朝倉海、「RIZINには朝倉兄弟が必要」と訴える理由「日本に格闘技を広めたという自負がある」

2021年の大みそか、扇久保博正に敗戦したのを最後に「RIZIN」のリングから姿を消していた朝倉海(トライフォース赤坂)。昨年7月に復帰戦が組まれるも右拳の重大なけがにより欠場、ファンにとっても本人にとっても長い空白期間だった。そんな海が5月6日、1年5か月ぶりにリング(「RIZIN.42」)に帰ってくる。対戦相手は破竹の5連勝を続けている元谷友貴(フリー)。重要な復帰戦を前に空白期間やカード発表会見で「RIZINには朝倉兄弟が必要だ」と発言した理由について話を聞いた。

1年5か月ぶりの復活について個別取材に応じた朝倉海【写真:ENCOUNT編集部】
1年5か月ぶりの復活について個別取材に応じた朝倉海【写真:ENCOUNT編集部】

右拳の大けがから1年5か月ぶりの復活

 2021年の大みそか、扇久保博正に敗戦したのを最後に「RIZIN」のリングから姿を消していた朝倉海(トライフォース赤坂)。昨年7月に復帰戦が組まれるも右拳の重大なけがにより欠場、ファンにとっても本人にとっても長い空白期間だった。そんな海が5月6日、1年5か月ぶりにリング(「RIZIN.42」)に帰ってくる。対戦相手は破竹の5連勝を続けている元谷友貴(フリー)。重要な復帰戦を前に空白期間やカード発表会見で「RIZINには朝倉兄弟が必要だ」と発言した理由について話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

手術で覚悟「2度とパンチが打てなくなるかも」

――空白期間が長かったと思います。何を考えていましたか。

「まずは拳のけがを治すこと、新しい技術を身につけることです。できることをやっていました。練習は毎日やっていました。けがの時期にもよりますけど、治ってからは負荷をかけてできましたし、手術をしているときはかけられませんでした。でも全く何もできないという時期はなかったです。1年5か月、試合はできませんでしたけど、遊んでいたわけじゃない。その期間にしっかり成長をして、強くなっています。そこを見せたいですね」

――公開練習では、同日に井上直樹選手と対戦するフアン・アーチュレッタ(米国)との試合を熱望されていました。

「彼こそトータルファイター。経験値もすごくて、試合の勝ち方を知っているんですよ。試合運び、ポイントの取り方だったりが上手い。なので1番厄介な相手だなと思います。元Bellatorの王者だし、世界的に実力も知られている選手なので、そういう選手と戦いたいという思いが1番強いですね」

――格闘技のテクニックで日本は少し遅れているという話がありました。どのような部分でそれを感じましたか。

「僕が知らなかっただけかもしれないですけど、テイクダウン、テイクダウンディフェンスにしても新しい技が多い。そこが早いなと感じました。あんまり詳しいことは言いたくないですけど、強い技術がありますね」

――ジムにいる周りの選手たちは試合をしていたりしていて、不安に感じることはなかったのでしょうか。

「めちゃくちゃありましたね。手術をしたときも100%治る保障はないし、2度とパンチが打てなくなるかもしれないと言われていました。本当に治るまでは分からなかったし、今までのように試合ができなくなるかもしれないという覚悟も少ししていました。自分の体を信じてベストを尽くすしかないと思っていたので、練習は継続してこれました」

米国修行で出会ったフランス人コーチのエリー・ケーリッシュ【写真:ENCOUNT編集部】
米国修行で出会ったフランス人コーチのエリー・ケーリッシュ【写真:ENCOUNT編集部】

米国修行ではトップの戦い方、調整の仕方を学ぶ

――試合ができなかった期間には、多くの出会いもあったと思います。格闘人生にどんな影響があったと思いますか。

「UFCのトップで戦っている選手たちと仲良くさせてもらって、普通の人では体験できない練習もしました。プライベートも一緒にいれたのでトップになる人の考え方だったり、練習方法も学べましたね。格闘家として重要な期間になりました」

――具体的にトップの考え方は何だったのでしょうか。

「メラブ(ドバリシビリ)選手のランキング1位をかけた試合がありました。試合2週間前からどのように調整していくかを見させてもらいましたし、試合後にどのようにリスタートしていくかというやり方を教えてもらいました。彼の格闘技に対する考え方を学べました」

トライフォース赤坂には朝倉兄弟のチェキが隣りあわせに貼ってある【写真:ENCOUNT編集部】
トライフォース赤坂には朝倉兄弟のチェキが隣りあわせに貼ってある【写真:ENCOUNT編集部】

「僕らが出ることによって日本中を巻き込む」と豪語

――兄・未来選手はYouTubeが苦しかった時期もあったというお話をしていました。海さんはどうでしたか。

「数字を追ったり、チャンネル登録者を考えたりというのをすごく意識をしていた時期があって、そのときは僕も自分の首を絞めていたし、自分のやりたいことと違うことをやっていたり……。生活リズム的にも強引なスケジュールを組んでいて大変な時期はありましたね。葛藤もありましたけど、僕の場合は助けられていることの方が多いです。

 収入もそうですけど、そこでたくさんの人が競技をするきっかけになってくれていると思う。逆にYouTubeをやっていなかったら、競技人口は増えていないと思います。そう考えると良かったことの方が多いと思いますね」

――「RIZINには朝倉兄弟が必要だ」という発言がありました。どんな思いで出た言葉だったのでしょうか。

「1年半も、僕ら兄弟がRIZINに出なかったことはなかった。今回初めてそういうことになりました。今までどちらかがメインイベントをやることでRIZINを引っ張ってきたという自負があります。日本の格闘技をいろんな人に知ってもらうきっかけを作った自負もある。“格闘技ファン”の間ではこの1年盛り上がっていたと思いますけど、世間的に見てもそんなに盛り上がっていなかった。

 大みそかも格闘技ファンしか見てくれなかった。僕らが出ることによって日本中を巻き込んで、格闘技という競技をたくさんの人に見てもらえるように、盛り上げられるようにしなきゃいけないと思っているので。だから、そのためにはこの2人が必要だよって」

――必要と感じてもらうためにどんな試合をしますか。

「もちろん派手な試合を見せなきゃいけないと思っています。まぁでも自分の試合は絶対に熱狂できる戦いになるのは間違いないです。そういう試合を必ずします」

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