セクハラ教師が校長昇進 思わず叫んだ「なんで?」 瞬時によみがえった28年前の卑劣行為

「小学校時代、散々セクハラしてきた先生が校長になってると知って…」。新学期が始まり、心新たに春を迎えている人も多いだろう。学校では人事異動が発表され、生徒や保護者の受け止めもさまざまだ。そんななか、新聞である先生の校長昇進を知ったふた(@kobutakundayo7)さんの投稿が波紋を呼んでいる。28年前、まだ一教員に過ぎなかった先生から陰湿なセクハラ被害を受けていたことを告白。ENCOUNTは投稿の経緯を詳しく聞いた。

教師によるセクハラ、性加害はあってはならない(写真はイメージ)【写真:写真AC】
教師によるセクハラ、性加害はあってはならない(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「発育のいい女の子ばかり音楽室に呼び出して…」 新校長の“素顔”

「小学校時代、散々セクハラしてきた先生が校長になってると知って…」。新学期が始まり、心新たに春を迎えている人も多いだろう。学校では人事異動が発表され、生徒や保護者の受け止めもさまざまだ。そんななか、新聞である先生の校長昇進を知ったふた(@kobutakundayo7)さんの投稿が波紋を呼んでいる。28年前、まだ一教員に過ぎなかった先生から陰湿なセクハラ被害を受けていたことを告白。ENCOUNTは投稿の経緯を詳しく聞いた。

「小学校時代、
散々セクハラしてきた先生が
校長になってると知って

すごく複雑な気持ちになった春

髪の長い、
発育のいい女の子ばかり
音楽室に呼び出して

髪を撫でたり
ブラをしなさいと背中を撫でたり
肩をさすったり
耳に息をふきかけたり

私も友人も
とてもとても怖い思いをしたよ」

 1日、ふたさんがSNSに投稿すると、4600件のいいね、1000件のリツイート、33万回の閲覧数を記録するなど、大きな反響を呼んだ。

 なおも、ふたさんのツイートは続いた。

「やられなかった子からは
『いい先生だよ』と言われて

やられた少数の子たちは
黙るしかなかった

28年前のこと

もう彼はあと数年で定年するだろう

いい先生と言われたまま」

 その後も、具体的な“校長”からのセクハラ被害を明かした。卒業式前日に呼び出され、スカートの着用を求められたふたさんは、パンツを履いて出席。小学生ながら唯一できる無言の抵抗だったとし、「当該の先生がお咎めを受けようが受けまいが氷山の一角」と指摘。「だからTwitterにこの話をしました」と結んでいる。

 この投稿には、「その校長が最後を過ごす学校に投書したい」「きっっっっっっっっっも!」「告発してやりたいです」「それもはや犯罪ですよね?」など校長に対する怒りの声が殺到。また、「私が小学校の時の担任も、女子の身体測定に入ってきて、下着の子たちをベッドに寝かせて耳かきをしてました」「私も小5の頃にクラブの担任に同じようなことされました」「居ました!そう言う先生、全校合わせると、一人や二人じゃなかった」など、男性教師から同様の被害を受けた経験談が相次いだ。

 毎年、生徒への性加害、セクハラ行為で免職になる教員が後を絶たない。しかし、実際に発覚するのはごく一部だ。「高校時代散々セクハラしていた先生が県の教育長になっていました」「ウチの市のは着任早々、担任してた1学年下にセクハラ×暴力やらかして、翌年妹の担任になった奴が今春から教頭」などのコメントもあり、素知らぬ顔をして出世の階段を上っていく現状が浮き彫りになっている。“聖域”と言われる教職ゆえに、守られている部分もあるのだろうか。

 ふたさんに、改めて投稿の経緯を聞いた。

「今回たまたま帰省中に新聞を見ていて、異動欄を目にして、当該の先生が校長になっていることを知りました。公表しようと思ったのは、悔しいやり切れない気持ちを消化したかったこともありますが、私も子を持つ親なので、子どもが守られるべき場所で傷つけられる可能性があるから注意喚起の意味を込めてツイートしました」

