三浦孝太、実績のない自分が「リングに立つ権利は薄い」 RIZIN初黒星で流した悔し涙

“キングカズ”三浦知良の次男として2021年大みそかに格闘技イベント「RIZIN」デビューした三浦孝太。これまでデビューから2連勝していたが6日の「RIZIN.42」(東京・有明アリーナ)の舞台でYA-MANと戦い、1R・TKO負けを喫した。レフェリーストップ後にはリングの上で悔し涙を流していた。本物格闘家との初遭遇で何を感じたのか。

キャリア初黒星を喫した三浦孝太(下)【写真:(C)RIZIN FF】
キャリア初黒星を喫した三浦孝太(下)【写真:(C)RIZIN FF】

「RIZIN.42」の舞台でYA-MANと戦い1R・TKO負け

“キングカズ”三浦知良の次男として2021年大みそかに格闘技イベント「RIZIN」デビューした三浦孝太。これまでデビューから2連勝していたが6日の「RIZIN.42」(東京・有明アリーナ)の舞台でYA-MANと戦い、1R・TKO負けを喫した。レフェリーストップ後にはリングの上で悔し涙を流していた。本物格闘家との初遭遇で何を感じたのか。

「自分は親の名前が先行している。自分もできるというところ見せたい」――。複雑な家庭環境で育ったYA-MANとの対決を前にビッグネームを父に持つからこその思いを口にしていた。

 元ホストのYUSHIにブンチュアイ・ポーンスーンヌーン(タイ)とプロMMA初挑戦の相手と戦い1R勝利してきた三浦。これまでは言わば“お試し期間”。今回が本物格闘家との初遭遇だった。「大事にされている」と世間からは言われている。実績がない中で大舞台に上がる姿はSNSでは批判の対象にもなっていた。本人はもちろん自覚。「出してもらえるのは当たり前じゃない」と常に語ってきた。

 SNSを駆使する格闘家は多い。そんな時代に三浦はツイッターをスマホにインストールすらしていないと試合前に明かした。それは「自分のやりたい」格闘技に真剣に打ち込むためだった。

「YouTubeとかもコメントすら見ていない。なぜかと言うと、自分は“みんなに理解されなくてもいい”から自分のカッコいい選択をしたい。その中で外野の関わってもいない人の意見を見てしまうことによって、自分の頭のどこかでコメントが引っかかって自分が望んでいる選択じゃない方を選んでしまう気がしていて、今の世の中それを受け入れなきゃダメって考えがあるかもしれないですけど、リアルで会った人が必要なことを会話の中で教えてくれます」

三浦孝太はYA-MAN(右)の膝蹴りを被弾した【写真:(C)RIZIN FF】
三浦孝太はYA-MAN(右)の膝蹴りを被弾した【写真:(C)RIZIN FF】

「負けを恐れずにチャレンジしていきたい」と前を向く

 今回のYA-MANは、立ち技格闘技「RISE」の舞台で活躍している。オープンフィンガーグローブで成りあがってきた選手だ。ダウンを取られても取り返す。タフな精神を持ち、傷だらけになりながらも勝利を手にしてきた本物ファイターだ。

 初めて対峙(たいじ)する本物。試合前は「ビビっちゃうかも」と思っていたというが、リングインした三浦は鋭くにらみつけてくるYA-MANを見てうなずく。覚悟が決まっている。対戦相手のYA-MANはそのときの三浦の表情について「瞳孔ガン開き」と表現していた。

 ゴングが鳴るとともにスーパーマンパンチのような打撃で見せる三浦。その後、組みつきテイクダウンを奪うが、グラウンドでバタつく姿も目立った。

 YA-MANは最初こそテイクダウンを許していたが、段々と慣れ、冷静に対処していく。

 逆転の瞬間は一瞬だった。三浦が雑に入ったところで膝蹴りを被弾。うずくまると重たいパウンドが何度も降ってきた。気が付くと試合が終わっていた。1R・3分13秒でKO負け。顔からは血が流れ、悔し涙が流れていた。

 初黒星の試合をこう振り返る。

「テイクダウンは取れるだろうなと思った。そのあとの相手の力が思ったよりも強かったです。テイクダウンの部分は相手も予想していると思ったのでそこをフェイントにして攻撃をする形を用意していたのですが、その展開に作戦通りできなかった」

 三浦は自身のデビュー戦と同日に行われた皇治戦からYA-MANのファン。そんな本物との経験の差も痛感した。

「自分は高校卒業してからMMAを始めて2、3年がたちます。その自分の1年とキャリアを積んでるYA-MAN選手の1年は全然違うと思いますし、試合経験の差、場数の差がありました」

 初めての負け。それも圧倒的な差を見せつけられた。試合前には親の名前が先行しているなかで「自分もできるというところ見せたい」と意気込んでいたがうまくはいかなかった。

「自分はRIZINに出ている誰よりも実績はないですし、リングに立つ権利は薄いと思っています。でも勝っていれば出られると自分の中で思っていました。今回負けてしまったのでどうしようかなという感じです」

 自分の挑戦に後悔はしていない。試合後会見の序盤では暗い顔をしていたが、話すうちに明るい表情へと変わっていった。「キックボクシングでのトップ選手とリングで試合をできてすごいうれしかった」と少年のように目を輝かせていた。

「負けを恐れずにチャレンジしていきたい」と心も死んでいない。「RIZIN」という大舞台で成長していく“三浦孝太”の物語は本物と戦った今、始まったばかりだ。

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