俳優の筒井真理子が26日、都内で行われた映画『波紋』初日舞台あいさつに、共演の光石研、磯村勇斗、メガホンをとった荻上直子監督とともに登壇した。

　本作は、新興宗教を信仰し、日々祈りと勉強会にいそしみながら、ひとり穏やかに暮らしていた須藤依子（筒井）のもとに、父の介護を押し付けたまま長いこと失踪したままだった夫・修（光石）が突然帰ってきたことを機に、自分ではどうにも出来ない辛苦が降りかかる様を描く絶望エンタテインメントとなっている。

　自身が演じた須藤依子と同様、嫌なことがあっても我慢するタイプだという筒井は「どんなに嫌なことがあっても自暴自棄にならないんですけど、以前にものすごく大変なことがいくつも起こってつらかったときがあって、朝起き上がれなくて“重力ってすごいんだ”、“それにあらがってちゃんと立ってたんだ”って思うくらいのときがありました」と打ち明けた。

「このままではいけない」と脚本を書き始めたそうで「毎日ムチを打って書き上げたんですけど、今は著名な役者さんがいて、まだそんなに（著名に）なる前から上手だなと思っていて“この人が演じてくれたらな”と思ったら、たまたま共演する機会があったので台本を持って行ったんです。『ぜひ主役をやってください』って」とエピソードを告白。

　その後、数年間、連絡がなかったそうだが、最近、共演する機会があったそうで「その方も気にしてくださっていたんですけど、『ごめん。まだ読んでないんだよね』って言われまして（笑）、私も半分忘れたようなものなので、2人で笑ったんですけど、依子が枯山水を描くように、私も絶望したときは自分にムチを打って何かをやっています」と遠くを見つめた。

　また、夫役の光石と共演した感想を求められた筒井は「劇中ではイラっとするんですけど、普段は現場にいてくださると和ませてくださるので、一家に1台、冬のこたつ、夏の扇風機ですね。ありがとうございます」と感謝。

　また木野花との共演が印象に残っているそうで「私が以前“ダメかな”と思ったときに愛情をかけてゲキを飛ばしてくださって救ってくださった方なので、くしくも同じようなせりふがあって、また自分が映ってないところでいいボールを投げてくださるんですよ。それにちょっと泣きそうでした」と目を輝かせた。