今を生きるガラシャの子孫・細川珠生さんの思い「“先代”ができなかったことを…」

政治ジャーナリストとして活躍する細川珠生さん。三井住友建設の社外取締役や内閣府男女共同参画会議の民間議員でもあり、活動は多岐にわたるが、子育てや両親の介護をしながら、キャリアを築いてきた。また、明智光秀とその娘・細川ガラシャ(たま)の子孫という顔も持つ。細川さんに女性のキャリアと先祖・細川家や明智家に伝わる話などを聞く企画。今回は女性のキャリアと、ガラシャへの思いについて尋ねた。

近況と細川ガラシャについて語る細川珠生さん
近況と細川ガラシャについて語る細川珠生さん

政治ジャーナリスト、内閣府男女共同参画会議議員、三井住友建設社外取締役、学生…

 政治ジャーナリストとして活躍する細川珠生さん。三井住友建設の社外取締役や内閣府男女共同参画会議の民間議員でもあり、活動は多岐にわたるが、子育てや両親の介護をしながら、キャリアを築いてきた。また、明智光秀とその娘・細川ガラシャ(たま)の子孫という顔も持つ。細川さんに女性のキャリアと先祖・細川家や明智家に伝わる話などを聞く企画。今回は女性のキャリアと、ガラシャへの思いについて尋ねた。(取材・構成=中野由喜)

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

「私は、結婚をしても、子どもができても、一生仕事をしたいと思ってきましたが、それは自分のアイデンティティーを確立したいと願っていたからです。『細川珠生である』という人生を全うしたい。しかし、家庭と仕事の両立は、現実には、とても大変なものでした」

 内閣府男女共同参画会議では、そのような経験が生かされているのだろうか。

「同会議では、女性活躍が最も遅れている政治と経済についての意見を述べています。私が子育てを経験して思うのは、子どもには母性も大事だということです。私はずっと仕事をしてきましたが、一定程度、子育てを中心に考えられる働き方ができることが重要だと考えています。『女性活躍』というと、どうしても女性のキャリアを築くことばかりに視点がいってしまいますが、男女が共に子育てをすることも含め、『親』としての役割も疎かにしない社会であるべきだと思います」

 三井住友建設の社外取締役を務め、建設業界でジェンダー主流化推進の役割も担う。さらに大学院で教育、人材育成を学ぶ学生でもある。

「取材がきっかけで品川区の教育委員になり、35歳から8年間務めました。以来、教育に関わる仕事をしてきましたが、教育学は修めていなかったのです。子育てを経験し、人を育てるのは嫌いではないことにも気づき、教育の仕事をこれからも続けるために、思い切って昨年、53歳で母校の聖心女子大学の大学院に入学しました。今、30歳あまり年下の女性たちと机を並べて勉強していますが、とても刺激的な毎日です」

 大学院での学びを得て、具体的にどんなことをしていきたいのだろうか。

「場はどこになるかは、まだ決めかねていますが、企業で人材を育てることや、新しい教育を行おうとしている学校などで働いてみたい。また、今、女子大は経営が大変ですが、私は社会人学生を増やすことが女子大の生き残りに重要と考えています。子育てや仕事があっても学び直しのできる環境をどう作っていくのかということにも、何か貢献できたらと思います」

「もちろん洗礼名は、たまと同じガラシャです」

 細川ガラシャは、戦国時代には珍しい、自分をしっかりと持った女性として描かれることが多い。細川さんもエネルギッシュで強さを感じる。ガラシャ譲りか。

「いろいろな文献を読むと当時(戦国時代)の女性の地位は必ずしも低くなく、内に引っ込んでいるだけではなかったようです。それでも、自らのアイデンティティーを築くということまではできなかったのではないでしょうか。その意味からも、“先代”ガラシャができなかったことが成し遂げられたらうれしいですね」

 ガラシャはキリスト教の洗礼名でもあり、細川さんも、同じカトリック信者だ。

「我が家は日蓮宗ですが、私は、たまがキリスト教信者であったことはずっと意識をしていました。また、幼稚園からカトリックの教育を受けてきたので、受洗は自然なこと。もちろん洗礼名は、たまと同じガラシャです」

 名前にある「珠」もガラシャに由来すると思いつつ、念のために確認した。

「関係ないんです。研究者の方ともお話しましたが、『細川たま』の表記が、漢字で書かれた物はなく、どれも平仮名。しかも手紙には『た』としか書かれていないものもあります。漢字は後からあてた可能性がある。漢字が使われる場合、『玉』が多いのですが、時折『珠』が使われるのは私の名前のせいかもしれません(笑)」

 次回はガラシャと、細川家、そしてガラシャの父である明智光秀への思いを聞く。

□細川珠生(ほそかわ・たまお) 1968年東京生まれ。91年聖心女子大卒、同年から92年まで米ペパーダイン大学政治学部留学。現在、聖心女子大大学院人文科学研究科博士課程に在学中。20代よりジャーナリストとして、政治、地方自治や教育などの執筆、講演、メディア活動を行う。Podcast『細川珠生の気になる珠手箱』を公開中。現在、三井住友建設(株)社外取締役、内閣府男女参画会議議員、東京都情報公開・個人情報保護審議会委員、(公財)国家基本問題研究所理事などを務める。故・細川隆一郎氏は父、故・細川隆元氏は大叔父。熊本藩主・細川忠興、たま(ガラシャ)夫妻の長男・忠隆の直系卑属。キリスト教カトリック信者で洗礼名はガラシャ。著書に『私の先祖 明智光秀』、『明智光秀10の謎』(宝島社)、『自治体の挑戦』(学陽書房)などがある。細川隆一郎との父娘関係をつづった『娘のいいぶんがんこ親父にうまく育てられる法』で、第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください