愛犬は成仏できるのか「ペット供養」で大論争

“うちの子”が死んでしまったら一体、どうなってしまうのか。ペットを飼う者なら、誰もが気になる問題である。最近は、ペットを室内飼育する家庭が増えていて、その存在は家族と同じか、むしろ、それ以上。そのため、死んだ際には、寺院に“人間並”の供養を願い出る人も増えているという。

供養されるロボット
供養されるロボット

我が子以上の存在に「人間と同じように成仏してほしい」

 “うちの子”が死んでしまったら一体、どうなってしまうのか。ペットを飼う者なら、誰もが気になる問題である。最近は、ペットを室内飼育する家庭が増えていて、その存在は家族と同じか、むしろ、それ以上。そのため、死んだ際には、寺院に“人間並”の供養を願い出る人も増えているという。

「ペットと葬式」の著書もあるジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は人とペットの関係性を次のように説明する。

 「犬の場合だと、30年前なら、庭先の犬小屋で飼うのが一般的でした。しかし、近年はマンション住まいの人が増え、それに伴い犬も小型化し、室内飼育が主流になっている。今やペットは家族の一員です。死んだペットには、人間と同じように成仏してほしいと願う人が多いのですが、そう簡単な話ではない。仏教では、人間の死とペットの死は同列ではないという考え方が存在しているからです。今、仏教界の一部の宗派では、ペットが成仏できるかについて、『できる派』と『できない派』に分かれ、大論争が巻き起こっています」

 少し専門的な話になるが、「できる派」の考え方は、生きている者が、死者の成仏を願って経を唱えたり、法要をすれば、仏の光明はペットをも照らし、極楽浄土へと往生できる――というもの。一方、「できない派」は、「六道輪廻」という考え方に基づいて、念仏を唱えることができないペットは、極楽浄土に往生できない――と主張しているという。

 いずれにせよ、“うちの子”があの世に行けるようにきちんと弔いたいという飼い主の思いは変わらないだろう。家族同然の愛犬や愛猫と同じ墓に入りたい――と願う人も増えていて、そうした要望に応える寺も出始めているという。少し前には、ソニーが生み出した犬型ロボット「AIBO」の生産が中止となり部品供給が止まったため、AIBOオーナーによる葬式が行われ、話題となった。

「以前、米国の文化人類学者に話を聞いたことがあるのですが、こうした傾向は、世界のどこにも見られない日本人独特の葬送意識が背景にあるそうです。何でも供養したいと願う慈悲の心は、日本人のDNAの中に組み込まれている。日本文化そのものなんです」(鵜飼氏)

 ペットの死と向き合うということは、慈悲の心を改めて見つめ直す大切な機会といえよう。

(ENCOUNT編集部)