谷隼人が明かす昭和版『たけし城』 「待機場所はプレハブ小屋」もスタッフに熱い情熱

34年ぶりに復活した『風雲!たけし城』がPrime Videoで配信され、話題になっている。攻撃隊長を務める俳優・谷隼人と人気声優・木村昴が新旧『たけし城』の人気の秘密を語った。

『風雲!たけし城』で攻撃隊長を務める谷隼人(右)と木村昴【写真:ENCOUNT編集部】
『風雲!たけし城』で攻撃隊長を務める谷隼人(右)と木村昴【写真:ENCOUNT編集部】

34年ぶりの復活 世界的人気の秘密とは

 34年ぶりに復活した『風雲!たけし城』がPrime Videoで配信され、話題になっている。攻撃隊長を務める俳優・谷隼人と人気声優・木村昴が新旧『たけし城』の人気の秘密を語った。(取材・文=平辻哲也)

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「風雲!たけし城」は1986年5月から1989年4月までTBS系列で放送された伝説的なバラエティー。毎回約100人の視聴者が、池の飛び石のトラップを避けながら渡る「竜神池」や吊橋を横断する「ジブラルタル海峡」などのゲームアトラクションを攻略し、ビートたけしが城主の『たけし城』陥落に挑む。

 昭和版で隊長を務めた谷は「ファミコンブームの頃、たけしさんがテレビでファミコンみたいなことができたら、というのがきっかけで生まれた企画でね。プロデューサーが隊長に選んでくれたんだと思ったら、たけちゃんだったんだ。僕の東映の映画をいろいろ観てくれていたみたいなんだよね」と話す。

『たけし城』のすごさはワールドワイドな人気だ。アメリカ、イギリス、スペイン、ドイツ、フランスなど世界中で放映されている。

 谷が「アメリカで放送されたのをきっかけに火がついて、イギリスのテレビ局からもインタビューを受けましたね。当時は長靴を履いていたので、そこにサインして女性プロデューサーに渡したら、大喜びされて……。王室関連の特番よりも視聴率がよかったと伺いましたね」と言えば、7歳頃までをドイツで過ごした木村も「僕が生まれる前の番組ですが、名前は知っていました。ヨーロッパにも視聴者参加型の番組はあるんですが、アトラクション系番組は、非常に珍しかったんだと思います」と話す。

 それにしても、なぜ世界中で受けたのか。

「令和版は夏の収録でしたが、前は1年中放送していました。一般の出演者が一生懸命やるんですが、その前にスタッフが暑い日も寒い日も泥だらけになって、一生懸命、準備をしていたんです。その本気度が、笑えるとか、面白さにつながるんだなと思います」(谷)

「たけし城」は谷の俳優以外の代表作でもあり、愛着は非常に深い。その以前はバラエティーにはほとんど出演していなかった。

「ドラマ、バラエティーを色分けするんじゃなくて、自分が楽しいと思ったら一生懸命やってみる。自分が楽しめば、出場者も楽しめるんだなと思ったのが『たけし城』でしたね。放送が終わった後も、街中で『見ていました』と声をかけられたり、スタッフや出演者とはその後もずっと食事会を開いたり、交友が続いています。こんな番組はほかにはない。当時、『俳優がバラエティーに出るなんて』という人もいましたが、僕は一緒だと思ったんです。これからのテレビは一般の人が参加して、そこに一生懸命さ、ひたむきさがあると、感動させられるんだなと教えられた」(谷)

 4年間の放送の歴史の中では、苦難もあったが、鮮明に覚えているのは、台風でもスタッフが泥まみれになって準備する姿だという。

「あの姿は皆さんに見せたかったね。参加者の中にはいろいろなことをスタッフに言ってくる人もいました。参加者は竜神池で落ちて、ずぶ濡れになるんだけど、(待機場所の)プレハブ小屋にはシャワーしかなかったから。そういう気持ちも分かるけども、スタッフは1時間の番組のために、朝から晩まで頑張っていましたから」(谷)

スケールアップした令和版『たけし城』の魅力

 令和版『たけし城』は昭和版のユニークさはそのままに、さらにゴージャスにスケールアップ。

「初めて見たときは『うわ、すげえ』と思いましたね。34年前の記憶が蘇ってきた。ゲームもバージョンアップされている。今回の待機場所はゴージャス。待ち時間も非常に長いので、芸人さんがネタをやって盛り上げてくれたりしていましたが、アナログがデジタルになっても、根底にある部分は忘れてほしくないとは思いましたね」(谷)

 それは情熱やチームプレイの魅力だという。

「たけし城は、だんだん仲間意識が湧いてくるんです。比べてしまって、申し訳ないんだけど、『SASUKE』とは違うんです。個々の能力だけでは勝てない。運もいるし、夢と愛がないと攻略できない」(谷)

 昭和版での情熱そのままに隊長を務める谷を、親子以上に年の離れた木村はどう見ているのか。

「サービス精神が旺盛と言いますか。みんなを盛り上げたいって気持ちが伝わってきて、『そこまでやってくれるんですか』という思いです。レジェンドとして登場されていますから、最初は『そこまでしなくていいですよ。いてくださるだけで十分です!』みたいな空気もあったんですけど、もうガン無視(笑)。全力でやってくださる姿を見ると、僕も負けられない、一緒に盛り上げられたらと思いました」

 谷隊長といえば、「行けー!」という号令が印象的だ。

「あの迫力って、すごいなと思って見ていたんですよ。僕もスタイルは受け継ぎつつ、どうしたらオリジナリティーも出せるかは試行錯誤しましたね。でも、結局、谷隊長をめっちゃ見て、全く同じ言い方をしていました。『行けー!』って」と笑い。

 今回も参加者はオリジナル版を知らない若い世代から、34年前に挑戦した人まで世代も多種多彩。国籍も日本だけには留まらない。

「僕らはみんなを1つの攻撃隊として、まとめるのが役割。1人1人、個人個人で挑戦しに来てるんですけど、最終的には誰かが落ちたら、『惜しかったね』とか『ドンマイドンマイ』と声をかけたり、後半になってくると、『あいつの分も頑張りたい』とみんながめちゃくちゃ仲良くなっていく感じも見ていて、すごく熱いんです。見ていると、僕も挑戦したくなる。竜神池の攻略法はつかみましたね(笑)」(木村)

 本作の収録を終え、谷の中では今後の構想も頭にある。

「前の時は親子大会もあって、良かったんですよ。お父さんが一生懸命やって、ミスすると、子供が本当に悔しそうにする。今回は女性がたくさん出ているので、女性大会も面白いかな、と。外国の方も多いので、外国人大会もいいだろうな」。34年の年月を経ても、谷隊長の情熱はまったく衰えていない。

□谷隼人(たに・はやと)9月9日、鹿児島県出身。1966年デビュー。東映アクションスターと活躍し、「和製アラン・ドロン」と称された。映画代表作に『網走番外地』シリーズ、『不良番長』シリーズ、『夜の歌謡』シリーズなど。テレビは『キイハンター』など。

□木村昴(きむら・すばる)6月29日、ドイツ出身。2002年にミュージカル『アニー』でデビュー。『天才劇団バカバッカ』座長。主な出演作は『ドラえもん』、『ヒプノシスマイク』『呪術廻戦』『THE FIRST SLAM DUNK』『東京リベンジャーズ』『アイドリッシュセブン』など。

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