劇場版『TOKYO MER』鈴木亮平もびっくり 賀来賢人の究極の選択「仕事か、大学か」

2021年7月期のドラマを映画化した劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(4月28日から公開中、松木彩監督)で、救命医療チームの元同僚を演じたのが鈴木亮平(40)と賀来賢人(33)だ。同映画は命を目の前に究極の選択を迫られる物語。2人に映画の舞台ウラ、役作り、人生究極の選択について聞いた。

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』で共演した鈴木亮平(左)と賀来賢人【写真:舛元清香】
劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』で共演した鈴木亮平(左)と賀来賢人【写真:舛元清香】

劇場版製作はドラマ撮影後半に決定 鈴木亮平「考える時間もなかった」

 2021年7月期のドラマを映画化した劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(4月28日から公開中、松木彩監督)で、救命医療チームの元同僚を演じたのが鈴木亮平(40)と賀来賢人(33)だ。同映画は命を目の前に究極の選択を迫られる物語。2人に映画の舞台ウラ、役作り、人生究極の選択について聞いた。(取材・文=平辻哲也)

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“MER”はモバイル・エマージェンシー・ルームの略。オペ室を搭載した大型車両で事故や災害現場に駆け付ける都知事直轄の救命医療チームのこと。2021年7月期のTBSドラマで、東京五輪の真裏で健闘し、最終回は19.5%’ビデオリサーチ調べ、関東地区)を叩き出した。劇場版では、爆発事故が発生し、200人近くが取り残された横浜ランドマークタワーを舞台にMERの活躍を描くもので、ドラマを観ていなかった人も十分楽しめる内容になっている。

 映画はドラマの撮影後半に製作が決定した。

「ドラマ中は目の前にやらなきゃいけないことがたくさんありすぎて、考える時間もなかったですね。秋から冬ぐらいにあらためて話を聞いて、本当にやるのかと。ドラマはコロナ禍で奮闘する医療従事者へ捧げるというのがテーマにあって、毎回、死者ゼロを目指す話。命がたくさん失われている時期に、どう受け取ってもらえるのかと不安ではあったんですが、視聴者の方に『こういうものが見たかった』と言ってもらえたことが一番ホッとしたというか、うれしかったですね」(鈴木)

「(映画化への)勢いみたいなものは感じてはいたんですよ。コロナ禍で、放送はオリンピックの真裏。そんな中ですごい反応をいただいたので、現場はキツかったけど、すごい力、モチベーションにもなりました」(賀来)

喜多見役を演じるにあたって筋トレを行ったという鈴木亮平【写真:舛元清香】
喜多見役を演じるにあたって筋トレを行ったという鈴木亮平【写真:舛元清香】

 鈴木は、手術や判断に一切の迷いがなく、自らの筋肉を鍛え上げるMERのチーフドクター、喜多見幸太役。一方の賀来は厚労省のMER推進部統括官・医療技官、音羽尚役。互いに認め合うながらも、まったく違う考え、生き方の2人が物語を動かしていく。

 鈴木と賀来はこのドラマが本格的な初共演。互いの印象はどうだったのか。

 鈴木が「すごく頼れる人だなという印象はあまり変わらないですね。演技、現場の向き合い方が素晴らしいのですが、普段は都市伝説の話をしてくれます(笑)。いろんな話を聞かせてもらいました(笑)」といえば、賀来は「俳優は孤独な作業が多いので、普段は、現場でも役者さんとお互いの話をしないのですが、亮平くんとは役や芝居の話もしたくなる。そんな中で芝居の話にからめて、飛躍したり、業界の話なんかもしたんですよ。こんな喋ったのは本当に久々だったですね」と話す。

 賀来いわく、役者のタイプが違うのだという。では、役作りはどのように行っているのか。まずは、鈴木から。

「僕はその人物をいろいろ調べて、同化していくのが好きなんです。そうして、この人は自分だと思えるようになっていく。そのプロセスが好きです。喜多見がどんな人生を歩んできたのか。海外ではどんな悲惨な現場を見て、医療してきたのか。どうやって患者の命を救うのかがコアな部分。それを見せるためには、オペは最たるものですし、医療や病気について、きちんと調べてから現場に入ります」(鈴木)

