【どうする家康】米本学仁、松本潤の愛に感謝「『頑張ってね』にグッと来て勇気を…」

俳優・米本学仁が28日、NHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる山田八蔵についての思いをコメントした。八蔵はクーデターをもくろむ家臣らと、徳川への忠義との間で心が揺れる人物。

山田八蔵を演じる米本学仁【写真:(C)NHK】
山田八蔵を演じる米本学仁【写真:(C)NHK】

クーデターをもくろむ家臣らと、徳川への忠義との間で揺れる山田八蔵を熱演

 俳優・米本学仁が28日、NHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる山田八蔵についての思いをコメントした。八蔵はクーデターをもくろむ家臣らと、徳川への忠義との間で心が揺れる人物。

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 まずは八蔵をどのような人物と解釈して演じたのか。

「山田八蔵として一歩目を歩む上で大切にしていたのは『不安と迷い』でした。お話を頂いてからまず八蔵の足跡をたどるために、愛知県に向かいました。山田八蔵の塚といわれている場所を訪ねてみたら、こんもりと土が盛られていて、1本の道が2つに別れる場所でした。そこで、手を合わせ、八蔵の塚をじっと眺め、一つ一つの呼吸をかみしめながら佇んでいると、この道で良いのか、何をするべきか、八蔵は常に迷っていたんじゃないかな、そんなことを感じました。優柔不断と言えばそうなのですが、最後まで不安の中にいて、迷いながらも進んだ八蔵。大岡弥四郎、仲間たちの凄惨な死に様は、決して忘れられるものではなく、その上で自分の命を燃やすべき場所を心の奥底で求めていたのではないでしょうか」

 八蔵だけでなく築山殿、そして徳川信康のゆかりの地にも足を運んだと紹介。

「築山殿の人物像には諸説あり、あまりいい描かれ方をしていないこともあります。けれど八柱神社で出会えた『築山御前首塚』の石碑に書かれていた『…されど生害に値するほどの罪悪であっただろうか…』この一文から石碑を建てた人たちの思い、築山殿に向けられるまなざしに触れることができた気がします。それが山田八蔵を生きる上で一つのコンパスとなりした。八蔵が常に抱いていた不安や迷い、その苦悩に寄り添ってくださる築山殿の人となりを感じました」

 徳川と弥四郎らの間で揺れ動く八蔵の心をどうとらえて演じたのだろう。

「終わらない戦乱の世。失われていくことが当たり前の命。ドクドクと脈打つ深い悲しみ、荒くなる息。そんな不条理をぶち壊したい。切なる思いを共にする弥四郎。いろんな思いが巡る中『死にたくない』『生きて帰りたい』『会いたい』そんなシンプルだけど強い欲求が真ん中にありました弥四郎や他の仲間たち。そして彼らの家族たちとも過ごしたこれまでの日々を何度も思い返すことで八蔵の苦しさ、後ろめたさがより深く大きくなっていくのを感じました。クーデターを実行するその夜、弥四郎と目線を交わしたり、仲間たちと進む中も心の中でずっとずっと謝っていました。『すまぬ、すまぬ』と」

 第20回で印象に残っているシーンは。

「特に印象に残っているのは武田勝頼軍との戦に敗れ、怪我を負い城に戻って来るシーンです。たった一つしかない命を軽んじられること。またそんな状況に八蔵自身も慣れて麻痺していた部分もあったと思います。誰にも分け隔てなく手当てしてくださるお方様。戦乱の世の不条理が五徳さんのせりふに現れる中、烈火の如く怒る瀬名さんの言葉たちに涙が流れました。最後まで迷いながらも裏切りを決めていた八蔵にとってその姿は驚きそのものであり、自分の命と心に温度を取り戻しました。そして瀬名さん、信康様をはじめたくさんの人達の命を愛おしく大切に感じてしまいました。迷いながら、不安とともにまた一つ裏切りを重ねる山田八蔵が生まれた瞬間でした」

