【舞いあがれ!】空飛ぶクルマの舞台裏 NHKが実際の開発現場取材、未来描く難しさにも言及

女優・福原遥がヒロイン・梅津舞を演じるNHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』(月~土曜、午前8時)。物語は東大阪や五島列島を舞台に、舞が空への夢に向かって奮闘する姿を描く。

投資家に説明する刈谷博文(左=高杉真宙)と玉本淳(細川岳)【写真:(C)NHK】
投資家に説明する刈谷博文(左=高杉真宙)と玉本淳(細川岳)【写真:(C)NHK】

開発者取材した制作統括「『実現できますから』ときっぱりと言われたのが新鮮」

 女優・福原遥がヒロイン・梅津舞を演じるNHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』(月~土曜、午前8時)。物語は東大阪や五島列島を舞台に、舞が空への夢に向かって奮闘する姿を描く。

 3月23日に放送された第120回では、刈谷(高杉真宙)と玉本(細川岳)が開発する空飛ぶクルマの試作機が投資家の前でテストフライトを行う様子が描かれた。刈谷は有人飛行を実現する機体開発の意欲も示した。制作統括の熊野律時氏に空飛ぶクルマを物語で描く思い、実際の開発現場を取材した際の様子などを聞いた。まずは実現性から。

「普及にはまだ時間がかかるかもしれませんが、開発自体は着々と進んでいるようです。実際の機体を見せていただきましたし、開発者も一生懸命にやっており2025年を目指しているようですが、どこまでたどり着くからは分からないところも多々あります。ドラマではここまでならリアリティーがあるというラインなど実際の開発を取材したこととの兼ね合いを考えながら制作しています」

 劇中の試作機はドラマ用に作ったものか、それとも実際の開発機なのか。

「ベースは実際に開発途中で作られた機体をお借りしてアレンジしてという感じです。実際の開発当時のことを再現しています」

 ドラマでも商用飛行の実現目標として2025年という文字が登場した。未来を描くということか。

「今まで描かれたこととは違う形で最後は飛ぶということを描きたいと、脚本家の桑原亮子さんと話していました。舞が作ること、飛ばすことの両方に関わり、少し未来のことを含め、これからたくさんの可能性に満ちた未来があるということの出口にしたいとの思いがありました。今回、空飛ぶクルマで空を飛ぶことで、ここから新しい明るい未来を目指すという意味を込めて描きたいと思っています」

 未来を描くことで難しさはあるだろうか。

「すごく先というわけではなく数年後なので。取材する中で、このぐらいならあり得るかなということを確認してやっています。JAXAさんにアドバイスを頂いたりして、現実の延長線上で考え得る想定ということでやっています」

 空飛ぶクルマ開発者を取材して印象に残ったことは何だろう。

「漫画やイラストでは空飛ぶクルマは何十年も前から描かれていましたが、まだ実現していません。シンプルに空飛ぶクルマを現実に見たい、自分たちで作ってみたいという熱い思いをもった数人が本気で取り組むところからスタートして、この数年の間に急速に開発が進んでいます。取材で印象的だったのは、実現が難しいとは思うことはないのかと聞くと『できるんです。いつできるかという問題はありますが、実現できますから』ときっぱりと言われたのが新鮮でした。あと、専門的な能力のある人が必要な時、学歴や性別、経歴を気にせず、本当に実力のある人が求められていました。航空機の開発とは全く関係のないところから来た人もたくさん関わっています。人間が自分たちの力を持ち寄って、知恵を出し、工夫を重ねて、ついには空を飛ぶ。人間の可能性、明るい未来を信じられる物語にしたいです」

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