「もう頭まで漬かってる」28歳男性を襲った“旧車沼” 車内から煙、道路で立ち往生も「抜けられねえ」

ひょんなことから“旧車沼”にはまってしまった28歳の若者がいる。神奈川県の岡和希さんは2020年に初のマニュアル車をヤフーオークションで購入したが、選んだのは1967年式の日産セドリックスペシャル6という希少車だった。「正直そんなに乗らないかな…」とあくまで“つなぎ”を想定。さらに車内から煙が吹き出し、道路のど真ん中で停車するなどトラブルも多発した。現行の最新車とは大違いだが、もはや手放せないほど魅了されているという。その理由とは。

インパクト大の車体【写真:ENCOUNT編集部】
インパクト大の車体【写真:ENCOUNT編集部】

練習車のつもりが…頭までどっぷり 「もう抜けられない」

 ひょんなことから“旧車沼”にはまってしまった28歳の若者がいる。神奈川県の岡和希さんは2020年に初のマニュアル車をヤフーオークションで購入したが、選んだのは1967年式の日産セドリックスペシャル6という希少車だった。「正直そんなに乗らないかな…」とあくまで“つなぎ”を想定。さらに車内から煙が吹き出し、道路のど真ん中で停車するなどトラブルも多発した。現行の最新車とは大違いだが、もはや手放せないほど魅了されているという。その理由とは。

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 岡さんは18歳で免許を取得後、日産のパオを購入。その後、マニュアル車に興味を抱いたのは、将来乗りたい車がマニュアル車だったからだった。

「できればシボレーの39年のマスターデラックス。それに乗りたいなと思って」

 マスターデラックスはすぐに出会える車ではなかった。そこで車探しにあたり、こだわったのは「人とかぶらない車」だった。ヤフオクでセドリックを発見し、実際の車両を見学に行って購入を決断した。

「もう見た目の第一印象がかっこいいなって思ったのと、ベンチシートにもすごく引かれました。普通座席って分かれていると思うんですけど、ソファーみたいな感じのシートが2列なので、そこがかっこいいなと思って選びました」

 とはいえ、当初は軽い気持ちで、「一応練習車みたいな感じで」買ったという。

 オートマチック車を運転してきたため、マニュアル車は初心者同然だった。免許は持っていたが、「8年ぐらい離れていたので、ど素人に近い。初心者マーク付けてもいいぐらいの感じで道路を走りました」と、慎重に操作した。

 だが、慣れるとすぐに運転の楽しさに気づく。「めちゃくちゃ乗りやすくていい車ですね」。55年前の風格を漂わせる車体、味のある内装、ステアリングの質感…。オートマ車では得られない感動と興奮が全身を駆け巡った。

 トラブルはつきものだ。ハンドル付近から煙が出たこともある。「クラッチのシリンダーがダメになっちゃって、ギアが入らなくなって止まったことがあります。道路のど真ん中だったので、手押しでちょっと寄せてというのは何回かありました」と、常に不安は拭えない。

 そのため、「遠出はちょっと怖くてできないですね」と普段は街乗り中心に利用している。

 頼もしいのは弟の存在だ。整備士をしている。「弟にはすごくお世話になって、今の好調を維持しているのも弟のおかげだと思っているので、そこはすごく感謝したい」

 個体数の少ない、珍しい車だけに街中では目立ちまくっているという。

「走っていても声かけられるし、全然知らないおじいちゃんから『すごいの乗ってるね』って言われて、『あ、どうも』って言いながら走っています。友達からも『すげえの乗ってるよね』ってよく言われるし、『アメ車に乗ってんの』とか言われます」

高額な維持費に悲鳴 気づけば「あれ給料ねえな?」

 当初は想定していなかったが、今ではイベント用としても使用している。

 2月18日、パシフィコ横浜で行われた旧車・絶版車が集うクラシックモーターショー「ノスタルジック2デイズ」では一般公募で選出されたオーナー車両を展示する「栄光の選ばれし10台」に選ばれた。

「こんな場に出れるとは思っていなかった。すげえ舞台に立たせてもらったな」と岡さんは感無量だ。

 旧車にすっかり魅了され、“沼”にはまってしまった。

「たぶんもう頭まで漬かってるかな。もう抜けられねえなっていう。もう本当死ぬまで乗りたいなと思っています」

 車はダットサンのトラックも含めて全部で3台所有しており、維持していくことも大変だ。

「もう毎月支払い支払いで。あれ給料ねえな? みたいな感じになっちゃう(笑)。駐車場代とか車検も月割りでいくと結構な額を毎回払っている。部品は部品で出たら出たで高い。欲しいけど、数が少ない。そうすると、値段が上がる。そこを買うか買わないかみたいなせめぎ合いをしていかなきゃいけない」

 それでも車への愛は深まっていくというのだから不思議。岡さんにとって文字通り、人生を変える1台と言えそうだ。

次のページへ (2/2) 【写真】オーナーがほれ込んだセドリックの内装
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