「ファイナルファンタジーX」に救われた尾上菊之助 初日を前に「もっともっと前向きな未来に」
歌舞伎俳優の尾上菊之助、中村獅童、尾上松也らが2日、東京・IHIステージアラウンド東京(豊洲)で行われた『木下グループpresents新作歌舞伎ファイナルファンタジーX』(4日~4月12日)の初日前会見・フォトコールに登場した。
菊之助から電話を受けた獅童「うれしかったですし、未来の歌舞伎につながる」
歌舞伎俳優の尾上菊之助、中村獅童、尾上松也らが2日、東京・IHIステージアラウンド東京(豊洲)で行われた『木下グループpresents新作歌舞伎ファイナルファンタジーX』(4日~4月12日)の初日前会見・フォトコールに登場した。
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大ヒットゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズ第10弾として2001年に発売された名作『ファイナルファンタジーX(以下FFX)』を歌舞伎化。超巨大スクリーンとアジア初の360度回転劇場で世界初上演される。大いなる脅威「シン」に立ち向かう少年ティーダと召喚士の少女ユウナ、仲間たちとの壮大な旅物語。
“眠らない都市・ザナルカンド”で生まれた主人公の少年・ティーダを菊之助、亡き友との約束を胸に秘めた伝説の剣士・アーロンを獅童、グアド族の若き指導者・シーモアを松也が演じる。その他に、中村米吉(ユウナ)、中村梅枝(ルールー)、中村萬太郎(ルッツ/23代オオアカ屋)、中村橋之助(ワッカ)、上村吉太朗(リュック)、中村芝のぶ(ユウナレスカ)、坂東彦三郎(キマリ)、中村錦之助(ブラスカ)、坂東彌十郎(ジェクト)、中村歌六(シド)が出演する。
4日に初日を控えたこの日は、出演者が衣装姿で登場。同作を企画し、自身も「60~90時間プレイしている」という菊之助は、「ザナルカンドのエース、ティーダっす!」とあいさつした。
菊之助がFFXの歌舞伎化を構想したのは2020年のコロナ禍だったという。「私自身も先行きが見えない中で、不安な気持ちになりました。その不安な気持ちを救ってくださったのがFFXの世界観。パーティーたちはさまざまな葛藤を抱きつつ、一丸となって敵に立ち向かう。その心が、私生活で落ち込んでいた私に元気をくれました」と明かした。「痛手を負ってしまった方、不況にあえいでいる方も、もっともっと前向きな未来に進んで参りましょう、ということも含めて、FFXが描いているメッセージを、ゲームではなく、私たち人間が演じることによって、より深く伝えていけるのでは」と語った。
獅童は、2020年の緊急事態宣言中に菊之助から「新しい歌舞伎を作りたい」と相談を受けたという。「菊之助さんが企画を立てて、役者ひとりひとりに電話をかけて説明して。とってもうれしかったですし、そういう思いが成功を導いて、未来の歌舞伎につながっていく」と語った。またFFXを選んだことに、「すごいところに手をつけて挑戦するな」と思ったと明かし、「でも、歌舞伎はどんなものでも融合する。どんなものでも歌舞伎なる。今回も立廻り(たちまわり)、見得、附け打ち(つけうち)といった古典的なことが、FFXに融合している」と説明した。
菊之助も、「古典芸能にあまり触れたことがない方にも見ていただきたくて、原作を尊重しつつ、現代語、『一度で聞き取っていただける言葉選び』にしました。サウンドトラックの中から場面ごとにふさわしい曲を抽出し、和楽器にアレンジしてお届けさせていただきます」と、歌舞伎初心者にもわかりやすい工夫をしていると語った。
松也は過去に、360度回転するIHIステージアラウンド東京で舞台を経験しているといい、「より没入感を体感していただける。客席が回ることで転換の時間がないので、お客様もずっと物語にひたっていられる。一緒に移動しているような感覚になれる」と力説。「僕個人としては、最後の『シーモアバトル』はまさにこの劇場をいかした立廻り(たちまわり)になっている」とアピールした。