初オーディションで重大な忘れ物 「もうなんでもいいや」開き直りから奇跡起こしたRQ五十嵐希

世界的大ヒットアニメ作品『エヴァンゲリオン』とモータースポーツのコラボチーム『エヴァンゲリオンレーシング』。レース場を彩り、チームやファンに元気をもたらす原動力が、レースクイーン『エヴァンゲリオンレーシングRQ2023』だ。2021年から式波・アスカ・ラングレー役を担う所属3年目の五十嵐希に、レースクイーン“誕生秘話”と、今季のあふれる意気込みについて直撃した。

五十嵐希はレースクイーンとして式波・アスカ・ラングレー役を務める【写真:(C)khara】
五十嵐希はレースクイーンとして式波・アスカ・ラングレー役を務める【写真:(C)khara】

『エヴァンゲリオンレーシングRQ2023』 式波・アスカ・ラングレー役 五十嵐希

 世界的大ヒットアニメ作品『エヴァンゲリオン』とモータースポーツのコラボチーム『エヴァンゲリオンレーシング』。レース場を彩り、チームやファンに元気をもたらす原動力が、レースクイーン『エヴァンゲリオンレーシングRQ2023』だ。2021年から式波・アスカ・ラングレー役を担う所属3年目の五十嵐希に、レースクイーン“誕生秘話”と、今季のあふれる意気込みについて直撃した。(取材・文=吉原知也)

 エヴァンゲリオンレーシングは今季、『ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシング』とタッグを組み、ドリフト競技の国内最高峰レースシリーズD1GP 2023にフル参戦を表明。2023年度仕様のエヴァRT弐号機 スープラで挑戦のシーズンを迎える。弐号機スープラは、昨季スポット参戦だったが、フル参戦は初めて。五十嵐にとっては、弐号機スープラの横に立つという「夢」が実現するシーズンとなる。

 レースクイーンにあこがれを抱いたきっかけ。19年から1年間、地元・群馬の伊勢崎オートレースでグリッドガールを務めた。その際に、友人から「やってみれば?」と誘われ、初めてレースクイーンについて意識するようになった。

 グリッドガールは最初こそ遊び感覚もあったが、ファンが付いてくるように。自分の進むべき道に気付いた。「ファンの方から、『頑張っている姿を見るのがうれしい』と言っていただくことで、『私って人に喜んでもらうことが好きなんだ』と実感するようになりました。この先何ができるんだろうと考えた時に、レースクイーンはファンの皆さんに喜んでもらえて、チームを支える役割があるんじゃないかと。これだ! と思うようになりました」。20年からレースクイーン活動を開始した。

 エヴァンゲリオンレーシングで、大好きな作品のアスカ役を射止めた。そこには、“運命のミス”があった。

 自身にとって初めてのオーディション。審査に必要な水着は忘れなかったが、重大な忘れ物をしてしまった。ヒール靴だ。「ヒールはオーディションの必需品で、自分で持ってくるものなんです。より美しい立ち姿、姿勢をアピールするためです。でも、家を出る前に緊張し過ぎていて、すっかり頭から抜けていました。他の候補者と並んで、私だけ運動シューズで……。『これは落ちたな』と思いました」。

 しかし、この「もうなんでもいいや」という開き直りが、結果的に功を奏した。緊張が解け、自分をさらけ出すことができた。「オーディションでは自分をよく見せるため、例えば、高いトーンのかわいい声を出したりするのですが、地声のトーンで通しました。かわいこぶるのはやめようって」。そして、奇跡の合格を勝ち取った。

「ファンの方々がいてくれるからこそ」というレースクイーン活動。「かわいい見た目で売る、というより、親しみやすさが私のチャームポイントです。しゃべり方で覚えていただけることもあるので、身近に感じてもらえるように心がけています」。おっとりした独特なしゃべり方も自分らしさと捉えている。寝る前の筋トレを欠かさず、腹筋が自慢。食べることが大好きだが、ストイックな生活を送っている。

関節リウマチの診断でピンチも「ここでやめるわけにはいかなかった」

 華やかに見える裏で、困難と向き合っている。デビューを飾った20年、シーズン途中に足の痛みを覚えるようになった。「ヒールを履くと痛くて、一時期は歩くことが難しくなって。関節リウマチの診断でした。当時、ドクターストップの宣告を受けました」。いろいろな思いが駆け巡った。群馬から上京してレースクイーンを始めたばかり。「ここでやめるわけにはいかなかったです。それに、ファンの皆さんに申し訳ないという思いもありました」。治療を続け、無理せずに活動を継続。現在は投薬治療を受けながら、レース場に立っている。「エヴァンゲリオンレーシングのコスチュームは特注で、足に負担の少ない靴を作っていただいています。本当に助けていただいています」と、チームへの感謝の思いを語る。

 エヴァンゲリオンレーシングのレースクイーンとして大事にしているのは、「キャラクターを壊さないようにすること」だ。家を出る前に、『残酷な天使のテーゼ』などの楽曲を聞いて気持ちを高め、精いっぱいアスカのような元気さを意識したポージングを心がけているという。

 今季は弐号機スープラと共にD1フル参戦。人気キャラ・アスカの大役を担うことに使命感を持っており、「アニメとタッグを組むレーシングチームです。エヴァンゲリオン好きの方にはサーキット場に遊びに来ていただきたいですし、サーキットのお客様には『エヴァンゲリオンって何だろう?』と興味を持っていただけたら。両方のよさを発信していきたいです。今季はエヴァンゲリオンレーシングの顔になれるよう、頑張っていきます!」と、並々ならぬ決意を口にする。

 レースクイーンとして、表現者として目指す理想。「私は人を喜ばせることが本当に大好きです。皆さんに笑顔になってもらいたい。そのために、一歩一歩、地道に進んでいきたいです。今後は、しゃべりのお仕事もできれば。それに、アスカ役を通して、役になりきることの楽しさを知ったので、演技にも挑戦してみたいです」と力強く語った。

 今季のメンバーは、綾波レイ役は、赤城ありさを新たに抜てき。真希波・マリ・イラストリアス役は引き続き、霧島聖子が務める。

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