元ベビレ・渡邊璃生が初小説集を刊行 テーマの“愛”は「理屈がわからないもの…」〈インタビュー〉

初小説集のポイントや表現活動の今後を語る渡邊璃生【写真:山口比佐夫】
初小説集のポイントや表現活動の今後を語る渡邊璃生【写真:山口比佐夫】

初小説集に収録された集大成的な作品とは…

――今回の短編小説集には7篇が収録されていますが、特に思い入れのある作品は。

「どの作品も思い入れはありますが、1番最後に収録されている『ダイバー』は個人的に気に入っています。今回7篇収録するためにアイドル時代に書いた 4篇の表現を直したのですが、そういったことをする中でその集大成的な作品が『ダイバー』だと思っています」

――『ダイバー』とほかの作品の違いは、どんなところにありますか。

「いわゆるメリーバッドエンドと言いますか、一見幸せそうに見えるけど、見方によっては不幸な部分もある。そういう意味ではわかりやすいバッドエンド、わかりやすいハッピーエンドなこれまでの作品とは違って、後味の悪さじゃないですけど、少し切なさが含まれる作品になります」

――短編集の全体を通して何かが犠牲になっているような作品が多いように感じました。

「現実は上手くいくことばかりではないので、あまり物語は物語でもすべてが上手く行き過ぎるのは個人的に好きではなく、どこかで何かが犠牲になったり、何かが欠けてしまったり、そういった物語にするのが好きです。全体としてテーマがとっつきにくいので、そういった部分もあるほうが、少しだけ現実感が生まれると思っています」

――今回は短編集となりますが、長編小説には興味はありますか。

「長いお話を書くのは苦手ですが、次回出版の機会があったら長編作品にも挑戦して苦手を克服したいと思っています」

――渡邊さんの趣味は読書ということですが、好きな作品のジャンルは。

「ミステリー的な作品がすごく好きで、推理ものなどもよく読んでいます。あとSFとかも好きですね。『4ページミステリー』という作品がありまして、タイトル通り4ページで完結するミステリー小説なんですが、ああいう作品が好きです。短編作品を読むことが多いですね」

――最近見つけたオススメ作品はありますか。

「谷川俊太郎さんの詩集『真っ白でいるよりも』を買いました。出版されたのはけっこう前なのですが最近買って、すごく好きな詩集だと思いました。あと最近は漫画を読むことが多くて、『月に吠えらんねえ』(講談社)という作品もオススメです。実在した小説家さんの作品を擬人化したキャラクターが登場する漫画で面白かったです」

――小説家としての将来像はありますか。

「理想としては自分の書きたいものをたくさん書いて、いろんな人に『良かったよ』と言ってもらえたら1番うれしいので、そうなれるように頑張ります」

――小説家以外の表現活動はいかがでしょか。

「作詞をしてみたいです。アイドル時代から音楽が好きなので、そういう面で音楽には今後も関われたらと考えています」

――作詞するとしたらアイドル系の楽曲でしょうか。

「自分が好きな楽曲というのがロックな楽曲が多いので、作詞するとしたら、もしかしたらそっちの系統かもしれません」

〈このインタビューは3月下旬に行われた〉

□渡邊璃生(わたなべ・りお)、2000年3月8日生まれ、神奈川県出身。2012年よりアイドルグループ「ベイビーレイズ(からベイビーレイズJAPAN)」の最年少メンバーとして活動。アイドルの傍ら小説を執筆し、2018年のグループ解散後は小説、作詞、ゲーム実況など多方面に活動の場を広げている。2020年5月2日、初の短編小説集「愛の言い換え」(KADOKAWA)を刊行。
https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000345/

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