猿之助は罪に問われるのか 同意殺人の可能性「それほど高くない」 焦点は向精神薬入手の経路と時期

歌舞伎俳優の市川猿之助と両親が自宅で倒れているのが見つかり、その後両親の死亡が確認された事案の捜査が続いている。父の市川段四郎さん、母の喜熨斗(きのし)延子さんの死因は向精神薬中毒とされているが、自殺か他殺かは判然としていない。生き残った猿之助は、今何を思うのか。早期の回復が望まれる一方で、捜査の状況によっては、猿之助自身が何らかの罪に問われる可能性もある。今後の方向性を弁護士に聞いた。

市川猿之助【写真:ENCOUNT編集部】
市川猿之助【写真:ENCOUNT編集部】

両親の死因は向精神薬中毒とされているが、自殺か他殺かは判然としていない

 歌舞伎俳優の市川猿之助と両親が自宅で倒れているのが見つかり、その後両親の死亡が確認された事案の捜査が続いている。父の市川段四郎さん、母の喜熨斗(きのし)延子さんの死因は向精神薬中毒とされているが、自殺か他殺かは判然としていない。生き残った猿之助は、今何を思うのか。早期の回復が望まれる一方で、捜査の状況によっては、猿之助自身が何らかの罪に問われる可能性もある。今後の方向性を弁護士に聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

 今月18日、猿之助と段四郎さん、延子さんが都内の自宅で倒れているところを猿之助のマネジャーが発見し、119番通報した。報道によると、リビングにあった両親の遺体には布団がかけられており、司法解剖の結果、死因は向精神薬の過剰摂取による中毒死と判明した。猿之助は自室で首つり自殺を図り、意識がもうろうとした状態で発見されるも、その後病院に搬送され回復。19日に退院している。

 18日は猿之助のスキャンダルについて触れた週刊誌の発売日で、猿之助はこれまでの供述で「前日に家族会議をして、死んで生まれ変わろうと話し合った」「両親が薬を飲んだ」と言った主旨の内容を話しているという。捜査は依然継続中だが、今後猿之助が何らかの罪に問われる可能性はあるのだろうか。レイ法律事務所の河西邦剛弁護士は、客観的な状況から「考えられる可能性としては、同意殺人罪か自殺ほう助罪、自殺教唆罪があります」と解説する。

「同意殺人というのは、本人の依頼を受け、実際に手にかけて殺害すること。一方、自殺ほう助は自殺の手助けをすること、自殺教唆は本人に自殺をそそのかし決意させることです。刑法第203条で殺人罪の減刑類型とされ、法定刑はいずれも6か月以上7年以下の懲役または禁錮ですが、実際に手を下しているぶん、一般的には自殺ほう助罪や自殺教唆罪よりも同意殺人罪の方が罪が重くなります。死因は向精神薬中毒とのことですが、相当な量を飲ませないと死には至らず、遺体に外傷もないということからご両親が自らの意思で飲んだ可能性が高い。その点から、同意殺人の可能性はそれほど高くないと言えるでしょう」

 家族会議の末に一家心中を起こしたと供述している猿之助だが、両親の死因となった向精神薬の入手時期、入手経路が今後の焦点になってくるという。

「重要なのは、誰が最初に死を持ち掛けたかということです。両親に『自殺してくれ』や『一緒に死のう』などと呼びかけた場合は自殺教唆に当たる可能性がありますが、家族会議での何を話したのかは猿之助さんの供述からしか判断できません。精神的にも錯乱しており、供述内容が二転三転する可能性もあります。供述だけで立件化するのは難しく、警察としては、猿之助さんの供述内容より客観的な証拠を中心に捜査を進めることになるでしょう。

 大きなポイントとなるのが、向精神薬をいつ、誰が、どうやって手に入れたのかということ。家族会議の前なのか後なのか、週刊誌からの直撃を受けた後なのか、それともずっと以前から持っていたものなのか。死に近いタイミングであるほど、死ぬための手段として用意された可能性が高まりますので、仮に猿之助さんが用意したものであれば自殺ほう助罪の可能性が出てきます。一方、もともと両親が持っていた、あるいはご両親がそれぞれの判断で別々に用意したものならば、自殺ほう助には当たる可能性はかなり低くなります。向精神薬は医師の処方がいるものなので、購入履歴を洗うことである程度は可能性が絞れるのではないでしょうか」

 どうやって大量の向精神薬を入手したのか、誰が遺体に布団をかけたのか、猿之助さんはなぜリビングではなく自室で発見されたのかなど、いまだに不可解な点の多い今回の一件。全容が解明され、正しい司法判断が下されることを待つばかりだ。

◆主な相談窓口 ・いのちの電話 ナビダイヤル=0570・783・556(午前10時~午後10時) フリーダイヤル=0120・783・556(午後4時~同9時。毎月10日は午前8時~11日午前8時) ・日本いのちの電話連盟 https://www.inochinodenwa.org/

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