行政書士になったきっかけはミスコン 23歳・小倉早貴の素顔 難関試験を一発合格、驚異の勉強法
ミスコン2位の美貌を誇り、俳優業に加えて、今年4月に行政書士として独立開業した才能豊かな女性がいる。小倉早貴だ。法律家を目指すきっかけになったのは、ミスコン。弁護士として活躍した祖父譲りの驚異的な集中力で、弁護士秘書の仕事と芸能活動の合間を縫って猛勉強を重ね、難関試験を突破。「困った人たちに寄り添ってサポートしたい」と使命感に燃えている。話題を集める23歳、「行政書士タレント」の素顔に迫った。
行政書士タレント・小倉早貴 立教大法学部卒、1年の短期間で難関試験に合格 「困った人たちに寄り添ってサポートしたい」
ミスコン2位の美貌を誇り、俳優業に加えて、今年4月に行政書士として独立開業した才能豊かな女性がいる。小倉早貴だ。法律家を目指すきっかけになったのは、ミスコン。弁護士として活躍した祖父譲りの驚異的な集中力で、弁護士秘書の仕事と芸能活動の合間を縫って猛勉強を重ね、難関試験を突破。「困った人たちに寄り添ってサポートしたい」と使命感に燃えている。話題を集める23歳、「行政書士タレント」の素顔に迫った。(取材・文=吉原知也)
「調和と真心」を表すコスモスのバッジを付け、爽やかな笑顔。聡明なオーラを漂わせる。文字通りの多彩な経歴だ。聖心女子学院出身で、高校2年の時にオーストラリア・メルボルンに短期ホームステイ。法律の勉強がしたくて、立教大法学部に進学。大学1年時に韓国ソウルに短期留学、大学2年時にはギリシャに渡って演劇留学を経験した。
2020年に開催された「Miss Japan(ミス・ジャパン)」日本大会に広島県代表として参加し、準グランプリに輝いた。行政書士になったきっかけは、大学時代に挑戦したこのミスコンだった。
そもそもなぜミスコンを。「ギリシャを訪れた際にカルチャーショックを受けました。現地の女性たちはみんなキラキラしていて、自分に自信を持っていて。ファッションも、基本ノースリーブにへそ出し。しっかりと自己表現をしています。『私もこうなりたい』と思いました。どうにか自分磨きをしたい、と。外見を磨いていくことで、最終的に内面も美しくできれば。そう考えるようになりました」。そこからの行動力が早い。19年12月に帰国し、年末締め切りのミス・ジャパンをたまたま検索で見つけると、すぐさま応募した。
書類審査から始まり、日本語スピーチや審査員による質疑応答などの審査を受け、苦手なウオーキングは必死にレッスン講座に通って上達。「メイクも下手くそで、レッスンの先生方は心配されたと思います。皆様のお力添えをいただき、進むことができました」。ファイナリスト35人の中から2番目の栄誉に選ばれた。「挑戦できるチャンスに全力でしがみついて、できるところまでやっていく。チャレンジ精神を学びました」と振り返る。
このミスコン出場が運命を導く。法律を勉強していることもあり、出場者の仲間の女性たちから相談事を受けるようになった。誹謗(ひぼう)中傷やストーカー、リベンジポルノに近い被害など、深刻なものばかりだった。「例えば、自分の写真を晒されてしまった場合、具体的に誰に相談したらいいのか、もし裁判になったらどんなことが起こるのか、なかなか分からないものです。専門的な資格を持っている人から、何か情報をもらえたら安心しますよね。女性の皆さんの相談を受けるうちに、『法律でなんとかサポートを』という思いが芽生えました」。
俳優業にも注力 「女優としてしっかりお金をもらえるプロになりたい」
法律家の中でも、官公署に提出する書類作成を担い、交通事故の示談書や遺言書・相続の遺産分割協議書、離婚時の合意書、飲食店の営業許可など、幅広く生活に密着したサポートを行うことができる「行政書士」を目指すことを決めた。「『困ったらとりあえず相談できる窓口』とご理解いただければ。皆さんの日常生活とつながることで、より親しみやすい存在になりたいです」と語る。
弁護士だった祖父の存在も大きい。労働法専門で、男女別定年制が争われた日産自動車事件で、企業側の代理人を務めたことでも知られている。小倉自身、幼い頃から法律家の在り方、弁護士はなぜ被疑者や被告人を弁護するのかという根本的な問いについて考えを深めてきた。
合格率が10%程度とされる行政書士の試験。狭き門をどうくぐり抜けたのか。ミスコン出場を経験し、大学の単位取得が落ち着いた21年12月から本格的に勉強を開始。22年春に大学を卒業すると、1年間の短期間で、国家資格をもぎ取った。
当時、すでに芸能活動を始めており、弁護士秘書の仕事に就いていた。試験は法律5科目に加え社会常識等も問われる。約230ページの参考書7冊を読み込んだ。「とにかく隙間時間を使いまくりました」。自宅のトイレに覚える項目を貼り、電車の移動時間は単語帳アプリとにらめっこ。仕事の始業1時間前に到着し、勉強。演技レッスンの休憩時間にも参考書を読んだ。22年11月に試験を受け、翌23年1月に結果発表。一発合格を果たした。「模試や試験終わりには、出身地・広島のお好み焼きを食べました。自分へのご褒美があったからこそ頑張れました。それに、本当に疲れたら、すべてを放り出してゴロゴロ寝ます。こうしたオンオフの切り替えも大事です」と教えてくれた。
行政書士として、補助金申請など煩雑な手続きのサポート、法教育の普及、そして、「夜の行政書士」の発信をテーマに掲げている。バーテンダーの勤務経験があり、キャバクラやガールズバー、ソープランドの営業許可に関する業務も見据えている。「自分が得た夜のお店に関する知見を含めて、役に立つ情報をSNSなどで伝えていきたいと考えています。遠い世界の話と思われるかもしれませんが、例えば客としてぼったくり被害を避けるためには、どういった業態で業界の現状はどうなのかを知っておく必要がありますよね。また、風俗店従業員の働き手の女性に知識がないことで、大きなトラブルに巻き込まれ、人生の転落につながる懸念もあります。悩みや困り事を抱える女性たちのサポートをしていきたいです。それに、『通常のAVと同人AVの違い』といったテーマなどについてもしっかり勉強していきたいです」と熱く語る。
もちろん、憧れを持ってきた芸能界、演技の世界での活躍にも思いをはせている。今後の展望は「女優としてしっかりお金をもらえるプロになりたいと思っています。芸能界と法曹界の両面で活動しているからこそできることとして、ライフサポートや法的な課題解決について、誰よりも分かりやすく、面白く、発信していきたいです」。新たな一歩を力強く歩み始めた。
□小倉早貴(おぐら・さき)1999年8月20日、広島県出身。聖心女子学院(初等・中等・高等)、立教大卒。3歳~18歳までバレエを習い、趣味は裁判傍聴と社交ダンス。芸能事務所「ワイエムエヌ」所属。語学堪能でTOEICは835、TOEFLは84のスコアを誇る。身近な事柄や時事問題の法律解説を行うYouTubeチャンネルの発信にも取り組んでいる。
●芸能事務所「ワイエムエヌ」
https://ymn.tokyo/
●YouTubeチャンネル『小倉早貴のあつまれ! ほうりつの森』
https://www.youtube.com/@sakiogura