モデル兼プロ雀士29歳・岡田紗佳、国士無双十三面待ち「ロン」でも無表情だった理由
モデルでプロ雀士の岡田紗佳(おかだ・さやか)は、朝5時に寝て、昼2時に起床する。それが、週2回の試合に合わせた生活リズムだ。中国で育ち、モデルに憧れ、願いをかなえた後、プロ雀士になった異色キャリア。チーム対抗戦プロリーグ(Mリーグ)に参戦し、スペシャルマッチでは、伝説になる離れ業も披露したが、ポーカーフェイスを通した。一見、クールな29歳。その素顔に迫った。
『アメトーーク!』出演でインスタのフォロワー約3万人増
モデルでプロ雀士の岡田紗佳(おかだ・さやか)は、朝5時に寝て、昼2時に起床する。それが、週2回の試合に合わせた生活リズムだ。中国で育ち、モデルに憧れ、願いをかなえた後、プロ雀士になった異色キャリア。チーム対抗戦プロリーグ(Mリーグ)に参戦し、スペシャルマッチでは、伝説になる離れ業も披露したが、ポーカーフェイスを通した。一見、クールな29歳。その素顔に迫った。(取材・構成=ENCOUNT編集部ディレクター 柳田通斉、猪俣創平)
――1月12日、テレビ朝日系『アメトーーク!』の『プロ麻雀・Mリーグ芸人』に出演。反響があったのでは。
「はい。インスタグラムのフォロワーが約3万人増えました。Mリーグを知ってもらう機会にもなって、うれしく思います」
――今や有名Mリーガーですが、高校時代から芸能活動をされていますね。
「高2で今の事務所にスカウトされ、高3でオーディションを受けて(モデル)デビューしました」
――芸能界への憧れは。
「中学時代からあったので、スカウトされやすい渋谷、原宿に近い都立青山、国学院、青山学院を受験し、青学を選びました。母は教育熱心で芸能活動に前向きではないタイプだったので、自分で動くのではなく、スカウトされるのを待っていた感じです」
――狙い通りにスカウトされ、今の事務所と契約。その後、non-noの専属モデルのオーディションに合格していますが、当時、マージャンの経験は。
「全くでした。私は母の方針で6歳から小6まで、中国にいる祖母に預けられ、勉強が中心の日々でした。祖母の家には中国マージャンの卓があり、ルールは覚えていましたが、日本のマージャンとは違っていました」
――では、マージャンを始めたきっかけは。
「大学時代、モデル仲間がアプリのマージャンゲームをやっていたことがきっかけでルールを覚え、編集部スタッフの方とも一緒に打つようになりました」
non-no専属モデル時代にマージャンを覚え、「勉強会」でプロの道
――プロになる過程は。
「4年の時、『大学対抗麻雀駅伝』という番組に出まして、日本プロ麻雀連盟の方に『勉強会に参加してみませんか』とお誘いいただきました。卒業のタイミングでしたし、できた時間をマージャンに費やし、イチから勉強しました」
――すぐに成長の手応えを感じましたか。
「連盟はとても環境が良く、身近で教えてくれる方がたくさんいました。当時から、試合の(配信を)見てくださる方も多く、見られながら打ち方を学びました。本もたくさん読みましたね。『強くなりたい』というより、勉強好きなので、それも楽しい時間でした。最初は目に見えて成績が良くなり、『やっちゃった』というミスもなくなってきました」
――その後、さまざまな大会で優勝。2019年のMリーグで、新規加入のKADOKAWAサクラナイツからドラフト指名されてMリーガーとなりました。当時の心境は。
「1年間、Mリーグを見ていたので、『うれしいけど、ここで戦っていけるのか』という不安がありました」
――Mリーガーになってからの変化は。
「応援してくださる方の数が多くなりました。チームポイントの上下に一喜一憂してくださるし、今は、そういう方々に喜んでほしいために頑張っている感じもあります」
――生活リズムは。
「夜はゆっくりお風呂に入り、キャンドルをつけ、リラックスします。そして、サプリを飲んで午前5時に寝ます。起きるのは昼の2時です」
――昼夜逆転ですね。
