瀬戸康史「妻が毎日好きだし、愛してもいるけど…」 難役挑戦で気付かされた“愛”の難しさ
俳優の瀬戸康史が主演を務め、上野樹里が共演するテレビ朝日系スペシャルドラマ『私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』の前後編が4月7日(午後11時15分 ※一部地域を除く)と8日(午後11時)、2夜連続で放送される。放送を前に瀬戸が合同取材会に出席し、役作りや撮影の裏側を語った。
2夜連続放送のテレビ朝日系SPドラマ『私小説』で主演
俳優の瀬戸康史が主演を務め、上野樹里が共演するテレビ朝日系スペシャルドラマ『私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』の前後編が4月7日(午後11時15分 ※一部地域を除く)と8日(午後11時)、2夜連続で放送される。放送を前に瀬戸が合同取材会に出席し、役作りや撮影の裏側を語った。
本作は、恋愛小説『いま、会いにゆきます』(小学館)の作者・市川拓司氏が発達障害であることを公表したエッセー『私小説』(朝日新聞出版)が原案。瀬戸が市川氏をモデルとした伊佐山ジン、上野が妻・優美を演じる。発達障害を抱える夫と、寄り添い続ける妻の夫婦の物語だ。
瀬戸は、発達障害を抱える役柄に「そんなに抵抗はないんです」と話し、役作りのイメージを教えてくれた。
「どの役を演じるときも、僕の中でのやり方は一緒で、自分の中にあるものしか表現できないと思っています。僕は“木”をいつも想像するんですけど、『瀬戸康史』という幹があって、いろんな枝分かれしてるのが作品であったり、役だったりして、その中にある“実”を想像するんです。だから、その中の1つが今回のジンという役でした」
演じたジンは、繊細であるがゆえに人々から発せられる悪意に耐えきれず、突発的に心身が乱れてしまう恋愛小説家。本作では、発作を起こすシーンも描かれ、「パニックを起こすとか、没頭しちゃって熱くなるっていうのも、役の個性の1つとして受け入れて、もちろん繊細にも演じるけど、無理なく演じられたらと思っていました。変に過剰に演じるとかではなく、個性として意識しましたね」と、監督やスタッフと話し合いながら演じきった。
モデルとなった市川氏のしぐさや癖も表現の中に取り入れ、「発作が起きたときに、市川さんは右手の薬指の爪のところをぎゅっと押さえると症状が軽くなるということで参考にしてやっていました。ビジュアルも市川さんにちょっと寄せて、髪がくるくるのパーマがかかって眼鏡をかけました」と細部にもこだわった。
撮影中の現場で市川氏と初めて会い、「市川さんの手作りの小物をお借りしてセットに飾っていたんですよ。だから、その説明をすごくされました。市川さんの無邪気というか、話し始めたら止まらない感じが『あ、こういうことなんだ』っていうのはすごく感じましたね」と、ジンの特徴との重なりを体感したという。
上野樹里との共演は「とてもやりやすかった」
本作のジンと優美の夫婦関係から、「『人を愛する』ことは、言葉で言うととても簡単だし、簡単なことだと思うじゃないですか。でも、市川さんみたいに『人を愛する』ってすごく難しいですよね。市川さんは『毎日が新鮮で、妻と出会った15歳の頃から毎日が繰り返されている』とおっしゃっていたんですよ。15歳の頃から45年間続いてるって、すごいよなと思いました」と驚きだったと明かした。
「僕もそういう夫婦でありたいな」と共感する部分もあった。「お互いがお互いを支え合ってる感じで、どちらかがいっぱい荷物を持ってるんじゃなくて、同じ量を持ってる感じっていうか、その平等な感じが、とってもすてきだなと思います。それは多分お互いへのリスペクトにつながってくると思うし、長続きするコツなのかなと思います」と続けた。
また、本作で描かれた“愛”についても、「自分も妻に対して毎日好きだし、愛してもいるけど、『新鮮な気持ちで』と思っていても、なかなかできることじゃないと思うんです。そこがすてきなところでもあり、すごく難しいところでもあるなと思いましたね」と語り、作品を通して“愛する”ことの難しさを受け止めた。
撮影では、「ジンとして大切にしたのは、『優美のことが大好きだ、愛してる』っていう、その1点ですかね。だから、彼女を見つめる視線は目にハートが入ってるみたいな感じのイメージでやってました」とポイントを挙げた。
ジンの妻・優美を演じた上野は「うそがつけない人」という印象だったそうで、「(人柄が)芝居に出ているなっていうのは思いました。とてもお芝居自体も素直なんです。だから、こっちもとてもやりやすかったです」。
撮影を振り返って、「樹里さんとの距離も常にベタベタするとかではなく、とても心の距離としてめちゃくちゃ近いし、市川さんの本当のご夫婦のように、お互いを認め合って、お互いがお互いを支え合ってるっていう台本自体もそうだし、実際演じてみても、そうなれたんじゃないのかなと思います」と手応えとともに、見どころをアピールした。