 そして、「当該の先生の名前をさらしたり、『直接教育委員会へ意見せよ』とのリプライもいただきましたが、先生を懲らしめたいからという限局的な視点でTwitterに公表したわけではなく、あくまでもオンラインという、多くの人の目に触れるからこその方法でより多くの子どもたちの安全につながればいいなと思いました」と、続けた。

 28年前のこととはいえ、新聞で名前を見ただけで当時を思い出す。どんな思いを抱えて生きてきたのだろうか。

「正直、いつもは忘れています。ですが、多感な時期にそういう経験にさらされたこともあってか、男性不信だった時期もありますし、極度に男性を怖いと感じることが今でもあります。同級生の中でも限られた一部の子だけの被害だったためか、同級生と会って先生たちの話になっても、『いい先生だったと思うよ』『思春期ってそういうときあるもんね』『先生はそんなつもりじゃなかったのかもよ? 熱心だったから』なんて言われることも多く、自分の中でタブーな話題になっていました。それだけが理由ではありませんが、メンタルの調子を崩して服薬していた時期もありました」

新聞で見た瞬間「なんで?」 28年前がフラッシュバック 癒えない心の傷

 心に負った深い傷。同級生との会話も楽しめないことがあった。小学生の出来事が大人になっても大きな影響を及ぼした。

 もちろん、“校長”はふたさんの長年の苦痛などつゆとも知らない。狼が“善人の仮面”をかぶったまま、学校をまとめる立場になった。

「新聞でそれを知ったときには、『なんで?』と思わず声が出ました。当時の場面が頭の中で再生されてしまい、最悪な気持ちです。何年たっても私や被害に遭った同級生は、こうして何度も被害を受け続けるのに、先生はなんで校長として子どもたちの教育に携わり続け、やりがいを得たり、尊敬されたりしてるんだろう? と思います」

 当然の疑問だった。

 小学生は誰かに告発することも難しい。セクハラや性被害を受けた生徒を保護・ケアし、加害者に責任を負わせる社会の仕組みが一層求められる。

 ふたさんは「被害に遭う子は選ばれていると思うんです。加害しやすい隙のようなものがあるのかもしれません。当時の私は受け身タイプで自信がなくて、気は弱くはないけど、ノーが言えない子だったと思います」と振り返りつつ、対策の必要性を訴える。

「加害を加える相手を寄せ付けない、来ても追い払える知識や自己肯定感を身につけるために、性教育や子どもの人権、子どもの権利条約など自分を大切にする教育が家庭でも、学校などでももっと盛んに行われるようになるといいなと思います。また、学外に教育委員会以外の第三者機関など保護者でも児童や生徒自身でも、気軽にアクセス可能な相談先があるといいなと思います」

 投稿が反響を呼び、子どもや子を持つ親に対して、一定の注意喚起の意味はあったという。

「こんなにRTされるとは思わなかったのですが、似たような経験をしたという方が少なくなかったので、時代もあるのかもしれませんが、学校は安全安心できる場とは言いきれないんだなと」

 同じような思いは、自身の子どもにもさせたくない。

「あらためて自分の子どもたちには、『大人でも間違ったことをする人はいる』『先生でも子どもを守るどころか傷つける人がいる』『こわいと感じたら必ず親や信頼できる大人に相談する』ということを教えなくちゃと思いましたし、子どもがそういう話を打ち明けられるような親でいなくてはと気の引き締まる思いがしました」

 少しでも被害者が減れば。勇気を出した投稿はその思いだけだった。

「昔、傷つけられた子どもだった多くの人たちが今は幸せであればいいなと思いますし、今は学校でこわい思いをする子があの頃より少ないといいなと思います」とふたさんは望んだ。

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