 第20回では、瀬名と八蔵のシーンが複数描かれた。瀬名に対する八蔵の思いをどうとらえて演じたのだろう。

「身分や立場の上下が決して覆らない時代に分け隔てなく接してくれる瀬名さんの存在は違和感。ただ命の価値があまりにも低い戦乱の世を生きる者にとって、それが当たり前で何の疑いも持ち得ない八蔵たちが現状を打破するには力によるクーデターしかないと思い込んでいました。そんな中、八蔵はこれで良いのかと迷い続け、疑問を捨てられません。そして瀬名さんも同じ苦悩を生きられたのだと思います。同じ問いと真正面から向き合い続けてある決意に至った瀬名。『八蔵、頼みがある』と真っすぐこちらを見る瀬名には正直、恐さを感じました。誠実で真っすぐで腹が決まったその姿は強さそのもので、暴力よりも強力な力を感じました。何かを変える人は優しさと怖さを同時に持つ人なのかもしれません」

 瀬名役・有村架純との共演の感想にも言及。

「有村架純さんはとても不思議な方でした。飄々と淡々としているようで、一度動き出すと感覚の塊がそこにあるようでした。合間にお話させて頂いた際もとってもおもしろくて忌憚のない方で、接していてしみじみ好奇心が湧いてくるような。ある日、前室で待機している間、有村さんと古川琴音さんと3人で話していたのですが、ふと有村さんがいなくなって、不意に戻られた時に『これどうぞ』とデコポンを僕と古川さんにくださいました。それが本当に、本当にうれしくて大げさでなく頬擦りしながら泣けてきました。家に帰っても何度も手に取り惜しみながらも大切にそのデコポンを頂だいしました。甘さも酸味もギュッと詰まった最高に美味しいデコポンでした。劇中でも貝殻に詰まった軟膏、それを包んでいる手ぬぐいを頂戴しました。体がしびれるくらいうれしかったです。劇中にくださいました軟膏と手ぬぐい、撮影の合間に頂いたデコポン、どちらも山田八蔵、米本学仁にとって格別なものとなりました」

 前作『鎌倉殿の13人』に続き、2作連続の大河ドラマ出演。出演が決まった時の気持ちも紹介してくれた。

「まず率直にうれしかったです。大河ドラマで演じられること、日本全国、老若男女たくさんの人に届く作品を生きられるのは幸せなことです。そんな大河ドラマの中に必要とされるのが本当にうれしいです。大きな『アイラヴユー』をまた一つ頂だいしました。『鎌倉殿の13人』に続き、今回も歩き方を大切にしたいと思い役に向き合いました。日本刀を手に、差しながら歩くこと、その上で迫力を失わないことをどう両立させられるのかは簡単ではありません。迫力は一つの結果ですが、それは同時に思いや決意の表れでもあるので、山田八蔵の思いを損なわず、どう歩くのか(考証の先生に)ご相談させていただきました。こういう問いに深い考察をへた答えを受けられること、答えてくださる先生方がおられるのが大河ドラマのすごさの一つだと思います」

 無事収録を終えた今の気持ちはどうだろう。

「『どうする家康』では山田八蔵を生きさせていただきました。とことん独りで生きることもありつつ、つくづく一人では生きていないんだと感じられることもたくさんありました。米本学仁から生まれる汗や重さ、大きさを生かしてくださり、時には台本にない動きが湧いて出て来たのを助監督さんが『こういうことやりたいんじゃない?』と感じ取ってくれたり、監督も『それやってみましょう』と背中を押してくれることがありました。そして松本潤くん、殿が合間に掛けてくれた『頑張ってね』にグッと来て勇気をもらいました。そんな皆さんに米本学仁は生かされて山田八蔵を精いっぱい、いやそれ以上に生きることができました。なんか今書きながら泣けてきます。そんな当たり前ではない愛を届けてくれた『どうする家康』の皆様に感謝です」

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