女性トイレがない公共トイレに批判殺到 設置元の日本財団「今後、反響や実態調査を行う予定」
東京・渋谷区に新たに設置された女性専用トイレがない公共トイレがネット上で拡散、物議を呼んでいる。なぜ公共のトイレなのに女性用トイレがないのか。トイレを設置した渋谷区と公益財団法人日本財団を取材した。
昨年12月には“透明トイレ”が故障し中が丸見えになるという不具合が発生
東京・渋谷区に新たに設置された女性専用トイレがない公共トイレがネット上で拡散、物議を呼んでいる。なぜ公共のトイレなのに女性用トイレがないのか。トイレを設置した渋谷区と公益財団法人日本財団を取材した。
「幡ヶ谷で新しくできたトイレです。本日、近くに所用があって写真をついでに。誰でもトイレが2つ、と男性用トイレ。渋谷区としては女性トイレを無くす方向性なのですが、私はやはり女性用トイレは残すべきだと思います。皆さんはどうお考えでしょうか」
今月6日、渋谷区議会議員の須田賢氏が行った投稿は、2日間で1.3万件のリツイート、3.4万件のいいねを集めるなど大きな話題に。閲覧数は2100万件を超えており、女性差別を訴える声や性被害を危惧する声が多数寄せられている。
いったい、なぜ女性専用トイレのない公共トイレを設置することになったのか。今回問題となったトイレ「渋谷区立幡ヶ谷公衆便所(渋谷区幡ヶ谷三丁目37番8号)」は、渋谷区と日本財団が協働で進めているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」により整備された渋谷区内17か所の公共トイレのうちのひとつ。区によると、「THE TOKYO TOILET」は「新しい公共トイレのあり方を通して、ダイバーシティを受け入れる社会の推進を図ることを目的」としており、17か所の公共トイレは2020年8月より順次竣工、幡ヶ谷公衆便所は今年2月22日から利用が開始されている。
渋谷区は7日、ホームページ上に「渋谷区立幡ヶ谷公衆便所について」と題した区政情報を掲載。「このトイレには共用トイレ(個室)が2ブースあり、性別に関わらず誰もが快適にご利用いただける環境が整ったものと考えております。また、男性用の小便器トイレを別途用意することで、より多くの方々が共用トイレをさらに快適にご利用いただけるものと考えております」とし、「令和5年3月6日、Twitter上で渋谷区議会議員から『渋谷区としては女性トイレをなくす方向性』とのツイートがありましたが、渋谷区では今後のトイレ整備について女性トイレをなくす方向性など全くございません。引き続き、利用者の方々が快適にご利用いただけるよう、トイレの適正な管理に努めてまいります」と釈明している。
渋谷区と共に「THE TOKYO TOILET」プロジェクトを進めている日本財団は、ENCOUNTの取材に「『THE TOKYO TOILET』は、多くの公共トイレが暗い、汚い、臭い、怖いといった理由で利用者が限られている状態を受け、渋谷区の協力を得て、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使用できる公共トイレを区内17カ所に設置しています」と文書で回答。女性専用トイレがない理由については「ユニバーサルトイレ(性別、年齢、障害の有無を問わず利用できるトイレ)を必ず設置するようにしています。幡ヶ谷公衆トイレ単体については今後、改修後の反響や利用実態の調査を行う予定です」としている。
「THE TOKYO TOILET」をめぐっては、昨年12月、渋谷区代々木公園内の「渋谷はるのおがわコミュニティパーク」に設置された“透明トイレ”が故障。全面ガラス張りで、利用時のみ不透明になるという仕様のトイレだが、利用中も外から中の様子が丸見えになるという不具合が発生し、区が対応を行っていた。