【RIZIN】芦澤竜誠はなぜ皇治に勝てたのか 裏にあった9か月前の109秒「自分の長所って何だろう」

格闘技イベント「RIZIN.41」は1日、丸善インテックアリーナ大阪で行われ、メインカードでは元K-1ファイター芦澤竜誠(Battle-Box)が皇治(TEAM ONE)に2-1(30-29、30-29、29-30)の判定勝ちを収めた。戦前は皇治有利と言われる中での勝利。芦澤の勝因はどこにあったのか。

芦澤竜誠【写真:(C)RIZIN FF】
芦澤竜誠【写真:(C)RIZIN FF】

不利な下馬評、完全アウェーの大阪決戦で芦澤が勝った理由

 格闘技イベント「RIZIN.41」は1日、丸善インテックアリーナ大阪で行われ、メインカードでは元K-1ファイター芦澤竜誠(Battle-Box)が皇治(TEAM ONE)に2-1(30-29、30-29、29-30)の判定勝ちを収めた。戦前は皇治有利と言われる中での勝利。芦澤の勝因はどこにあったのか。

 皇治のホーム大阪で繰り広げられた“ナマズ劇場”だった。距離をつぶして戦いたい皇治に対して、距離を取って戦い長い手足を生かして的確に打撃を当てていった。接近戦では鋭い両ヒザを何度も当てた。皇治に致命傷を与えるまでには至らなかったが、芦澤自身もキレイな顔のまま。ジャッジは割れたが、文句なしのポイント勝ちだった。

「周りのサポートがあって今回の勝ちに繋がったと思ってるんで、前までオレ1人で戦ってきたんすけど、あのー、そうじゃなかったっすね、みんなのおかげで勝てたと思ってますね」と試合後のインタビューでは充実の笑みを浮かべていた。

 試合前の入場、試合後のナマズ音頭と2度も生歌を披露。格闘家としては異色のパフォーマンスを皇治目当てに集まっていたファンに響かせ、「勝ったらオレが正義だろ!」と言い放った。

 戦前は不利と目されていた。ボクシングでの実績を積み重ね、レジェンド、フロイド・メイウェザー(米国)との対戦を描く皇治に対し、芦澤は109秒で倒されたYA-MAN戦以来、8か月ぶりのリング。さらに完全アウェーの大阪開催だったが、芦澤は冷静だった。

「すごい気持ちが強い選手だっていうのはわかってたんで、(皇治が)倒れたらいいやってくらいの気持ちで。流れで倒れたらいいわって思ったんすけど、皇治選手も気持ちは全然折れてなかったと思うんすよ。膝も何発もクリーンヒットしていて、効いたなっていうのもあったすけどね」

 試合前後のパフォーマンスからイケイケのファイトスタイルだと思われがちだが、実はK-1時代から距離を取ってクレバーな戦い方もできるタイプ。今回は無理に倒しにはいかず、自分の仕事を完遂して見せた。

今後はMMA挑戦「革命を起こしたい」

 皇治のこともしっかり分析していた。「もっとキックボクシングバチバチやってる時だったら、どんな試合になったかわかんないけど、最近はボクシングにいってたじゃないすか。ボクシングとキックボクシングって全然距離が違うんすよ。1Rの最初の方で分かった。パンチにヒザを合わせるんですけど、ボディーはこなかった。思った以上にヒザが強かったから入ってこられなかったんでしょうね」とドヤ顔。ボクサースタイルへと変貌しつつあった皇治をさばき、懐に入ってこられればヒザで迎撃する。戦前からイメージしていた通りだった。

 同時に9か月前の衝撃的なKO負けも、今回の勝因の一つになった。「YA-MAN戦で勝ってたら、今回の試合負けてたと思うんすよ」。どういうことか。「自分のダメなところとか、自分の得意なところってなんなんだろうってことに色々気づかされた。あと練習量も足りてなかったすね。今回はめちゃくちゃ練習してきたんで、体力で負けることは絶対ないと思ったすね」と続けた。

 YA-MAN戦の109秒で気付かされた自身の長所と短所。派手なパフォーマンスの裏で地道な努力も重ねた結果を結実させた。

 今回がキックでのラストマッチ。「MMAでも頂点目指したいっすね。普通にそのつもりで戦うんすけどまだMMA素人なんで、いろんなMMA選手と戦いながら、RIZINの選手を倒していきたいと思ってます。んで、革命を起こしたいすね」。まだ27歳。唯一無二の存在感を持つ“問題児”芦澤がMMAで進化する姿を楽しみにしたい。

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