34歳タクシードライバー「世間がいう底辺職の給料」は月収60万円…驚愕の“稼ぎ事情”
タクシー運転手は稼げない仕事なのか? 世間一般のイメージを覆すような投稿が注目を集めている。10か月前に転職して業界入りした30代の男性ドライバーは、今年5月の給料の支給額が「60万2264円」。働き次第では月収70万円を見込めるというのだ。プライベートや休憩時間を確保でき、「こんな最高な仕事は他にない」と明かす、“タクドラ”の実情に迫った。
日本の給与所得者の平均年収は443万円、10か月前に転職「月収70万、夜勤なら月収100万」も夢ではない
タクシー運転手は稼げない仕事なのか? 世間一般のイメージを覆すような投稿が注目を集めている。10か月前に転職して業界入りした30代の男性ドライバーは、今年5月の給料の支給額が「60万2264円」。働き次第では月収70万円を見込めるというのだ。プライベートや休憩時間を確保でき、「こんな最高な仕事は他にない」と明かす、“タクドラ”の実情に迫った。(取材・文=吉原知也)
「底辺の仕事ねぇ… まぁ、やり始めるまでは確かに世間体悪いかなぁと思ったけれど。職業に貴賤無しだよね。タクドラ始めて10ヶ月、世間がいう底辺職の給料です。1日6時間休憩したとしても怒られず、自分のペースで働ける。プライベートも充実する。こんな最高な仕事他にないよ」
男性ドライバーは「CUCHALA_taxi」(@CUCHALA_taxi)のツイッターアカウントで、給与明細を公開した。支給合計の欄は「60万2264円」、差引支給額は「53万3094円」と記載されている。
控除合計は「6万9170円」だが、「控除については社会保険の等級が前職給与ベースであることと住民税が特別徴収切り替わりの前であるため金額が少なくなっています」という。
投稿は5万件以上のいいね、1800万回超の閲覧数を集め、大きな反響を呼んだ。
今年34歳になる男性ドライバーの職歴。元黒服といい、約2年前からNFT(非代替性トークン)クリエーターを始めた。前職は建設関係の仕事に就いていたが、「労働時間が長く、プライベートでの時間の確保が難しくなり、作品の制作ができない状況に陥ったため転職を決意しました」という。前職は毎日14時間勤務で月収43万円ほどだった。
転職活動で重視したのは2点。「プライベートの時間を確保できること、前職の給与水準を下回らないこと」だ。考え抜いた結果、選択肢として残ったのがタクシードライバーだった。
当初は男性自身、こんな印象を抱いていた。「やはりリタイアしたおじいちゃんたちのする仕事、どの仕事も続かなくて最終的にたどり着く仕事。このイメージが強かったです」。決め手となったのは、妻の存在だ。「妻から、『あなたは黙々と作業することが好きなのでタクシーが向いていると思う』と背中を押されまして、転職の決意をしました」と振り返る。
法人のタクシードライバーとして働いており、今回の60万円の月額給与は、隔日勤務で12勤(1勤務あたり20時間)の結果だ。給与システムは最低保証はあるというが、「基本的にそれを上回る売上を出すので、完全歩合給といった感じです。もし売上が乏しい場合は最低保証給となります」とのことだ。
タクシードライバーになってからの給与はいくらもらっているのか、気になるところだ。最初の2か月は免許取得や研修が主だったといい、3か月目以降のタクシーに乗務してからの総支給額を教えてもらった。
「2022年
10月 40万1741円
11月 52万3350円
12月 68万2326円(年末調整込み)
23年
1月 46万2689円
2月 57万1678円
3月 62万1207円
4月 68万4573円
5月 60万2264円」
年収700万円を狙えるペースだ。国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は443万円。驚きの数字と言えるだろう。
妻の反応は「子どもが産まれた際、1日おきに家にいてくれることで、安心できると喜んでもらっています」
タクシードライバーについて“よく言われること”。やってみて実際はどうなのか。「世間一般のタクシードライバーという職業へのイメージについては、学歴関係なく誰でもなれる仕事、一般企業で務まらなかった人間がやる仕事、定年後のおじいちゃんのやる仕事、拘束時間が長くキツい、賃金が安い、お客様対応が大変、マナーが悪い。こんなところでしょうか。確かにこれら全ては事実です」と明かす。
その一方で、多くのメリットがあるといい、「私の主観では、1日の拘束時間は長いが翌日しっかりと休息はとれるし休みも多く、自分の頑張り次第では月収70万(隔日勤務の場合、ナイトなら月収100万超可能)が現実的に可能であるということが挙げられます。それに、勤務中は基本1人なので、余計な人間関係で悩む必要がない。ハンドルを握るという仕事のため、職場での強制的な飲み会などがない。仕事自体ゲーム感覚で楽しいです」と強調する。
自分自身の満足度、家族の受け止めについて、「なかなか楽しく仕事ができています。労働環境も決して悪いとは感じません。体の負担は以前の仕事の方が疲労感を感じていました。妻からは子どもが産まれた際、1日おきに家にいてくれることで、安心できると喜んでもらっています」と語る。
日本では、仕事の流動化が徐々に進んでいる。転職は珍しいことではなくなり、自分のライフプランに合わせて、仕事を主体的に選べるようになってきた。天職を見つけたとも言える男性は今後の運転手としての生き方について、「無事故無違反で安全にお客様をお乗せできるように努めていきます。その中で自分なりの楽しみ方を見つけていきたいと思っています」と話している。