YA-MAN、MMAデビュー戦で“スカ勝ち”の理由 異様な落ち着きぶり「練習であれだけやってきた」

これまで立ち技格闘技「RISE」でキックボクシングを主戦場にしていたYA-MAN。オープンフィンガーでボロボロになりながら相手を倒すファイトスタイルは多くの観客を魅了してきた。6日に行われた「RIZIN.42」(東京・有明アリーナ)でMMAファイターとして三浦孝太と対戦し1R・TKO勝利。デビュー戦を“スカ勝ち”できた理由とは。

勝利しリングの中を走るYA-MAN【写真:山口比佐夫】
勝利しリングの中を走るYA-MAN【写真:山口比佐夫】

三浦孝太と対戦し1R・TKO勝利

 これまで立ち技格闘技「RISE」でキックボクシングを主戦場にしていたYA-MAN。オープンフィンガーでボロボロになりながら相手を倒すファイトスタイルは多くの観客を魅了してきた。6日に行われた「RIZIN.42」(東京・有明アリーナ)でMMAファイターとして三浦孝太と対戦し1R・TKO勝利。デビュー戦を“スカ勝ち”できた理由とは。

 キックとMMA、二刀流への挑戦が始まった。YA-MANは昨年10月に白鳥大珠とキックボクシングで対戦し判定負けを喫していた。約5か月ぶりの復帰リングは「RIZIN」でのMMAデビュー戦となった。

 デビューにあたり、打撃の練習はほとんどしなかったという。週6で朝・夜にグラップリングとMMA練習。試合前には「寝技、組み技ってやればやれるほど上手くなっていることを実感できる」と手ごたえを明かしていた。

「格闘技を新たに見つめ直す」期間でもあった。「キックボクシングってある程度やると技を磨いていく作業、ひとつの技を研ぎ澄ましていく作業になります。MMAを始めてこういう技があるんだ、こんな距離があるんだと格闘家として成長できました」とかなりの練習量をうかがわせていた。

 そして迎えた当日。立ち上がりは三浦にテイクダウンを許していたが、時間がたつに連れMMAの試合に順応していく。フロントチョークの仕掛けや組みの展開でも決して焦りの表情は見せず、ひとつずつ腕を外していく。キックボクシングで見せてきた荒々しさとは対極の試合運び。

 寝技に穴があると見て、グラウンドの展開に持っていきたい三浦のタックルを切り、逆に優位なポジションで打撃を入れていく。フィニッシュは組みつきから、相手が体勢を崩したところに膝蹴り。その後うずくまったところにフルスイングのパウンドを迫撃していった。

初めてのパウンドを落とすYA-MAN(上)【写真:(C)RIZIN FF】
初めてのパウンドを落とすYA-MAN(上)【写真:(C)RIZIN FF】

初体験のパウンドに興奮「ぶっちゃけ効いてるか分からなかった」

 デビュー戦で1R・TKO勝利。「楽しかったですね。試合までも楽しかったし、試合も練習でやってきたことしかやっていない。それが試合に出たので、『これがMMAか』って楽しかったです」と振り返る。フィニッシュの感触に「大勢の歓声があるなかでKOするって気持ち良いですよね」と笑顔になった。

 デビュー戦とは思えないほど落ち着いている。立ち技からMMAに挑戦する者はグラップリングに苦労することが多いなかでYA-MANは冷静だった。

「『練習通りだ』みたいな。フロントチョークに引き込みというのは100%くると分かっていました。引き込んでくると思ったら相手を壁に押し付けてみたいな。あとはチョークに入ったときに思いっきり絞めてきていたんですよ。でも首に入っていなかった。だからここで力を使わせて、相手が緩んだところで一気に逃げる。そういう頭もありました」

 キックボクシングにはないパウンド。初体験を思い出すと思わず笑顔になる。

「気持ちかったですよね。ぶっちゃけ効いてるか分からなかったんですよ。一発パウンドが入ったあとにすぐガードされてしまったので、効いてるのかな? みたいな。ガードの上からフルスイングでした。ああいう展開ってキックにはないので、面白かったですよ。レフェリーが止めに入るときにレフェリーを殴っちゃいましたよね。KOのときの記憶はないです」

 なぜここまで冷静になれたのか。SNSでのYA-MANの姿と言えば「女好き」「イケメン嫌い」「薄毛」。ユーモアのあるキャラクターとして知られている。会見でも時折、冗談を飛ばしていたが、表情がギュッと引き締まった。

「それはもうひとつしかないです。(冷静になれたのは)練習をしていたから。相手よりも絶対自分の方が練習をしていたと思っています。練習であれだけやってきたんだから試合でもできるだろうと冷静でした」

 YA-MANの試合はみなを熱狂させる。この日も有明に集まった1万4930人のファンが興奮した。しかし、今回の勝利はキックボクシングで見せてきた“それ”とは違う。デビュー戦で見せた落ち着きは不気味だ。強豪ぞろい、タレントぞろいのフェザー級戦線をかき乱す存在になりそうだ。

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