市川左團次さんを追悼 尾上菊五郎「さみしい気持ち」、市川団十郎「言い表せない感謝」

右下葉肺がんのため、今月15日に82歳で亡くなった歌舞伎俳優の市川左團次(いちかわ・さだんじ=本名・荒川欣也)さんを悼み、松竹歌舞伎座を通じて尾上菊五郎(80)と市川團十郎(45)がコメントを発表した。(以下、原文のまま)

尾上菊五郎(左)と市川團十郎【写真:(C)松竹】
尾上菊五郎(左)と市川團十郎【写真:(C)松竹】

松竹歌舞伎座がコメントを発表

 右下葉肺がんのため、今月15日に82歳で亡くなった歌舞伎俳優の市川左團次(いちかわ・さだんじ=本名・荒川欣也)さんを悼み、松竹歌舞伎座を通じて尾上菊五郎(80)と市川團十郎(45)がコメントを発表した。(以下、原文のまま)

尾上菊五郎
 本当に突然の報せでしたので、驚きと共にさみしい気持ちでいっぱいです。今日、左團次さんに会ってきましたが、側にいてお顔を見ているといろいろな思い出が胸にこみ上げてきました。

 年代も近いので、小さい時から一緒でしたし、今に至るまで共に数多くの舞台に立ちました。役者としても人間としても明るく優しい、茶目っ気もある素晴らしい仲間です。

 五月、六月の歌舞伎座でご一緒できるのを楽しみにしていました。今はゆっくり休んで欲しいと只々願うばかりです。

市川団十郎
 昨日訃報を聞いて、愕然としました。左團次のおじさまは、私が生まれた時からお世話になった大恩人です。特に『助六由縁江 戸桜』で私が初めて助六を勤めた際にも、左團次のおじさまが出て下さいました。その時の感謝はもちろんのこと、舞台で対峙した時のあまりの大きさに驚いた記憶が、今も鮮明に残っています。

 もちろん父團十郎とも仲が良く、父と左團次さんが遊ぶ時には私も誘っていただき、可愛がっていただきました。また昨今では、市川宗家としての私に対して、「市川宗家である」ということを左團次さんは行動で示し続けて下さいました。言葉では言い表せない感謝があります。

 そして昨年十一月、十二月の團十郎襲名では、二か月間お付き合い下さり、倅の『外郎売』では朝比奈を、私の『助六』ではくわんぺらを、そして十二月の『口上』では襲名の披露の口上をしていただきました。本当に感謝してもしきれません。私自身はもとより、歌舞伎界にとりましても大変な損失です。この悲しみは、言葉では言い表すことができません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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