花の種つけた“風船飛ばし”に「頼むからやめて」 卒業記念行事に一石投じる投稿が話題
別れと旅立ちの季節、卒業記念に花の種を風船につけて空へ飛ばしたという経験のある人も多いだろう。卒業シーズンの風物詩ともいえるこの「バルーンリリース(風船飛ばし)」に対し、「頼むからやめてほしい」と問題提起を行った投稿がSNS上で話題を呼んでいる。投稿者のぴこさんに、投稿に込めた意図を聞いた。
外来種拡散や海洋汚染などの環境被害、電力施設への障害といったリスクも
別れと旅立ちの季節、卒業記念に花の種を風船につけて空へ飛ばしたという経験のある人も多いだろう。卒業シーズンの風物詩ともいえるこの「バルーンリリース(風船飛ばし)」に対し、「頼むからやめてほしい」と問題提起を行った投稿がSNS上で話題を呼んでいる。投稿者のぴこさんに、投稿に込めた意図を聞いた。
「卒業進級の時期にみかけがちな『風船に花のタネをつけて飛ばす』、やってる子供に罪はないけど、頼むからやめてほしい…
風船が野山に落ちれば外来種の拡散だし、農地に落ちれば種類によっては雑草害待ったなし(アサガオとか最悪)
子供たちに関わる大人に、あれはダメって広がってほしい」
今月18日、ぴこさんが行った投稿は8500件を超えるリツイート、1万件のいいねを集めるなど大きな話題に。閲覧回数は85万件を超えており、「電線に引っかかったら大変」「海へ落ちると海洋汚染にもなりますね」「種子に至っては環境テロですよマジで」と多くの共感の声が寄せられている。
「この時期になると時々、SNSや地方新聞の記事などで『風船につけた花の種を飛ばしたら、お返事が来ました!』という話を見かけます。ただ、私は学生時代に生物学などをやっていた関係で、それを美談としてもてはやすのはどうなんだろう……と思って」と問題提起の意味を込めて投稿したというぴこさん。
「参加した子どもたちには何の責任もない、ということは言っておきたいです。せっかくの素敵な思い出に水を差すことはしたくなく、投稿するかも悩みました」と前置きしつつ、「現在大きな問題になっている侵略的外来種の中にも、最初にほんのわずかな数が野外へ放たれたことで、取り返しがつかなくなったものがあります。生き物は増殖するので、自分たちがコントロールできない(後始末できない)場所に放つのは、けっこう怖いことでもあるのです。風船飛ばしでは、遠くの人との思いがけない交流にスポットが当たりがちですが、生き物を扱っているという側面に、企画する側の大人たちが気づいてほしいと思っての投稿でした」と意図を説明する。
また、「最近は小学校でも理科の教科書に外来種問題や海洋ゴミ問題などが載っていたり、調べ学習で環境問題を学ぶ機会があり、生き物好きな子だと、大人より詳しかったりします。少なくとも私はそういうタイプだったので、自分が知ってることと矛盾するけど、大丈夫なのかなあ……でもみんなが盛り上がってるから水を差すようなことは言いにくいなあ……とひそかに悩んでいる生き物好きな子もいるんじゃないかと」と一部の環境意識の高い子への配慮の思いも。
投稿をめぐっては「昔は流行っていたけど、環境のことを考えるとほかの方法がいいよね」といった反応や、「海の生き物が飲み込む」という悪影響を追記した声も多かったといい、「いくら分解される素材でも、人間がゴム風船を食べて消化できないように、分解される前に生き物が食べてしまうことのリスクは考えられます。天然ゴムの風船でも、海の中では分解にかなり長い時間がかかることが最近分かってきていて、海外では風船を飛ばすこと自体を禁止した国もあります。電線など電力系の施設に風船が絡むと、休暇中のスタッフを呼び出してでもメンテナンスに急行しなくてはいけない、というコメントもあり、遠くの誰かの休日を奪うリスクもあるのだなあ……と気づかされました」とあらためて反響の大きさを語る。
「バルーンリリースに限らず、『素敵! うちでもやりたい!』と思ったとき、今は検索さえすればやり方がすぐ出てきます。でも、そこでちょっとだけ立ち止まって、『◯◯ やり方』にひとつプラスして、『◯◯ リスク』『◯◯ 悪影響』などで検索し直してみてほしいと思っています」。これまでは当たり前に行われてきた風習でも、その時代ごとに合わせたアップデートは必要。一度立ち止まって考え直す習慣をつけたいところだ。