有村架純が“元風俗嬢”体当たり熱演 大胆ベッドシーン謎めいた過去の傷跡と癒やしの不思議感
俳優の有村架純が主演するNetflix映画『ちひろさん』(今泉力哉監督)が公開され早くも話題となっている。海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢のちひろさん。ちょっと口が悪いが、どこまでもマイペースで自由。少し変な大人のちひろさんが巻き起こす静かな騒動に心が温まる。原作は月刊漫画誌『Eleganceイブ』(秋田書店刊)で13年から18年にわたって第一部が連載された同名漫画。
劇中に登場する履歴書に粋な“仕掛け” 「誕生日」にスタッフの遊び心
俳優の有村架純が主演するNetflix映画『ちひろさん』(今泉力哉監督)が公開され早くも話題となっている。海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢のちひろさん。ちょっと口が悪いが、どこまでもマイペースで自由。少し変な大人のちひろさんが巻き起こす静かな騒動に心が温まる。原作は月刊漫画誌『Eleganceイブ』(秋田書店刊)で13年から18年にわたって第一部が連載された同名漫画。
のんびりした海街にやってきたちひろさんの周囲に無口なホームレス、家庭に不満を抱く女子高生、不登校を続けるその同窓生、シングルマザーの帰りを待つ小学生の男の子らが現れる。まったくの他人なのになぜか会いたくなる。そんな不思議な魅力を持つアラサー女性を有村が軽やかに演じている。
しかし、ちひろさんには重大な過去があるらしく、そこで背負った傷跡らしきものが随所で描かれる(実際に着替えるシーンで背中に大きな傷跡が見られる)。人に癒やしを与えるちひろさんだが、実は癒やしを求めているのはちひろさん本人であり、自由に生きているのは過去の出来事を思い出さないための方法論なのかもしれない。そんな孤独な心象風景が夕暮れの波や暗い部屋、金魚鉢、死体の埋葬などに投影されており、太陽の日差しが差し込む弁当屋や笑顔が飛び交う街の様子と巧みなコントラストを作っている。自由奔放なのにつきまとう孤独の影、その理由は何だろう? 安らかで穏やかなストーリーの中に埋め込まれた微弱で不思議な悲しみの痕跡が視聴者の心をつかむはずだ。
今回、有村は風俗嬢だった頃を表現するため真っ赤なキャミソール姿を披露しているほか、背中を大胆に露出したベッドシーンや入浴シーンにも挑戦するなど体当たりで役柄に挑んでいる。NHK大河ドラマ『どうする家康』で演じている築山殿(瀬名)とはまた違った大人びた魅力を開花させた。
注目ポイントは多いが、ちひろさんが弁当屋のアルバイト募集時に書いたとみられる履歴書を挙げておこう。生年月日欄をよく見ると「2月23日生まれ、満29歳」となっている。これは同作公開と同じ日となっており、制作サイドの遊び心を感じさせる。共演は豊嶋花、嶋田鉄太、vanのほか、佐久間由衣、市川実和子、鈴木慶一、根岸季衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュンらベテラン勢が脇を固めた。肩の力が抜けた熟練の演技が安心感を誘う。
同作はNetflixとアスミック・エースの共同製作。23日にNetflixで世界配信スタート。新宿武蔵野館、イオンシネマシアタス心斎橋、伏見ミリオン座、池袋シネマ・ロサ劇場にて公開中。