「試合が夜なので、プロ雀士はそんな感じだと思います。起きたら、ちゃんと食事をして、お風呂に入って体温を上げて会場に向かいます。試合が終わるのは深夜0時ですし、他のプロは(振り返りの)配信を午前2、3時までやっているので、それを見ていると、すぐに5時になります。なので、冬場はほとんど太陽を見ません。日本にいながら違う国にいる感じです(笑)」
――試合は負けると、気持ちが沈むこともあるのでは。
「正直、気を強く保つのが大変です。いろんな声が聞こえてきますし、負けが続くと引きずるし、『ミスをしないように』と思うと、ミスをしてしまいます。なので、負けてもミスをしても、前を向くしかない。これらも続くたくさんの半チャンのために、何をすべきかを考えていきたいです」
控え室でも、仲間を懸命に応援「Mリーガーはとにかく必死です
――チームとの契約は。
「2年連続でファイナルに行けなければ、1チーム4人のうち1人は契約終了という規定があります。毎年、生活がかかっているので、Mリーガーはとにかく必死です」
――サクラナイツも、今季から新メンバーが入りました。
「渋川難波さんが入って、チームはグッと若くなりました。ある意味、包み欠かさない感じのチームになってきました」
――昨年6月5日に行われた麻雀最強戦Mリーグスペシャルマッチでは、国士無双を十三面待ちで和了(ロン)。それでも、喜ばなかった理由は。
「試合の半分も終わっていない段階だったからです。私、発想がネガティブなところがあって、『これをあがっといて、優勝しなかったらマジでやばい』と思い、プレッシャーが半端なかったんです」
――それにしても、すごいあがり方でした。テンパイした時の気持ちは。
「場のことを考えていました。対面がタンヤオの仕掛けで鳴いていましたし、放っておいたらあがられるかも……などです。ただ、最終的にリーチをかけたのは、ツモって点差を広げられると思ったからです」
――優勝も決めました。さすがにうれしかったのでは。
「正直に言うと、ホッっとした方が大きかったです」
――では、Mリーグで一番うれしかったことは。
「昨シーズン、チームが優勝したことです。自分が試合に出ていなくても、チームメートの試合中は、控え室で全力応援しています。高ぶっちゃうので、カメラは気になりません」
――Mリーガーとして、マージャン普及の手応えは。
「あります。Mリーグができて、女子高生やお子さんが電車内でMリーグの配信を見ていますし、マージャンのイメージが一気に変わりました。ただ、アプリでしかできない人も多く、リアルなマージャンを打ったことがない人も多いと聞いています。見る専門の『見るジャン』の人もいますね。でも、それも新しくていいと思います」
――では、今後も活動の中心はマージャンですか。
「それは流れに身を任せたいですし、目の前にあることをひたすらやっていきます。ゲーム好きでウマ娘にはまっていたら、競馬関連の仕事を始められたり、マンガ・アニメ好きを公言していたら、ジャンプフェスタに参加できたり。マージャンもそうで、趣味が仕事になっていく感じです。ありがたいことだと思っています」
□岡田紗佳(おかだ・さやか)1994年(平6)2月19日、東京生まれ。青山学院大卒。父は日本人、母は中国人。高3でモデルデビュー。グラビアでも知名度を高め、テレビ、ラジオ番組に多数出演。17年4月から日本プロ麻雀連盟所属の女流プロ雀士となり、19年のMリーグで、新規参入のKADOKAWAサクラナイツからドラフト指名。競馬にも詳しく、亀谷競馬サロンでコラム連載『役満ボディ岡田紗佳の“ウマく”楽しく!』などを担当。170センチ、B85-W58-H83センチ。血液型O。
□Mリーグ
2018年7月、競技麻雀の普及と発展を目的として発足した麻雀プロリーグ戦。企業とプロ契約を結び、ユニフォームをまとったMリーガーたちがチームの威信をかけて、その知を競い合っている。2022-23シーズンは全8チーム、32人のMリーガーが参加し、レギュラーシーズンは昨年10月3日~今年3月21日では各チーム94試合で、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出する。同シリーズは20試合で、上位4チームがファイナルシリーズに進出し、全日程終了時点のポイント1位チームが優勝となる。