葬祭業界の「2025年問題」自動搬送式納骨堂、散骨…死後の後始末に潜むリスク
自分が死んだら、どう弔ってもらえばいいのか。2025年に「後期高齢者(75歳以上)」入りする団塊の世代を中心に、多くの高齢者にとって、人生最後の悩ましい問題だ。
「手厚く死者を弔う」のではなく、カネをかけずにシンプルに
自分が死んだら、どう弔ってもらえばいいのか。2025年に「後期高齢者(75歳以上)」入りする団塊の世代を中心に、多くの高齢者にとって、人生最後の悩ましい問題だ。
最近は著名人や芸能人が亡くなっても、ひっそりと家族葬で済ますケースが目立つ。以前のような盛大に「手厚く死者を弔う」のではなく、カネをかけずにシンプルに――というのがトレンドだ。
「無葬社会」などの著者で知られるジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏はこう言う。
「都会から出てきて核家族を形成した団塊の世代は、地縁や血縁の結びつきが弱い。すると、世間体や見栄を気にしなくてもよくなり、質素な葬送で十分ということになる。さらには、高齢者施設に入ることを考えると、死の準備にそれほどお金はかけられない。その結果、家族葬や直葬が拡大しているんです」
カネをかけないのは、墓も同様だ。地方の菩提寺を離檀して、都心部の納骨堂へと納骨を改葬する動きが加速しているという。街中の広告で「自動搬送式納骨堂」という文字を見かけた人も多いだろう。ビルの中に数千もの骨壺が納められていて、参拝ブースでICカードをかざすと、骨壺が運ばれてくる。業者の宣伝文句は「買い物ついでに、仕事帰りに、墓参りできる」だ。確かに、こうすれば、わざわざ高い交通費を払って田舎に帰る必要もなく、いつでも気軽に墓参りが可能かもしれない。ただし、こうした利便性の裏に潜むリスクを知っておいたほうがいい。
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自動搬送式納骨堂を含めた永代供養墓は埋葬の主流に