毎熊克哉が見た紀里谷和明監督の映画引退の覚悟 出演オファーに「共闘を誓った」

俳優の毎熊克哉(36)が映画「世界の終わりから」(4月7日公開)でメインキャストを務めた。本作は「CASSHERN」や「GOEMON」で知られる紀里谷和明氏の映画引退作。毎熊が見た紀里谷氏の最後の映画現場とは?

紀里谷和明氏について語った毎熊克哉【写真:ENCOUNT編集部】
紀里谷和明氏について語った毎熊克哉【写真:ENCOUNT編集部】

映画「世界の終わりから」でメインキャストを務める

 俳優の毎熊克哉(36)が映画「世界の終わりから」(4月7日公開)でメインキャストを務めた。本作は「CASSHERN」や「GOEMON」で知られる紀里谷和明氏の映画引退作。毎熊が見た紀里谷氏の最後の映画現場とは?(取材・文=平辻哲也)

 インディーズ映画『ケンとカズ』で注目を集め、映画を中心にNHK連続テレビ小説『まんぷく』やTBS系『恋は続くよどこまでも』などドラマでも活躍する毎熊。本作の出演は紀里谷監督からの指名だった。

 本作は事故で両親をなくし、自身も生きる希望を失いかけている中で突然、世界を救う使命を託された女子高生のハナ(伊東蒼)の物語。毎熊はハナを影で見守る政府・特務機関に所属する江崎というナゾめいた人物を演じた。

「『バーで気軽に話しましょう』みたいな感じが最初でした。紀里谷監督はパーティーの後だったそうで、スーツ姿がかっこよくて、会った瞬間から強烈なエネルギーを感じました」と振り返る。

 台本も、通常の台本よりも厚く、そこに監督の熱量を感じ取った。

「時間軸や空間が行ったり来たりする物語だったので、1回読んだだけでは理解が難しかったのですが、紀里谷監督の『CASSHERN』や『GOEMON』は見ていたので、これは、きっとすごい世界観の映画になると思いました。監督は江崎のキャラクターにはまだ悩んでいるので、一緒に考えて、この作品で共闘してくれる人を探しているんだとおっしゃっていて、僕はドキドキしながら『一緒にやらせてください』と答え、共闘することを胸に誓いました」

 3月20日の同作の完成披露舞台あいさつでは、目に涙をためながら映画への思いを語った紀里谷氏。撮影中はどんな監督ぶりだったのか。

「ご自身が撮りたいと思い描いているビジョンが明確で、それを具体化させていく姿は鬼気迫るものがありましたし、なおかつスピーディーでした。撮影現場では時間の制約や、うまくいかない事も多々あるのですが、そんな中でも、妥協を許さず全てのカットにエネルギーを注ぎ込んでいたという印象です」

 劇中のハナと江崎の関係はリュック・ベッソン監督の『レオン』におけるマチルダとレオンのような関係にも見える。

「(伊東は)年齢相当の普通の女の子だなと感じる時もあれば、お芝居では、大人の女性の顔が見えたりもする。それが出たり引っ込んだりするのが魅力的でした。『レオン』に似たところもありますが、あの作品はラブの要素が強い。『世界の終わりから』では年齢も性別も越えて、どこか似たような苦しみを持った“人間同士“の触れ合いを出したいと思って演じました」

 この作品をやりきったことに大きな喜びを感じている。

「『世界の終わりから』は挑戦的な作品です。現場は大変でしたが、映画を作るということは本当に大変なことなんだと、あらためて気付かされました。役がらも難しかったですし、やる前に自信があったかと言われれば、なかった。でも完成した作品は台本以上に素晴らしくて、やりきって良かったと喜びを感じました。挑戦する壁は高い方が楽しいと思いますし、今後も、こういう挑戦を続けていきたいです。紀里谷監督にも感謝しています」

 今年は『どうする家康』でNHK大河ドラマに初出演。徳川家嫡男・信康を補佐する岡崎城奉行の大岡弥四郎を演じ、撮影はすでに終えている。

「実際の撮影は4、5日程度だったので、集中して楽しくできたのですが、10年前だったら、完全に雰囲気に飲まれていたかもと思います。本番よりリハーサルの方が緊張するんですよね。現場で見ている方が多いからですかね。鎧をつけて、刀をつけての演技だと、すれ違い様に太刀が当たるんです。そういう経験は今までなかったので、難しさもありましたが、むしろ楽しんでいた気がしますね」

 下積み時代から数えれば、15年近く俳優生活を続けてきたが、その現在地をどのように感じているのか。

「15年やっても、まだこんなにできないことがいっぱいあるんだ、と感じます。経験を重ねて昔よりもできることは増えていますが、歳をとって、失っていくものもあったり、自分自身のテーマは時と共に変化しています。なので蓄積してきたことには拘らずに、現在の自分にとって一番新鮮なものが出せる俳優でいられるようにと、考えています」。『世界の終わりから』を経て、毎熊自身も新たなステージに進んでいく。

□毎熊克哉(まいぐま・かつや)1987年、広島県福山市出身。小路紘史監督作『ケンとカズ』に主演し、第71回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞、おおさかシネマフェスティバル2017新人男優賞、第31回高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞。その後、吉永小百合主演映画『北の桜守』や『万引き家族』などに出演。TBS系ドラマ『恋はつづくよどこまでも』の来生先生役でも話題を集めた。

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