「教員なんかいらない」 録画授業で十分という“厳しい意見”に現役教師が猛反論
「教員なんかいらない」。現役の小学校教師に寄せられたという“厳しい意見”が、ネット上で物議を呼んでいる。これに対し「厳しい反論を期待いたします」とやり取りを公開した投稿者に、投稿の意図と寄せられた反論を聞いた。
「全国で一律の授業やるのは非効率、録画した授業を流せばいい」という声も
「教員なんかいらない」。現役の小学校教師に寄せられたという“厳しい意見”が、ネット上で物議を呼んでいる。これに対し「厳しい反論を期待いたします」とやり取りを公開した投稿者に、投稿の意図と寄せられた反論を聞いた。
「『厳しいこと言いますよ。教員なんかいらない。(日本で一人)優秀な方が授業して、それを録画で流せばいい。それをやらないから教員が足りないんだ』とご意見をいただきました。厳しい反論を期待いたします」
現役の小学校教員が“厳しい意見”に対しての反論を募った投稿は、100件以上のリツイート、900件以上のいいねを集めるなど話題に。閲覧回数は21万回を超えている。
投稿者の教員は「『授業の準備をしっかりやれば、仕事が楽しい』という旨のツイートをしたところ、『全国で一律の授業やるのは非効率。録画した授業を流せばいいじゃないか。だから教員不足になるのだ』という現状批判のリプライがきて、カチンときてしまい、他の教員の考えを聞いてみたいと思って」と投稿の意図を説明する。
寄せられた反論では、対面授業のメリットとして「その時々の子どもの反応に応じながら授業を進めることができる」「質問ができる」「子どもの思考(違う視点や深い視点)を促すことができる」「子ども同士の学び合いを促すことができる」などが挙がった他、録画授業のデメリットとして「受け身の学びになる」「理解の追いつかない、やる気のない子たちが置いてきぼりになる」「そもそも有効なら全国に広がっているはず」といった意見があったという。
「授業には教材(何を教えるか)、教授法(どう教えるか)、子どもの理解度(誰にどのように教えていくといいか)という3つの面があるとあらためて気づきました。動画を流すだけでは、一方的に教材と教授法を与えるだけで、それぞれの子の理解度への寄り添いが足りない。授業にはそれこそが最も大事で、子どものことを分かっているから教材や教授法を調整して授業ができるわけです。だから子どもも満足するし、その姿を見て教員も達成感を得ることができる。
録画と授業を組み合わせればという意見もありましたが、それをやっている人はすでにいるし、私も時々動画を使って授業をしています。動画も教授法の一つなんですよ。動画が有効なときは使いますが、そうじゃないときは自分が教えますし、子ども同士でやった方がいいと思ったときはグループワークにします。あらためて、教師はAIにはできない、誇りある仕事をしているんだと思いました」
近年、深刻な教員不足が大きな社会問題となっているが、教育現場ではあらためて、それぞれの子に寄り添う教員の生きた指導力が必要とされている。