新型コロナ感染者が語る発症からの経緯(後編) 実際に感染して感じた報道との違い

ホテルではここで食事を受け取った【写真提供:高橋寛人】
ホテルではここで食事を受け取った【写真提供:高橋寛人】

タバコは吸わないが持病はある

 4月30日と5月1日に、ようやく連続して陰性の結果が出た高橋さんは、1日に即退院。15日ぶりに電車に乗って帰宅した。しばらくは自宅待機の予定なのだろうか。
「僕はすぐに仕事に復帰して良いと言われましたが、会社から『まだしばらく自宅で療養していて良い』と言われたので自宅にいます。医師により、自宅待機期間を指示される人とされない人もいるようですね。体調は現在、問題ありません」
 
 ちなみに、高橋さんは酒は好きだがタバコは吸わない。持病はある。皮膚と血液に関する2つの難病指定の病をもっているが、コロナ感染以前から症状は安定し薬は使用していなかった。ただ、皮膚の病はコロナ感染をきっかけに少し悪化しているという。

いったんはまとまった金額の支払いが必要になる

 驚いたのは、治療にかかった金額だ。退院して数日後、入院していた病院から55万円超の請求書が届いたのだ。保険証を提示しなかったから大きな金額になったのではあるが、そもそも、こんなにも費用がかかっていたのだ。

「新型コロナウイルス感染症は指定感染症なので、医療費は最終的には公費負担。食費や部屋代も含め、僕の場合、負担は2万円で済むんですけど、保険証を提示しても、いったんは17万円をまとめて払わなければいけないので痛かったです。病院では食事代がかかるかもしれないという旨は説明されましたが、一度全ての費用の建て替えが必要な旨の説明はなく、保険証開示も入院中一度も求められなかったので、油断していて焦りました。たぶん病院側も毎日、必死の状況なので説明しそびれてしまったのでしょう。このようなことが起きるのは仕方ないことかと思います」
 
 高橋さんは幸い、勤務先の会社の配慮もあって金銭的に窮してはいない。先日、病院へ医療費を支払いに行ったところ、看護士さんに「よく生きてたね」と言われ、少し驚いた。

「自分が感じていた以上に厳しい状態だったのかな、と思いました。やはり怖い病気ですね。再発したり再感染したりしないためには、結局、出歩かないのが一番。ステイホームが叫ばれているのには理由があることを実感しました。だから、今はずっと家にいて、入院中にもらった書類などをまとめたり、ZOOMを使って友達とリモート飲み会をしたり、自宅でゲームや映画を楽しんだりして過ごしています」

 自身の感染経験が多くの人に役立つことを願って、あえて感染を秘密にせず語るようにしているという。

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