイ、ガチャガチャやってほしいという演出をしていただいたので、できるだけその形で演じました。『汚い』と言うときは心の底から自分の思う一番の汚いという気持ちを、腹の中から言っていたと思います。実際の現場は臭くないのですが、万太郎に限らず、印刷所の男性たちは汗をかいていましたし、肌が見える衣装でセットも緻密。見た目から男くささを感じ取れましたので、心のままに出てきた言葉として言えた感じです。無理せず言えました（笑）」

　佳代はせっかちな設定。自身と重なる部分はあるだろうか。

「実はすごくあります。私も、せかせかと生きている人間なので、せっかちな人間を演じることに苦は全くなく、自分に合うなと思いました。でも、佳代は素直。私も素直な部分もありますが天邪鬼な部分もあるので、佳代ちゃんみたいに素直に生きていけたらいいなと、役から学ぶことがたくさんありました」

　台本を初めて手にしたときの感想も尋ねた。

「初めて頂いたときは、ああ、私、本当に朝ドラに出るんだな、といううれしさがありました。お話を頂く際にも男勝りな江戸っ子の役をお願いしたいと聞いていましたが、男気のある、ちゃきちゃきしている女性を演じるんだなと感じました」

　印象的なシーンも紹介してくれた。

「奥田瑛二さんが演じるお父さんに『ボケ』というシーンがあります。そんなことを言う子がこの時代にいたのかなというぐらいの子。自分の父親にはむかい、父親より自分の方がカーストは上と思っているような佳代。ですが、この時代でも本当にいそうだなと思える台本だと思いましたし、それを立体的にしていきたいと思いました」

　寿恵子を演じる浜辺美波の印象はどうだろう。

「もともと好きな方で、お芝居も好きですけど顔も声も私のタイプなんです。お会いするずっと前から好きで、かわいい女優さんだなと思っていました。実際に会っても本当にかわいいので、天女さまという言葉がぴったり。眼福です」

　芸能界活動を始めて約19年。主な活動の場はステージだった。朝ドラで今回、得たことはあるだろうか。

「舞台女優としてずっとやってきましたが、映像が嫌いというわけでは全くなく、私の中で身近にあったのが舞台でした。映像は次元の違う世界と思って生きてきましたが、今回、朝ドラに出演させていただき、周りの皆さんが本当に温かかったことで自由にやらせていただけたのと、役がとても個性的だったので、私自身、脱皮できました。私は今後、どんな女優になりたいのか、どんなお芝居をしていきたいのか、とあらためて考えるきっかけになりました。もともと小林聡美さんとか、片桐はいりさんとか、個性派と呼ばれる女優が子どもの頃から大好きだったのですが、私もそういう個性派女優になりたいという明確な夢ができました」

　最後に視聴者にメッセージ。

「子供の頃、朝ごはんを食べながら朝ドラを見ていたのですが、朝ドラを見ると1日がとても晴れやかになる印象があり、私には心のラジオ体操のみたいなんです。『らんまん』を見ていただき、毎朝、心のラジオ体操をして心を整えて、いい1日を毎日送っていただけたらうれしいです」