4人組ロックバンド、フレデリックが29日、東京・NHKホールで初のホールワンマン公演を開催。昨年9月にライブハウスからスタートしたツアー『FREDERHYTHM TOUR 2022-2023～ミュージックジャーニー～』を打ち上げた。全30公演に及ぶツアーのファイナルを飾ったこの日のステージでは、2月22日にリリースした最新ミニアルバム『優游涵泳回遊録』に収録した『MYSTERY JOURNEY』など18曲を演奏。ボーカル・ギターの三原健司の「声出しが解禁になりました!　3年分出せてる？」の声に客席から熱い拍手喝采が巻き起こっていた。

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「音楽が大好きで、14年バンドをやってまいりました。『オレたちの音楽は間違いないな』っていう確信を持って、いつもステージに立ってます。今日も一緒です。あなたの2時間を全部、オレらに任せてください。今日はよろしくお願いします!」

　健司の呼びかけに、NHKホールを埋め尽くしたオーディエンスから惜しみない拍手と歓声がわき起こる。ツアーを経てますます磨きのかかったフレデリックのバンドサウンドの多幸感に、長かったコロナ禍を経て「声出し解禁」の状況となった解放感が重なって、場内の高揚感は刻一刻と昇り詰めていく。
　
『KITAKU BEATS』からノンストップで『ジャンキー』へ。ベースの三原康司、ギターの赤頭隆児、ドラムの高橋武が生み出すタイトなビートが観客を一面のダンスとジャンプに誘う。『飄々とエモーション』では3年ぶりに声出しが解禁になった会場に、コーラスが広がっていく。「今までのフレデリックのライブで一番でっかい声、出してもらっていいですかね？」という健司の言葉に、観客は飛び上がって応えていた。

　ライブで各地を巡りながら制作したミニアルバムに収めた『midnight creative drive』では、車のヘッドライトを思わせる照明が左右に揺れる。『ナイトステップ』では原曲よりもさらにクールでダンサブルなアレンジが施され、ライブならではの演出や新たな挑戦が光っていた。ブルージーな響きを帯びた『FEB』では、舞台の前面を覆った紗幕に白い霧が映し出され、メランコリックな歌の世界をファンタジックに彩っていた。

「長いツアーやった。9月から30本！　その中で一番、今、オレたちが見せたい曲を最後にやって帰ります」という健司の言葉に続けて、本編の最後に披露したのは新曲の『虜』。メンバーのソロ回しや、観客とのコール＆レスポンスも盛り込んだ演奏の中で、健司は「あなたにとって大事なフレデリックでありたいし、フレデリックにとって大事なあなたでいてほしい。オレたちの音楽とあなたは、一生離れることができないんです！」とエモーショナルに呼びかけていた。

　1度舞台を降りた4人を、観客が手拍子で迎え入れたアンコール。健司は「9月から毎週毎週ワンマンライブをしながら、フェスにも出たり、本当にライブざんまいの2022年を経て、最高のミニアルバムができて。この公演をもってツアーファイナル。いろんな場所でライブをしてきて、いろんな“ひとり”としっかり一対一で音楽をやってきて。新しい仲間も一緒につながって、またカッコいい場所で、進化していくオレらと一緒に遊べたらなと思っております。その時に、あなたがいてくれたら、めちゃくちゃうれしいです」と語りかけていた。

　アンコールではバンドの歩みを代表するアンセム『オドループ』が繰り出され、客席に壮大なダンスとシンガロングの輪が広がる。30本のツアーの最後を締めくくった最後の楽曲は、テレビCMでもお馴染キラーナンバー『スパークルダンサー』。ミュージック・ビデオとリンクするように、ステージ背後が銀ラメの幕に変わり、ライブの最後をあおり立てていく。健司の決然とした歌、そしてバンド一丸の強靭なビートが、オーディエンスを激しいハンドウェーブの渦へと巻き込んでみせた。

　バンドは11月25日の神奈川・KT Zepp Yokohamaを皮切りに、福岡や大阪など6都市9公演を開催する全国ツアー『FREDERHYTHM TOUR 2023-2024』が決定している。