美しさやしなやかさ、おもてなし精神を兼ね備えたレースクイーンの存在が注目度を高めている。日本最大級のカーレース「SUPER GT」（6月3～4日、鈴鹿サーキットで第3戦）で今季、GT500クラスに参戦する名門レースチーム「ARTA」を力強く支えるのが、「ARTA GALS」だ。レースクイーンとしての今季の意気込み、“ならでは”の強みとは。加入4年目、はらことはが目指す理想像を聞いた。（取材・文＝吉原知也）

　身長167センチで、スラっとしたプロポーション。幼い頃からクラシックバレエやダンスに親しんできた。そこで培った“武器”は、姿勢の美しさとタフさだ。「週3、4回の運動習慣があって、筋トレやピラティスなどに取り組んでいます。結構体力には自信があります」。

　暑くても寒くても、雨が降っても、長時間ヒールで立ちっぱなし。そんな過酷な体力勝負のサーキット現場。きりっとした姿勢とスタイルを維持できることが自慢で、「私たちは普段、すごく高いヒールを履いているので、他のみんなからは『足痛いね』という声を聞くことがあります。そんな時でも、私は『えっ、そんな痛くない』と思うことが今まで何回もありました。きっと私は足が強いんだなって（笑）。鍛えてるおかげかな、と思っています」と笑顔を見せる。

　友人に誘われて2輪レースでスポットの仕事をしたのが、業界に入るきっかけ。「サーキットって楽しい」と実感し、夢の実現に向けて前進してきた。地元・九州でサーキットクイーンの仕事をつかんだが、2年契約で終了。卒業を迎えると、「SUPER GTのレースクイーン」を具体的な目標に掲げ、成功を収めた先輩の家に泊まらせてもらってオーディションに通うなど、苦労を重ねた。2017年に念願のレースクイーンデビューを勝ち取った。

　注目度の高いARTA GALSに仲間入りして4年目。「今までの3年間でできなかったこと」に新しく取り組むつもりだ。「シーズン終わりに、成果や課題を振り返るミーティングの中で、『チームの皆さんとコミュニケーションをしっかりとれましたか？　評価を自分で付けてみましょう』といった項目がありました。その時に、私自身、あまり意識してこなかったことに気付きました。SNS発信など自分のことは頑張ろうと心がけていましたが、実際にチームの現場の方々とうまくコミュニケーションがとれていたのか。考え直しました。4年目はそこを意識して頑張ってみようと思っています。試合の際は緊張感のある現場になるので、皆さんの邪魔にならないように、例えばピットがどんな様子なのか積極的に見に行く、そういったことでも、重ねていきたいです。何かチームにとってプラスになるよう努めていきたいです」。チームのために何かできることをしたい――。そんな生真面目な一面をのぞかせた。

　個性、力強さ、スタイリッシュさ。レースクイーンのコスチュームは1人1人の魅力を最大限に発揮できるように、各チームがデザインにこだわっている。一方で、その中には露出度が高いタイプの衣装もある。実際のところ、抵抗感はなかったのか。

「私自身、クラシックバレエをやっていたので、レオタードの衣装を着て、小さい頃から舞台に立ってきました。全く抵抗はなかったです。レースクイーンのコスチュームには、必ずチーム名やスポンサーさんの企業ロゴが入っています。『私たちは広告塔でもあるんだ』ということを忘れちゃいけない、と思っています。かわいい衣装ということだけではなく、身に着けさせていただいているという緊張感や責任感を持つことが大事かなと考えています」。レースクイーンとしての使命感を強く自覚している。

　そんな頑張り屋にとって、「家族や友人やファンの皆さんの応援が一番の支えです」。プロ意識と信念を持って、レース場に立ち続ける。

　2023年シーズンのARTA GALSは、はら、真木しおり、沢すみれの3人が引き続き参加。新たに今井みどり、木村理恵、藤井マリーの3人が加わり、6人体制で精力的に活動している。