北野武監督、構想から30年の最新作『首』に手応え「成功したと思っている」 製作費は15億円
北野武監督の6年ぶりとなる最新映画『首』の完成報告会見が15日、都内で行われた。構想から30年を費やした意欲作が今秋に全国公開されることとなり、北野は「だいぶ苦労したがどうにか出来上がった。映画ができたのはスタッフやすばらしい役者さんのおかげ」と感謝した。
「死を前にした男同士の関係を描きたかった」と告白
北野武監督の6年ぶりとなる最新映画『首』の完成報告会見が15日、都内で行われた。構想から30年を費やした意欲作が今秋に全国公開されることとなり、北野は「だいぶ苦労したがどうにか出来上がった。映画ができたのはスタッフやすばらしい役者さんのおかげ」と感謝した。
『首』は北野にとって『アウトレイジ 最終章』以来6年ぶり、19作目となる監督作品。1993年に公開された『ソナチネ』と同時期に構想された作品で、戦国時代の“本能寺の変”が舞台。戦国武将や忍、芸人や百姓といった多彩な人物の野望と裏切りを、キレ味抜群のバイオレンスと笑いを交えながら描くという。
北野は「時代劇をよく見るのは大河ドラマ。でも、どうもきれいで、人間の業や欲、裏切りがあまり描かれていない。この映画は自分が撮ればこうなるというところから発想した」と説明。
続けて「ここ数年は歴史ブーム(織田)信長や本能寺の変がよく出てくる」とし、明智光秀が織田信長を裏切った理由について「怨念があったとか、土地を取り上げられたとか、80くらいある。自分は秀吉がかなり動いたなって思う。これを映画化したいと何年も思っていた」と語った。
また本作で「男同士の愛ではないけど、死を前にした男同士の関係を描きたかった」と告白。「男同士が絡み合うのをNHKは避けることがある。殿様に命をかけているので、そういう関係であるというのは自分の考えですが、そういうことを描かずに戦国時代を描くのはおかしい。侍や戦国武将なんてものは悪い奴ら。その残酷さや生と死をバックボーンとして生き方をうまく描ければと思っていた」と話した。
自分が手掛ける作品は「自分ではもういいのか悪いのかよく分からない。スタッフや関係者に作品の出来を聞いているんだけど、『これは本当に褒めているな』『これはお世辞だな』とよくわかる」とし、最新作の『首』は「大多数が本当に褒めていると強く感じた。まぁ成功したと思っている」と自信をにじませた。
会見には西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋、KADOKAWAの代表取締役社長・夏野剛氏が出席。夏野氏は製作費について「15億円。全部うちが出しています」とコメントした。