葬祭業界の「2025年問題」自動搬送式納骨堂、散骨…死後の後始末に潜むリスク
自動搬送式納骨堂を含めた永代供養墓は埋葬の主流に
「2025年の段階で、自動搬送式納骨堂を含めた永代供養墓は埋葬の主流になっている可能性が高い。永代供養とは、無宗教式で広く募集をかけ、葬式や寄付のしばりがない会員制度が特徴です。ただし、価格競争にさらされる可能性が高く、その中で永続的な霊園事業ができるのか。仮に事業が滞ってしまえば、遺骨がさまよってしまうケースも出てくるでしょう。また、無宗教式の形態は税制上、レンタルスペースとみなされる可能性があり、固定資産税などの課税問題も生じています」(鵜飼氏)
最近、「子供や孫に迷惑をかけたくない」との理由から、海洋散骨を希望する人も増えている。だが、全部遺骨を海にまいてしまえば、手を合わせる対象がなくなってしまう。残された遺族が心の拠り所をなくし、「遺骨ロス」になるとの指摘もある。
「イメージ先行型の散骨は、遺族の間できちんと合意形成ができていなかったり、故人の遺志を貫こうとすればするほど、覆水盆に返らない事態を招きかねません。分骨にすれば、故人と遺族の両方の理想を叶えることができるかもしれないが、二重コストとなり、むしろ子供や孫に迷惑をかけるという結果になってしまいます」(鵜飼氏)
葬式も墓も、数年前まで、その形態はシンプルだった。葬式には「一般葬」「家族葬」「直葬」などのカテゴリはなく、埋葬も家墓の形態がほとんど。それが、今や「夫婦墓」「個人墓」「ロッカー式納骨堂」「自動搬送式納骨堂」「樹木葬」「海洋散骨」など、様々なスタイルやサービスが誕生している。最後の決断は慎重にしたいところだ。