 今回も筋トレしたそうで、「中身と外見はリンクしているので、喜多見役をやるときは鍛えますね。今回は特に階段の上り下りがすごくあったので、万が一、人を抱えて落としてしまったら、大怪我をさせてしまいますから。それに、今回、新加入のジェシーくんは喜多見に憧れている設定なので、僕がジェシー君より細いわけにいかない。後輩からの見えないプレッシャーありましたね(笑)」と鈴木。

 一方の賀来演じる音羽はドラマ版ではチームメイトだったが、劇場版では現場を離れ、統括官として監督する立場になった。

「続編ものはあまりやったことがなくて、1年たって、音羽はどんな声だったっけ? どうやって歩くんだ? というところから始まりました。僕の場合は声を探していくのが最初。それがキャラクターをつかみやすいんです。初日はそのリハビリみたいな感じだったのですが、初日で解決できました。ドラマは難しいセリフが多かったり、大変なところはありすぎたので、わりとタフにはなったところはありますね」というと、鈴木は「(劇場版は)物足りなかったでしょ? 防護服をつけたかったでしょ」と茶化してみせる。

 賀来は閉所恐怖症だそうで、ドラマ版での数々の災害現場での撮影は精神的にも大変だったそう。鈴木は、映画の撮影は放送日に追われていない部分はよかったと振り返るが、劇場版はスケールも大きく、カット数も膨大。「僕らはちょっと麻痺しているところがあるから」と笑ってみせる。

人生における究極の選択を明かした鈴木亮平(左)と賀来賢人【写真:舛元清香】
人生における究極の選択を明かした鈴木亮平(左)と賀来賢人【写真:舛元清香】

賀来賢人の“人生の選択を迫られた瞬間”「仕事を選ぶか、大学を選ぶか」

 ドラマ版では架空の土地、建物となっていたが、劇場版では横浜のシンボルのひとつ「横浜ランドマークタワー」で撮影し、名称もそのまま使われている。

「これは、ドラマ版にはないプレッシャーでしたね。必ず面白くしないといけない。これだけの予算規模で、たくさんの協力を頂いているので。いまだにあの建物を通ると『あ、ここで人を助けたな』と思って、ちょっと胸がキュンとなりますね(笑)」(鈴木)

 劇場版では、助けられる命を目の前にし、主人公たちは究極の選択を迫られる。2人にとって、ズバリ、人生の選択を迫られた瞬間とは何か?

 これには賀来が即答してくれた。

「19か、20歳ぐらいのときですね。映画の仕事が決まって、仕事を選ぶか、大学を選ぶかを迫られました。で、仕事をやってみたい、と。親は進学校に入れてくれたので、大学を卒業してほしいという思いもあったのですけども、親に頭を下げて、大学をやめて、仕事を選んだんです。映画に出たからと言って、将来の保証はない。その後もなかなか芽は出なかったんですけど、今考えると、重要な人生の選択でした」(賀来)

 もちろん、その結論に達するまではじっくり考えたのだという。

「きっと思い込み力がすごい強いんです。絶対うまくいくと思うと、そうなる。まあ、結果オーライですけども。事務所を独立したときも、周りからは『まだ早いんじゃないか』と言われましたが、チャレンジが好きなんで、周りから『そんなのは無理』と言われていると、困難な方を選んでしまう。誰にやっていないことをやるのが好きなんですね」

 これには鈴木も少し驚いたようで、「僕は、岐路には立ってこなかったな」と答える。では、仕事選びはどうしているのか? と聞くと、賀来は「一人で決めています」に対して、鈴木は「僕は事務所の人と相談します。あんまり自分の選択を信じてないから。多分、事務所の人の方がいろんなことを見えているから、意見を聴いてから総合的に判断します」と話す。役へのアプローチだけではなく、パーソナルな部分も対照的な2人だった。

□鈴木亮平(すずき・りょうへい)1983年3月29日、兵庫県西宮市出身。2006年デビュー。身長186cm、血液型A。

□賀来賢人(かく・けんと)1989年7月3日、東京都出身。2007年デビュー。身長179cm、血液型O。

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