片平なぎさ、30年続いた『赤い霊柩車』ファイナルへの思い「やりきった感はあります」
俳優の片平なぎさ(63)が主演する人気シリーズ『赤い霊柩車』が39作目にして最終章を迎える。17日に放送される『放送開始30周年記念 山村美紗サスペンス39 赤い霊柩車 FINAL~弔の京人形~』(午後8時)を前に、片平が思いを語った。
17日の放送を前にインタビュー「本当に寂しさはあります」
俳優の片平なぎさ(63)が主演する人気シリーズ『赤い霊柩車』が39作目にして最終章を迎える。17日に放送される『放送開始30周年記念 山村美紗サスペンス39 赤い霊柩車 FINAL~弔の京人形~』(午後8時)を前に、片平が思いを語った。(取材・文=平辻哲也)
『赤い霊柩車』は人気作家・山村美紗さんの『葬儀屋社長 石原明子』シリーズを原作にする人気シリーズ。1992年に『金曜ドラマシアター』で第1作が放送され、『金曜エンタテイメント』(2~20)、『金曜プレステージ』(21~33)、『赤と黒のゲキジョー』(34)、『金曜プレミアム』(35~37)と放送枠を変えながらも、平成の始まりから令和にかけて愛され続けてきた。
「ライフワークのように続いてきた作品なので、本当に寂しさはあります。でも、年をとっていきますので、長くやればいいということではないと思うんですよ。第1回から見てくださった視聴者の皆さんのイメージを壊してはいけないと思うし、そういう意味ではギリギリいいところかなって。よくここまで頑張ってきたかなっていう思いがあります」
本当は40作を目標にしていた。
「ですが、39本。ちょうど感謝の気持ちも込めてサンキュー(39)でしょ。だから、ちょうど良かった。30年、年を取ってきていますから、不安もあるじゃないですか。そんな中で最後まで誰1人も欠けることなく元気で完走できたということが何よりうれしい。そういう意味では、やりきった感はあります」と充実感をにじませる。
1975年に映画『青い山脈』で女優デビュー。80年代は『スチュワーデス物語』で、ヒロイン役の堀ちえみをいじめる悪女役で話題になり、90年代には2時間のサスペンスドラマに数多く主演し、「2時間ドラマの女王」と言われた。
「私がデビューしてドラマを始めるようになった頃は、テレビ朝日さんの1時間半のドラマが一番長いドラマ枠で、出ることが夢でした。そこから(日本テレビの)火曜サスペンス劇場(1981~2005年)が始まって、私は石田あゆみさん主演のサスペンスにゲスト枠に出て、29歳の時に初めてのシリーズになる『小京都ミステリー』(1989~2001年)に出させていただき、2時間ドラマ人生が始まったんです。『小京都ミステリー』は30作ありましたが、年数はこんなに長くはなかったんですよ。『赤い霊柩車』は32歳ぐらいから始まって今日までですから年数は一番長い。本当に、育ててもらったっていう思いはあります。携われただけでも幸せですよね」と感謝する。
コロナ禍で制作予定が延期になり、20年放送の38作「結婚ゲーム」からは3年のブランクが空いてしまった。
「京都にロケに行けなくなって、こんなに長くコロナの影響が続くと思っていなかったんです。正直、このファイナルのラストの謎解きを、私ノーミスでできるかしらという不安がありました。それまでは結構セリフ覚えはいい方で、現場に台本を持って行くことはほとんどなくやれていたんです。だけど、もう不安で。10ページ近くあるシーンを覚えきれるだろうか。家では覚えられても、いざ現場へ行って、台詞が出てこなくなるんじゃないか。そのくらい3年というブランクは恐怖でした。そういう意味でも、本当にここが限界、卒業かなって。だからやりきった感があるのかもしれない」と振り返る。
もちろん、現場では台本なしに役に臨むことができたそう。ファイナルは、京友禅の下絵師(羽場裕一)の殺人事件と石原葬儀社のネット炎上事件を描いており、ヒロイン石原明子は、葬儀社廃業のピンチにも立ち向かう。
■片平なぎさ(かたひら・なぎさ)1959年7月12日生まれ。東京都出身。1975年にデビュー。フジテレビの『赤い霊柩車シリーズ』やテレビ朝日の土曜ワイド劇場『ショカツの女シリーズ』など多くの2時間ドラマに出演。映画では『嫌われ松子の一生』、『インシテミル 7日間のデスゲーム』など。カンテレ・フジテレビ系『罠の戦争』に出演中。O型。趣味・特技:あてのない旅。